赤ちゃんや小さな子供はよく下痢をします。子供はもともと体の水分量が多いので、 水下痢 を発症すると脱水症状に陥りやすくなります。水下痢は薬での治療というよりも、家庭での適切なケアで、子供たちを脱水から守ってあげることが大切になります。
水下痢の正しい対応を知って、子供を脱水から守る(前編)
水下痢とは
通常、便は7~8割程度の水分量を持ったものが理想とされています。8割を超える水分量になると軟便となり、9割を超えると下痢となります。下痢の中でも特に水分量が多いものを水下痢(水様便)と呼びます。
腸の蠕動運動が過剰になり、内容物が通り過ぎるスピードが速くなってしまうことで、十分に時間をかけて水分を吸収できなくなると下痢が引き起こされます。本来、腸で吸収されるべき水分が便と混ざりあって、水分量の多い便となり下痢になるのです。
水下痢の原因として多いのは急性胃腸炎です。これは細菌やウイルス、食あたりなどで発症します。体が持つ本来の防御機能で、異物とみなしたものを体外に排出しようとするため、普通の下痢よりも水分の多い水下痢になることがあります。急性胃腸炎の場合は、激しい腹痛、嘔吐などもともないます。
過敏性腸症候群でも下痢は引き起こされます。テストや発表会の前になるとお腹が急に痛くなって、下痢をしてしまうといった場合がこれに当てはまります。極度の緊張や不安で腸の動きが活発になりすぎて、水下痢を引き起こします。
離乳食を食べはじめた赤ちゃんの水下痢は、油分の多いものを与えることによって引き起こされることがあります。乳糖不耐症や軽度の食物アレルギーでも下痢をすることがあります。
子供の水下痢の中で注意しなければならないもの
子供の水下痢の中で最も注意しなければならないのが、白っぽい色をした水分量の多い下痢です。「白色便性下痢」とも呼ばれます。これは秋から冬にかけて流行するロタウイルスによる感染が原因の水下痢です。
ロタウイルスは6カ月から2歳くらいまでの小さな子供がかかることの多い病気で、非常に感染力が強いのが特徴です。ウイルスによって便に色をつける作用のある胆汁が正常に分泌されず、白い米のとぎ汁のような水下痢が1日に何度も出ます。
激しい水下痢と嘔吐のため、脱水症状を引き起こしやすくなります。重症の脱水になると命を落とすこともあるので、ただの脱水と侮らずに十分注意するようにしましょう。
ロタウイルスは経口のワクチンが普及しています。接種できる期間が短いワクチンですので、生後3か月半までの間にスケジュールを調整して受けておくと、重症化を防ぐことができるので安心です。
後編では、水下痢のさいの対応や食事などのケアについてご紹介します。
まとめ
水下痢の正しい対応を知って、子供を脱水から守る(前編)
水下痢とは
子供の水下痢の中で注意しなければならないもの