子どものお友達が盲腸になったと、耳にすることも多いかと思います。 盲腸炎 という呼び名は実は俗称で本来は虫垂炎といいます。しかし、その所以は虫垂炎の発見が遅れがちで虫垂の炎症が盲腸にまで達してから発見される事が多かったからと言われています。
特に子供の場合虫垂が破裂したり腹膜炎をおこしたりして発見されることが多い事が今でもありますので、子供の腹痛には注意が必要です。その予兆を見逃さないようにしましょう。
子供の盲腸炎に注意!その原因と対策
盲腸炎(虫垂炎)とは
虫垂とは盲腸より突き出た5~10cmほどの突起部分で、リンパ組織が多く集まった腸の一部です。この部分に炎症が起こり、激しい痛みなどを伴う事を虫垂炎といいます。
虫垂炎は早期に適切な治療を受ければ予後は心配のいらないものですが、発見が遅れると虫垂は腫れ上がり、ついには破裂し、盲腸炎や腹膜炎、さらには敗血症等、菌の増殖、拡散によって引き起こされる命に関わる怖い病気となってしまいます。
その発生は10代から20代に多く、15人に1人は虫垂炎になっているとうデータもあるように、思春期に多くみられます。しかし、まれに4歳未満の子供にもみられる事があり、この年代では、発見時に虫垂がすでに破裂していたという事が多いのも特徴です。それほど子供の虫垂炎はわかりにくく、悪化が懸念されるのです。
盲腸炎(虫垂炎)の原因
主な原因は虫垂に細菌感染が起こり炎症を起こす事です。虫垂内に糞便や異物が侵入することで起こす細菌感染と、何らかの原因で虫垂内のリンパ組織が増大し、虫垂の入り口が狭くなることで細菌の増殖を招くこの二つのパターンが一般的です。
子供が盲腸炎(虫垂炎)を起こした時の特徴
子どもの場合、痛みから歩くことを拒むことが多いです。また、横に寝せても両足を曲げ、うずくまる姿勢をとります。痛みが強いので、とにかく少しでも痛みが和らぐ姿勢を保とうと必死になっています。
乳幼児の場合、ぐずるのはもちろんですが、虫垂のある右足を上げるような左右非対称の動きをすることが特徴です。子どもや乳幼児が盲腸炎を起こした場合、熱発や白血球の上昇など大人にみる兆候が出ない事があり病院でも判断に迷う事があります。
子供が腹痛を訴えた場合は常に虫垂炎ではないだろうか?といった疑いを持つことが大切です。圧痛はほぼ100%あるといえますので、お腹の右下腹部を押して強く痛がるようでしたらすぐに病院へ駆け込みましょう。
一度病院を受診し検査をしても発見できない事がありますので、痛みが治まらないような場合は一日に何度でも構いません。遠慮せずに病院受診を行ってください。入院させて経過をみてもらえると安心できます。
子供の場合は特に虫垂が破裂するまでの進行が早いですから予断は許しません。
盲腸炎(虫垂炎)の治療
薬物療法と手術による治療方法の2つがあります。虫垂炎はその症状の進行を3段階に分けて考え治療方法を選択します。もっとも軽いカタル性では抗生物質の投与によって炎症を抑えます。薬で散らすという事を聞いたことがある方も多いと思いますがこの治療がそれに当たります。
ただし、再発率が10%から20%とかなりの頻度で起こるという事も知っておく必要があります。次に蜂窩織炎性、壊疽性と虫垂炎の進行がみられますが、こちらはどちらも手術による治療を行う必要があります。
その中でも開腹手術と腹腔鏡を使った方法が選択できます。開腹手術の場合1週間程度の入院を必要とし、腹腔鏡手術の場合2,3日の入院で済みます。
子供・家庭の事を考えて手術方法を選択する
子供の負担を考えると傷口が少なく、入院期間も短い腹腔鏡での手術が望ましいですが、まだまだ腹腔鏡手術の出来る病院も少なくまた、技術の進歩も発展途中です。
開腹手術は確実性が高いですが傷口が大きく、傷跡は残ります。交差切開法等傷口をなるべく目立たなくできる手術方法もありますが、どの医者でもできるという事ではありませんので執刀医の技量に左右さる所があります。
また、開腹手術は退院後も痛みがしばらく続きますので子供の日常生活においてしばらく動きが制限されます。その為、子供に合わせて親が仕事をしばらく休まなければならないという事も考えておかなければなりません。
どの治療方法にも一長一短があり、家庭への影響も出てまいりますが、やはり子供の盲腸炎を完治させる事が大前提です。ですから、しっかりと専門医と子供の状態、退院後の生活なども含めた考えを持って治療方法の選択を話し合って決めて下さい。
まとめ
子供の盲腸炎に注意!その原因と対策
盲腸炎(虫垂炎)とは
盲腸炎(虫垂炎)の原因
子供が盲腸炎(虫垂炎)を起こした時の特徴
盲腸炎(虫垂炎)の治療
子供・家庭の事を考えて手術方法を選択する