歯の神経を抜いて、根管の治療に何回も歯科医院に通った経験のある方は数多いのではないでしょうか。子供の乳歯や生え変わったばかりの永久歯でも虫歯が進行してしまうと同じような処置をするものなのでしょうか。
子供の 虫歯 における 神経 の取り扱いについてご紹介いたします。
子供でも虫歯が進行すると神経を抜きますか
歯の神経とは
歯は上部に見えている歯冠部と歯茎の下部の歯根部から構成されています。
歯冠部の表面は人間の全ての組織の中で最も固いと言われているエナメル質が象牙質と歯髄と呼ばれる神経を覆っています。象牙質は歯髄(神経)を取り囲んでいます。虫歯が象牙質まで達すると痛みを感じるようになります。
歯髄(神経)は歯冠部の一番深いところにあって、神経と血管が集まっている大切な組織です。
歯の神経を抜くとは
歯の神経を抜く必要があるかないかは、虫歯が神経に達しているか否かを判断の根拠にするようです。
虫歯菌が神経に到達している場合、ずきずきとした耐え難い痛みが続くことになります。冷たいものが一瞬しみる知覚過敏と異なり、温かいものさえしみるようになります。また、市販の痛み止めも効かず、場合によってはリンパ腺や頬まで腫れるようなこともあります。
歯の健康のためには非常に大切な神経ですが、上述のようなつらい症状があると、神経を抜くことが検討されるようになります。
神経を抜くメリットとデメリット
神経を抜くメリットは何と言っても激しい痛みから解放されることです。そして、虫歯菌の歯根部分や歯を支える歯槽骨への侵入を止めることができることもメリットと言えるでしょう。
一方、デメリットは痛みによって虫歯に気づけなくなるだけではなく、虫歯になった時に歯を固くしたり、虫歯の急激な進行を食い止めたりするという神経の歯の健康を守るためのさまざまな働きをも失うことになることです。
神経を抜いた歯は立ち枯れた樹木にたとえられます。根は張っていても血液という養分を歯冠部に供給することがなくなりますので、歯はもろく、黒ずんでしまいます。また、温度を感じなくなりますので、食物の味に変化が生じる可能性もあります。
子供の虫歯と神経
乳歯の虫歯が進行して神経まで達したような場合、神経を抜いたり、切断したりする処置がとられることがあります。神経は乳歯が永久歯に生え変わる際に非常に大切な働きをするものです。
しかし、虫歯がそこまで進行すると、根の先に膿を溜めて永久歯を変色させてしまったり、歯並びを悪くすることがあるのです。
また、神経を抜いた乳歯は永久歯の生え変わりの際にうまく抜けないことがあることに注意しなければなりません。場合によっては歯科で抜歯する必要が出てきます。
虫歯がかなり進行して一部神経が露出してしまっていたり、神経が化膿してしまったりしている場合、そのまま放置すると神経全部が化膿して歯茎が膿をもつようになってしまいます。
痛みがないことが多いので気づきにくいと言われていますが、歯茎の腫れを繰り返していると、永久歯の形成不全を引き起こしてしまうことさえあります。
神経まで達してしまった虫歯では歯の根の部分の神経を全て取り除く根幹治療を行うことになります。
保護者の方の中には経験者が多いのではないかと思いますが、歯の根の神経は複雑に入り組んでいるために、細い金属の針を使って徐々に神経を抜いていく治療は4~5回の通院を要します。
その後、神経を取り除いて穴になった部分に神経を溶かす薬を入れて蓋をし、クラウンという歯全体を覆うかぶせ物をすることになります。
すでに歯の根が腐ってしまっていたり、根に膿が溜まってしまっている場合などには抜歯するしかないということもあります。
根幹治療や抜歯は大人でも気の重いものです。お子さんの歯が生えたら、小児科医と同様にかかりつけの歯科医をもって、予防歯科の観点から虫歯予防に努めるのが賢明です。検診を続けていく中で親子で歯磨き指導を受けたりすることもできるでしょう。
まとめ
子供でも虫歯が進行すると神経を抜きますか
歯の神経とは
歯の神経を抜くとは
神経を抜くメリットとデメリット
子供の虫歯と神経