永久歯に比べると歯質も弱い上に厚さも半分ほどしかない小児の虫歯は進行が早く、およそ数ヶ月で神経にまで到達してしまいます。
神経 に到達した 虫歯 は歯肉内で成長している永久歯までも蝕み、あらゆる弊害を及ぼします。
神経到達が早い小児の虫歯に有効な治療法
乳歯の虫歯の特徴
小児の虫歯はさまざまな要因により発見しづらいという特徴があります。それは乳歯や若い永久歯の性質によるものが大きいと言えます。
通常、体の中で一番硬いエナメル質という組織により歯の表面は覆われていますが、小児の場合、このエナメル質が永久歯に比べると薄い上に、発達過程にあることからカルシウムが不足しています。
更に、エナメル質とエナメル質の下にある骨と同等の硬度を持つ象牙質が未成熟なことから、虫歯が進行しやすく、神経まで到達しやすい状態にあります。
それに加え、初期、及び中期の虫歯は白く濁った色をしていることが多いため、痛みの感覚が未熟な小児には気付かれにくいという特徴があります。乳歯の虫歯に至っては進行しても黒くならないこともあるため、尚更です。
また、通常、神経にまで到達した虫歯は激しい痛みを伴いますが、乳歯や若い永久歯の場合、神経まで到達しても、僅か1日で神経が侵されてしまうことから、痛みが翌日には消えてしまいます。
これらのことから、虫歯の存在を見逃してしまうケースが多いのです。特に、神経まで侵された乳歯の虫歯においては、神経や血管のある歯髄腔内で虫歯菌が増殖し続けた結果、歯肉内で成長中の永久歯にまで悪い影響を及びます。これらのことから小児の虫歯は予防することが大切です。
治療法
従来からの虫歯治療といえば、虫歯菌に侵された部分の取り残しによる再発防止や詰め物を外れにくくする意味合いからまだ健康な部分も含め大きい範囲で削る予防拡大処置です。
しかし、この治療法だと、再発する度に更に削る必要があり、最終的に抜歯にまで至るケースが少なくありません。また、治療に痛みを伴うことから、子どもに恐怖心を植え付け、歯医者嫌いを引き起こす可能性もあります。
乳歯や若い永久歯は虫歯の進行が早い反面、有利な点もあります。それは神経への血液供給が大人に比べると多いところです。血液供給が多いということは栄養素の供給も豊富だということになります。
そのため、虫歯菌により神経が炎症を起こしていても、治療次第で回復する可能性があります。また、小児の場合、神経のある歯髄腔が大きい上に象牙質が薄いという特徴があります。
従来からの治療法による拡大処置は神経の露出を招く恐れがあります。そこで、小児の虫歯にはその程度に合わせて、虫歯の進行を抑える処置により再石灰を促す治療法か虫歯菌の部分のみを削り、樹脂で固める治療法が主流です。
最新の治療法
削る部分を最小限にすることで神経を残し、治療に伴う痛み軽減するという治療法が現在では主流になりつつあります。これには歯医者への恐怖心を取り除く効果や神経を残すことで歯が脆くなることを防ぐ効果、本人が虫歯その存在を自覚できる効果などがあります。
小児の虫歯治療は歯質の弱い小児期を最小限のリスクでやり過ごすことが課題です。そこで小児歯科で積極的に採用されている最新の歯に優しい治療法をご紹介します。
3Mix―MP法
虫歯に侵された部分を最小限に抑えて除去した後に、安全な3種類の抗生物質を虫歯の上に乗せ、樹脂などでコーティングします。この治療法は治療困難な歯髄腔にまで達した重度の虫歯にも適応することができます。
抗生物質により無菌化された後は本来備わった自然治癒力により回復していきます。
ドッグベストセメント
方法としては3Mix法と変わりませんが、抗生物質の変わりにドッグベストセメントと呼ばれる胴を主成分とした薬剤を虫歯部分に乗せます。3Mix法とは違う点は、抗生物質を使用しないため、安全性が高く、胴イオンにより再石灰や自然治癒力を促す効果が期待できます。
ヒールオゾン
塩素の7倍もの殺菌力があると言われるオゾンを虫歯に侵された部分に照射する治療法です。初期の虫歯に有効で、ほとんど削ることなく治療するため、痛みがないことから麻酔が必要ありません。
まとめ
神経到達が早い小児の虫歯に有効な治療法
乳歯の虫歯の特徴
治療法
最近の治療法