熱中症 は放置すると死に至ることもある危険な病気ですが、素早く適切な 応急処置 を行うことで重症化を防ぐことができる病気でもあります。
正しい知識を身に着け、子供たちを熱中症から守るのは周囲の大人の役目であると言えます。
熱中症になったらまずは応急処置で回復を試みる
まずは救急車を呼ぶかどうか判断
熱中症は、全身に症状が及ぶ熱障害です。熱中症は症状などから大きく三つに分類されます。
一つ目は熱けいれんと呼ばれる状態で、高温の状況で長時間過ごした時に痛みを伴うけいれんが起きます。
二つ目は熱疲労と呼ばれる状態で、蒸し暑いところで長時間過ごした時にめまいや頭痛、吐き気などが現れます。
三つめは熱射病と呼ばれる状態で、高温の状況下で長時間過ごしたために、全身の体温調節機能が壊れ、異常な体温上昇がみとめられます。
この中で熱射病は、意識障害やけいれん、重い内臓の障害などが出ることがあり、手当が遅くなるとショック状態から死に至ることもあり大変危険です。
体温が40度以上あり、皮膚が乾いて、顔が赤くなっていたら熱射病になっている可能性があります。すぐに119番通報し、救急車を呼びましょう。救急車を待っている間も、できるだけ体温を下げるように努めます。
熱けいれんと熱疲労については正しい応急処置で症状が快方に向かうこともあります。少し回復して自力で病院に行けるようであれば、救急車は呼ばずタクシーなどで病院に向かうようにしましょう。
基本的な熱中症の応急処置
少しでも熱中症の症状が現れていたら、早めに涼しい日陰やクーラーの効いた部屋の中に移動するようにしましょう。軽い熱中症の時は、これだけで大きな効果が見られる場合もあります。
涼しい場所へ移動したら、衣服を緩め、安静にします。皮膚の温度が高くなっている場合は、濡らしたタオルなどを体に当てたり、直接冷たい水を体にかけたりして、体温を下げます。
首や脇、足の付け根など太い血管が通っているところに氷や保冷剤を当てて冷やすのも有効です。水をかけてから扇風機で風を送るのも効果があります。
水分と塩分を適切な量で補給するのも大切です。塩分の含まれているスポーツ飲料や薄い食塩水などを少しずつ、回数を多くして飲ませます。水1リットルに対して、塩は1~2グラム程度を溶かしたものを飲ませると良いでしょう。
冷たい水は、摂取することで胃の表面の温度を下げる効果もあります。意識がはっきりしていて、自力で水分を摂取することができる場合は、冷たいスポーツドリンクや経口補水液を飲ませると効果があります。
血圧が低下するため、足を30センチほど高くしてあおむけに寝かせると回復が早くなります。筋肉が熱けいれんを起こしている場合は、その部分をマッサージするのも効果的です。
水分補給についての注意
熱中症の症状がみられる時の水分補給は基本的な応急処置ですが、意識障害が出ている時の水分補給には十分注意が必要です。
呼びかけに応答しない、視線が合わない、刺激に対して反応しないといった意識障害がある時には、水分をうまく飲みこめない可能性があります。気道に入ると窒息することもありますので、意識障害がみられる時には無理に水分補給しないことが重要です。
また、激しく嘔吐している時や吐き気がある時は、すでに胃腸の働きが弱っている可能性があります。吐き気がおさまるまでは何も飲ませず、病院で点滴を受けるようにしましょう。
熱中症になった後の過ごし方
涼しい部屋に移動したり、水分を摂取したりすることで回復したように見えても、念のために病院で診察を受けることが大切です。一時的に回復したと思っても、容体が急変することもあります。
熱中症になると、体温が急激に上昇し、大腸の中で作られた内毒素が血液に流れ出て、抵抗力が弱まるという報告があります。この影響は翌日以降にも響くため、一度、熱中症になったらしばらくは安静にして過ごすようにして、体力の回復をはかりましょう。
子供の熱中症
子供は大人よりも熱中症にかかりやすいと言われています。子供は気分が悪い、めまいがするといった自覚症状を訴えにくいため、気付いた時には重症になっている場合があります。また、子供は体の水分量がもともと多く、脱水症状を起こしやすい状態にあります。
子供を熱中症から守るには、周囲の大人の配慮が必要です。帽子をかぶっているか、こまめに水分を摂っているか、長時間続けて炎天下で遊んでいないかといった点に気を付け、適切な声掛けをしてあげましょう。
まとめ
熱中症になったらまずは応急処置で回復を試みる
まずは救急車を呼ぶかどうか判断
基本的な熱中症の応急処置
水分補給についての注意
熱中症になった後の過ごし方
子供の熱中症