虫歯菌 (ミュータンスレンサ球菌)はきちんと歯磨きをしていないとプラークの中で増殖し、あっという間に虫歯を作り出してしまいます。虫歯菌について正しい理解を深め、子どもの大切な歯を虫歯にしないようにケアしてあげることが重要です。
大切な子どもの歯を虫歯菌から守るために
虫歯菌とは
一般的に虫歯菌と言われるものにはいくつかの種類があります。中でもミュータンスレンサ球菌(ミュータンス菌)は、酸を作り出す能力が非常に高く、歯に付着する力も強いため、虫歯になる病原菌の中でもっとも病原性が高いと言われています。
このミュータンスレンサ球菌は、歯が生えていない赤ちゃんの口の中にはみられないもので、歯が生え始めてから感染が始まります。
ミュータンスレンサ球菌の感染は、母親からがおよそ5割、父親からがおよそ3割と言われ、唾液によって感染するとされています。母親や父親、そのほか身近にいる大人が使った箸やスプーンなどを使って、赤ちゃんに食べ物を与えることで感染します。
ミュータンスレンサ球菌のほとんどは、19カ月~31カ月ごろ(2歳前後)に感染して、定着することがわかっています。多くの赤ちゃんがこの時期に感染してしまうため、この時期を「感染の窓」と呼んでいます。
ミュータンスレンサ球菌は、一度口の中に入ってしまうと、その後取り除くことは難しいとされ、きちんと除去しないまま増えてしまうと、虫歯ができるようになってしまいます。
虫歯になるということ
ミュータンスレンサ球菌には砂糖を原料に、グルガンというネバネバとした物質を作り出す能力があります。
グルガンと呼ばれる物質が歯の表面につくと、ミュータンスレンサ球菌をはじめとするいろいろな菌がくっついてしまいます。そして、プラーク(歯垢)と呼ばれる細菌のかたまりを作り出します。
プラークの中にいるミュータンスレンサ球菌は、砂糖の有無にかかわらず酸を作り出す能力も持っており、口の中のphを最大4まで下げてしまいます。
耐酸性も持っているので、この状態でもミュータンスレンサ球菌は生きています。歯が溶けるphは5.5と言われており、このままの状態が続くと歯が溶けてしまいます。
ミュータンス菌を減らすには
ミュータンスレンサ球菌は、口の中から完全除去することは難しいのですが、数を減らすことで虫歯を防ぐ効果が期待できます。
数を減らすという点において、高い効果が見られるのがフッ素塗布です。フッ素には、ミュータンスレンサ球菌が活動するのを抑えたり、酸を作り出すのを防いだりする効果があります。さらに、歯の再石灰化を促したり、歯そのものを強化したりする作用もあります。
小さな子ども用の歯磨き粉にはフッ素入りのものが多く販売されています。それらを上手に活用して毎日、フッ素に触れるようにしておくとよいでしょう。また、2~3カ月に一度は小児歯科でフッ素塗布をしてもらうとより高い効果が得られます。
ミュータンスレンサ球菌が活動するプラークを放置しておくと、菌が増えてバイオフィルムを作り出します。バイオフィルムはバリアのような膜を作ってしまいます。このバイオフィルムが一度作られると、きちんと歯磨きをしても完全に除去することができません。
綺麗に取り除くためには、歯医者さんで歯のクリーニングをしてもらう必要があります。
ガムはミュータンス菌に効果がある?
キシリトールと呼ばれる天然の甘味料が入ったガムを噛むと、ミュータンスレンサ球菌の作用を弱めることが知られるようになりました。食事をすると酸が作られますが、キシリトールの入ったガムを食後に噛むことで、唾液が分泌され、中性化を促進します。同時に、歯の再石灰化も促します。
ですが、キシリトールという名がついたガムならどれでもいいということではありません。キシリトールの含有量が5割以上かどうか、ほかの甘味料が入っていないかどうかなど成分についてもしっかりと確認するようにしましょう。
定期健診が大切
ミュータンスレンサ球菌の温床を作らないためにも、歯の定期健診が非常に重要です。定期健診を受け、磨き残しやすい部分を知ったり、通常の歯磨きでは落ちない汚れを落としてもらったりすることで、虫歯予防を行います。
虫歯になってから歯医者に通い始めると、子どもは歯医者が怖いところ、痛いことをするところという認識が芽生え、通院自体を嫌がるようになります。小さい頃から定期的に歯医者に通い、正しいケアをしてもらうことこそ、子どもの大切な歯を守ることにつながります。
まとめ
大切な子どもの歯を虫歯菌から守るために
虫歯菌とは
虫歯になるということ
ミュータンス菌を減らすには
ガムはミュータンス菌に効果がある?
定期健診が大切