発症したばかりの段階では麻疹かごく一般的な風邪か判断はつきません。初診時に風邪と診断されてもその後、麻疹に特徴的な症状があらわれたらすぐに再診を受けるようにしましょう。 麻疹 の 症状 がどのように変化していくのかを知っておくことが重症化を防ぐ手助けにもなります。
麻疹の症状の進行を知って、重症化を防ぐ
麻疹とは
麻疹ははしかとも呼ばれ、麻疹ウイルスが原因で発症するウイルス感染症のひとつです。麻疹ウイルスは空気感染、飛まつ感染、接触感染などで広がり、感染力が非常に強いのが特徴です。重症になると死亡することもある病気です。
免疫がない人が感染するとほぼ100パーセントの確立で発症します。一度発症すると、その後は一生免疫が続くといわれています。最も麻疹にかかりやすい年齢は1歳代で、次いで0歳代、2歳代と続きます。ただ、近年は10代から20代の感染が多く報告され社会問題となっています。
昔は小さい頃、麻疹に感染して免疫を得るのが普通でした。近年は、子供たちの間で麻疹の大流行が起きることが少なくなり、麻疹に感染したことのない人が増えてきているといわれています。小さい時に予防接種をした人でも、10代、20代になってから感染する人が増えています。
麻疹の症状
麻疹は感染すると10日から12日ほどの潜伏期を経たのち、発熱から発症します。麻疹の発熱は38度以上の高熱が出て、数日間続きます。咳や鼻水、結膜炎なども併せて症状としてあらわれます。発熱している間は、ほかの人にうつす感染力が最も強い時期です。
その後、いったん熱が下がるように見えますが、またすぐに39度以上の発熱が数日間続きます。この頃になると、耳後部あたりから発疹があらわれます。この発疹があらわれる前後の1日、2日で口の中にコプリック斑と呼ばれる白い粘膜疹があらわれます。
麻疹の特徴的な症状であるコプリック斑を確認して、麻疹と診断がつくことが多く、その後、発疹は顔や体幹部、手足に広がりを見せ、全身の発疹となります。数日すると、発疹は回復に向かっていきます。
麻疹の際には、肺炎や中耳炎を合併する子供が多く、1000人に1人程度の割合で脳炎を合併することもあります。また、麻疹にかかった5年から10年後に亜急性硬化性全脳炎(あきゅうせいこうかせいぜんのうえん)という病気を発症することがあります。
10万人に1人程度の割合で発症する病気です。知能障害や運動障害などの症状を呈し、発症すると6か月から9か月ほどで死亡することもある進行性の病気です。
麻疹の検査
麻疹はコプリック斑などの特徴的な症状から診断されることが多い病気です。最近は、急性期に血液検査を行い、麻疹に特徴的なIgM抗体を確認することで診断されることもあります。
2008年1月から麻疹は、全数報告の必要がある感染症となりました。診断した医師は最寄りの保健所に、できる限り24時間以内に届け出ることが義務付けられたため、正確な診断数が必要となったわけです。
麻疹の予防
麻疹は発症してしまうと有効な治療法がないので、対症療法で治癒を待ちます。肺炎や中耳炎を合併してしまうと重症になることも多く、入院率は4割といわれています。
麻疹はワクチン接種で発症そのものを防ぐことが非常に重要となります。ワクチン接種は1歳を過ぎたらできるだけ早く接種するようにします。忘れず接種するために、1歳の誕生日に接種することが推奨されています。地域で大きな流行が見られるときは、自費で生後6か月から受けることもできます。
日本では2006年から麻疹と風疹の混合ワクチンであるMRが一般的となりました。このワクチンは1歳代と小学校入学前の1年間の2回接種を行うこととされています。
1歳代は様々なワクチン接種が続きますので、綿密なスケジュール調整が必要となります。MRはおたふくかぜや水痘のワクチンと同時接種をすることもできます。
麻疹の患者と接触したら
麻疹のワクチンを接種する前に麻疹と確定されている患者さんと接触したことがわかったら、できるだけ早く麻疹ワクチンを接種します。接触後48時間以内に接種すると発症しても軽くできるという効果があります。
ただ、家族や兄弟間での感染の場合は、気づいた時には間に合わないということがほとんどでしょう。感染、発症がわかったらまずはかかりつけの小児科医に相談するようにして、重症化を防ぐことが大切です。
まとめ
麻疹の症状の進行を知って、重症化を防ぐ
麻疹とは
麻疹の症状
麻疹の検査
麻疹の予防
麻疹の患者と接触したら