テレビニュースや新聞で「 MRSA 」という言葉を目にしたことがありませんか?院内感染のイメージが強いかもしれませんが、実はどこにでもある常在菌が原因となっています。
どのように感染し、どのような 症状 が出るのか、またどのように予防すればいいのかをまとめました。
子供がMRSAに?!感染経路や症状、予防法を知りたい!
MRSAって何?
MRSAとは、「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」の英語の頭文字を取ったものです。抗生物質の1つであるメチシリンに対する耐性を持っている黄色ブドウ球菌のことを指します。黄色ブドウ球菌自体は常在菌の1つで、健康な人でも保持していることがある菌です。
ですが、初めにペニシリンに耐性のあるものが登場し、人間がその対策としてメチシリンという抗生物質を開発しました。
すると、メチシリンに耐性のあるものがみつかり、現在ではこの2つ以外にセフェム系・マクロライド系といったほかの抗生物質に対しても耐性のある菌もみつかっています。
こうして数多くの抗生物質に対して耐性のあるMRSAがみつかったことで、一度感染してしまうと抗生物質が効かないため治療が難しくなり患者さんが亡くなるケースが出てきました。そのことでより広く世間にMRSAが知られるようになりました。
MRSAの感染経路は?
黄色ブドウ球菌はわたしたちの手や鼻の中、陰部・喉など湿度の高い場所に存在していることが多くあります。子供が「とびひ」にかかることがありますが、とびひが広がる原因は掻き壊した傷口に黄色ブドウ球菌が感染することにあります。
また、傷が化膿してしまったり、食中毒にかかる時にも黄色ブドウ球菌が原因となっていることがあります。
このように黄色ブドウ球菌自体はわたしたちの身近なものです。それゆえ抗生物質に耐性のあるMRSAも、日常生活によって感染が広がります。
ただし、飛沫などでは感染せず、患者が触った部分から第三者へと感染が広がる「接触感染」により新たな感染者が出ることがわかっています。
「MRSA=院内感染」というイメージが強い方もいらっしゃるでしょうが、病院では黄色ブドウ球菌が抗生物質にさらされる環境で耐性を得やすいためMRSAになりやすいということがいえます。
また、病院にいる患者さんは免疫力が下がっている場合もあり、感染した際に重症化することが多くなってしまう部分があります。
MRSAに感染するとどのような症状が出るの?
MRSAに感染した場合は、感染した場所によって異なる症状が出ます。
体の表面(皮膚など)に感染した場合
- 傷口や床ずれがある場所が化膿する、皮膚の深い部分が化膿する、とびひ、ものもらいや結膜炎、中耳炎などの症状があらわれます。
体の内側(臓器など)に感染した場合
- 髄膜炎、肺炎、腹膜炎、腸炎、敗血症、菌血症、心内膜炎などの症状があらわれます。体の表面に感染した場合より、重い症状が出るのが特徴です。
MRSAの検査方法と治療方法
MRSAについては、血液や痰など感染が疑われる場所のサンプルを採取することで検査することができます。サンプル採取後は、抗生物質の培地にサンプルを入れ培養します。抗生物質の培地でサンプルの菌が増えれば、MRSAに感染していることが分かります。
MRSAを保持していても、「感染している」のと「菌を持っている」のは別です。菌を持っているだけであれば、特に治療が行われることはありません。
「感染している」という場合には、あらわれている症状によって「バンコマイシン」や「テイコプラニン」「アルベカシン」などの抗生剤を用いて治療を行います。
MRSAの感染を予防するには?
手に付着した黄色ブドウ球菌が接触することによって広まっていくため、MRSAを予防するには手洗い・うがいが有効になります。石鹸を使って爪の周りや指の関節部分などもよく洗い、流水でしっかりと流します。
また、室内で細菌が繁殖しにくくなるように掃除をこまめに行うようにしましょう。テーブルや手すり・ドアノブなど、人の手が触れる場所は特に清潔にしておくのが理想的です。
アルコールや熱湯による消毒が効果的ですので、エタノールを使った消毒を行うことをおすすめします。熱湯消毒の場合、80℃なら10秒・70℃なら30秒の消毒で菌の数が減ることがわかっています。発症者の衣類やシーツなどを洗濯する際に、ぜひお試しください。
まとめ
子供がMRSAに?!感染経路や症状、予防法を知りたい!
MRSAって何?
MRSAの感染経路は?
MRSAに感染するとどのような症状が出るの?
MRSAの検査方法と治療方法
MRSAの感染を予防するには?