もやもや病 は、10歳以下の子供と30~40歳代の成人がよく発症する病気です。特に日本人に多く見られ、毎年200人前後が発症しているとされています。厚生労働省の特定疾患(難病)にも指定されているもやもや病とは、いったいどのような病気なのでしょうか。
日本人特有の病気 もやもや病(前編)
もやもや病とは
もやもや病は、脳に栄養や酸素を送っている脳動脈が、狭くなったり(狭窄)、ふさがったり(閉塞)する病気です。脳の下部中央あたりに、内頚動脈と椎骨・脳底動脈が輪のように繋がって連絡しあっているところ(ウイリス動脈輪)があります。
もやもや病にかかると、このウイリス動脈輪あたりの血管が狭窄や閉塞を起こします。すると、脳に送られる血液の量が減少するため、脳細胞に必要な酸素や栄養が不足してしまいます。
それをカバーするために、ウイリス動脈輪あたりに細い血管が網目状にたくさん発生して、脳に酸素や栄養を送ろうとします。これを造影剤などを用いて撮影すると、新しく発生した血管が、まるでもやもやとしたタバコの煙のように見えることから「もやもや病」と名付けられました。
日本人に多いもやもや病
もやもや病は、特に日本人に多く見られる病気で、この病気を発見したのも日本人です。そのため、世界的に「moyamoya disease」という名前で呼ばれています。
発症するのは年間10万〜100万人に1人程度で、10歳以下の子供と30~40歳の成人が発症のピークです。男性よりも女性のほうがやや多い傾向があります。発症した後はゆっくりと症状が進行していきます。
2011年にもやもや病の原因と考えられる遺伝子変異が発見されましたが、発症のメカニズムについては現時点ではまだはっきりしていません。また、発症する前に感染症、特に扁桃腺炎に繰り返しかかることが多いとも言われています。
子供の場合はほとんどが脳虚血症状
もやもや病では、脳へ血液を送るためにもやもや血管が発生するのですが、もやもや血管が発生しても血流量が完全に回復するわけではありません。そのため、脳虚血症状が発生しやすくなります。また、もやもや血管は脆弱なため、脳出血も起こりやすくなります。
もやもや病そのものには自覚症状はなく、多くは脳虚血症状や脳出血を発症してはじめて気付きます。大人の場合は脳虚血症状と脳出血が半々で生じますが、子供の場合は脳虚血症状を起こすことがほとんどです。
後編では、モヤモヤ病の診断、治療法をご紹介します。
まとめ
日本人特有の病気 もやもや病(前編)
もやもや病とは
日本人に多いもやもや病
子供の場合はほとんどが脳虚血症状