ネフローゼ症候群とは腎臓で血液の中の老廃物や塩分毒素を尿として排泄し血液浄化します。
腎臓では1日約150ℓの血液をろ過しているのですがネフローゼ症候群は腎臓組織の糸球体低膜の障害でタンパク質が尿に出る病気です。タンパク質の大量排泄による低タンパク症や水分が血管外に移動することで身体が浮腫んだりします。
ここでは ネフローゼ症候群 の治療と再発予後について説明します。
ネフローゼ症候群の治療と再発予後
多くの病気が原因となるネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群は家族歴のはっきりしない病気です。生後3ヶ月以内に発症するフィンランド型の先天性ネフローゼ症候群は希な病気です。これは常染色体劣勢遺伝を示します。先天性乳児ネフローゼではいくつかの原因遺伝子報告がされています。
花粉症や虫刺されアレルギーがネフローゼの原因になることもあり男児、女児での発症率は男児の方が多いです。
年齢により変わる原因と病気
ネフローゼ症候群は子供から大人まで発症年齢の幅が広く年齢により病型が異なります。
40歳未満の67.4%~77.0%は予後のよい微小変化型ネフローゼです。40歳以上は膜性腎症の発症が48.3%~61.9%です。
腎性検を行うことが少ないので糖尿性腎症の登録者数が少ないのですが実際は成人で糖尿性腎症の頻度は高いです。一般に性腎ネフローゼの25%が膜性腎症です。
治療方法
ネフローゼ症候群の治療目的は浮腫をなくすことです。原因となる病気により治療法が異なります。治療目的は共通です。免疫グロブリン低下で抵抗力が下がり軽い感染症でも重症化する可能性もあるので感染症に注意しながら治療を続けます。
プレドニンなど副腎皮質ステロイドホルモンを使用することで尿タンパク消失効果がみられます。症状が改善されても中止をせずに徐々に減量します。
ステロイド剤治療は寛解して1年以内に終わることが多いです。通常のステロイドで改善されないと時は短期間で大量のステロイドを点滴します。
1~2週間ごとに1クール3日間の大量投与を1~3クールします。再発防止やステロイド副作用が強いときには免疫抑制剤をします。
浮腫が強いときには利尿剤を使い改善を目指しますが一時的な効果しかなく尿細血管障害を悪化させることがあるので慎重に投与します。
小児ネフローゼ症候群
小児に発症する突発性ネフローゼの原因は微笑変形型が多いです。大量のタンパク尿と浮腫が見られます。血尿もありますが軽度の血尿です。浮腫はまぶただけではなく重症であれば全身が浮腫みます。
子供のネフローゼの予後は良いのですが再発率も高いです。9割は完全寛解しますが寛解後の再発報告は7割もあります。日本では年間発症人数は1,300人です。10万人に対し約5人の割合で発症することになります。
行動制限を厳しくすることは骨粗鬆症リスクが上がるだけでなくストレスにもつながるので過度の制限をしないことが重要です。対応は医師の指導を受けて守ることです。
ネフローゼ症候群の再発防止
ネフローゼ症候群で微笑変形型の場合腎機能低下は少なくステロイド効果が期待できる特徴があります。再発を予防するには薬の止め方に注意が重要です。急激な薬の減量や中止をすることで再発をしやすくなり場合によれば2年以上飲み続ける必要もあります。
尿タンパクが消失した完全寛解90%以上でも再発することがあります。症状が改善をされてもすぐに薬をやめないことが重要です。
ネフローゼ症候群の予後
ネフローゼ症候群の予後は病気の原因だけでなく発症年齢や腎臓ダメージの程度により異なります。原因は1つではなくさまざまな病気が原因となる感染症やガン、または薬物の場合もあります。
原因となる病気に対する治療が可能であればネフローゼ症候群も改善する可能性があります。しかしヒト免疫不全ウイルス(HIV)でのネフローゼは不全に移行する可能性が高くなります。
予後を良くするには退院後が重要です。引き続き処方薬を正しく服用し再発や副作用の早期発見するためにも定期的な受診し医師に異常の有無を確認してもらうことが大切です。
まとめ
ネフローゼ症候群の治療と再発予後
多くの病気が原因となるネフローゼ症候群
年齢により変わる原因と病気
治療方法
小児ネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群の再発防止
ネフローゼ症候群の予後