咳に発熱と症状だけでみると単なる風邪と間違えられそうですが、マイコプラズマ肺炎の場合、しつこいほど長引く咳や発熱が特徴的です。 マイコプラズマ肺炎 と診断されると、 ジスロマック のようなマクロライド系の抗生物質で治療が行われます。
マイコプラズマ肺炎にはジスロマックが有効?
マイコプラズマと肺炎とは?
マイコプラズマ肺炎とはマイコプラズマ菌に感染し、気管支や肺胞外部の間質で炎症が起こった状態を指します。
肺炎の場合、気管支と肺胞に炎症が起こるため、聴診器を当てるとゼロゼロと痰が絡んでいるような音がしますが、マイコプラズマ肺炎の場合は、肺炎外部に炎症が起こることから、初期段階にはこのような異常音が聞こえません。
ただ、症状が長引くと炎症が肺胞にまで至り、肺炎を引き起こすことから、ゼロゼロした音が聴き取れるようになります。
症状が軽度の場合、自然に回復する可能性もありますが、熱が3日以上続き、咳が1週間以上に渡り続く場合は、抗生物質による治療が必要になります。
症状
発熱から始まり、1~2日遅れで咳が出始めます。マイコプラズマ肺炎の症状はしぶとく、長引くのが特徴です。この他にも全身の倦怠感や咽頭痛、筋肉痛、鼻水、鼻詰まりなどの症状があらわれます。咳に関しては、最初空咳から始まり、段々と痰混じりの咳に変わっていきます。
マイコプラズマ肺炎は、感染したからと言って必ずしも発症するとは限りませんが、幼い子どもの場合、重症化することも考えられます。また、合併症として気管支炎や肺炎、気管支喘息、中耳炎、心筋炎、髄膜炎、多発神経炎、血小板減少症などの幅広い病態を発症する危険性があります。
治療法
基本的にマイコプラズマ肺炎は自然に治癒する感染症になります。しかし、長い人では、解熱後1~2週間の間倦怠感を感じる人や1ヶ月もの間長引く咳に悩まされる人もいます。
幼い子どもに長期間このような症状を我慢させることはかなりの負担になりますし、重症化し、合併症を引き起こすことにも繋がり兼ねません。
症状が軽いのであれば、経過観察でもよいでしょうが、幼い子どもの場合、いつ急変するかわかりません。長引く場合や症状が進行した場合は速やかに医師の診断を受けましょう。
基本的に熱が2~3日しても引かない場合や痰混じりの咳が1週間ほど続く場合には、マイコプラズマ肺炎の検査を経て抗生物質を用いた薬物療法での治療が行われます。マイコプラズマ肺炎の治療に使われるのはクラリスやジスロマックなどのマクロライド系の抗生物質になります。
ただ、マクロライド系の抗生物質に耐性を持つマイコプラズマが急増していることから、マクロライド系抗生物質で効果がみられない場合、テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗生物質が有効とされているため、これらの抗生物質での治療に移行します。
抗生物質の適切な使用
現在、マイコプラズマ肺炎に有効とされているマクロライド系抗生物質の耐性を獲得したマイコプラズマが全体の50%~80%も占めています。
これは風邪や滲出性中耳炎、副鼻腔炎などの治癒に耳鼻科や呼吸器系の幅広い分野でこのマクロライド系抗生物質が使用されていることに原因があると言われています。
また、マイコプラズマに有効な抗生物質や細菌性やウイルス性の病態に有効な抗生物質と抗生物質にもさまざまありますが、抗生物質には得意不得意な分野の病態があります。
例えば、マイコプラズマに有効なマクロライド系抗生物質は細菌性の病態には効果が薄く、細菌性に有効とされるセフェム系抗生物質はマクロライドには無効とされています。さまざまな観点から抗生物質は適材適所で本当に必要な場合にのみ使用することが必要と言われています。
予後
マイコプラズマ肺炎は通院治療が可能な比較的軽度の感染症のため、登校や登園に明確な基準がありません。解熱し、咳もある程度治まり、食欲が戻ってきたら通常の生活に戻してよいでしょう。しかしながら、肺に受けたダメージは修復するのに時間がかかります。
登校や登園可能になっても、激しい運動などは1週間の間、避けた方が賢明でしょう。また、幼い子どもの場合、良くなったと思っていても、症状が進行し合併症を引き起こすことも考えられます。良くなったと思っても経過観察は引き続き行いましょう。
まとめ
マイコプラズマ肺炎にはジスロマックが有効?
マイコプラズマと肺炎とは?
症状
治療法
抗生物質の適切な使用
予後