小学生以上の子供に多いと言われているマイコプラズマ肺炎は、しつこい咳と頑固な発熱が特徴です。潜伏期間が長く、呼吸音に異常が少ないことから、発見が遅れることもあるようです。
マイコプラズマ肺炎 の 原因 についてご紹介いたします。
細胞壁のない細菌が原因のマイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎とは
通常2~3週間の潜伏期間を経て、発熱・頭痛・全身倦怠などという症状で発症します。
咳はこれらの初期症状が始まって3~5日後から始まることが多く、最初は乾いた咳ですが、経過に伴ってだんだん強くなって、解熱後も3~4週間続くことがあります。特に年長児では後期に咳が湿性のものになることが多いと言われています。
かすれ声・咽頭痛・耳痛・消化器症状・胸痛が25%にみられ、幼児には鼻炎症状がみられることもあります。喘息様気管支炎のような症状をしめすことが比較的多く、急性期には40%に喘鳴が認められると言います。
以前は肺炎にしては全身状態が悪くない「異形肺炎」という扱いでしたが、重症化する場合もあります。
他の合併症としては、中耳炎・無菌性髄膜炎・脳炎・肝炎・溶血性貧血・心筋炎・関節炎・ギランバレー症候群・スティーブジョンソン症候群など多岐にわたることが知られています。
以前は夏季オリンピックの開催年に流行することが多かったために、現在でも「オリンピック病」と呼ばれることがあります。
マイコプラズマ肺炎の原因
病原体は自己増殖可能な最小の微生物である肺炎マイコプラズマという細菌です。他の細菌と違って細胞壁がないので形態が多様で、ペニシリンやセフェムなどの細胞壁合成阻害の抗菌薬は効果がありません。
感染者からの飛沫感染と接触感染によって感染しますが、感染には濃厚な接触を必要とするので、感染拡大の速度は遅いと言われています。
クラス単位での感染の拡大はみられるものの、感染に濃厚な接触を必要とすることから、学校単位での短期間での感染拡大の可能性は高くないようです。
病原体が体内に侵入すると、気管・気管支・肺胞などの粘膜上皮を破壊します。とりわけ、気管支や細気管支の絨毛上皮では、粘膜をはがして潰瘍を作ると言われています。
感染すると抗体が形成されるものの、一生涯続くものではなく、再感染するようなこともあります。
マイコプラズマ肺炎の注意点
昨今、マイコプラズマ肺炎の治療に用いられてきたマクロライド系の抗菌薬が効かないマイコプラズマ肺炎が増えてきています。このように特定の抗菌薬が効かない細菌を耐性菌と呼びますが、系統の違う抗菌薬での治療が必要になります。
上述のように、マイコプラズマ肺炎は俗に「オリンピック病」と称されるように、1984年・1988年に比較的大きな流行があるなど、4年周期の流行が確認されてきました。
1990年以降はこのような大きな流行がみられなくなった反面、2000年以降の患者数は増加傾向にあります。また、2011年と2012年のそれぞれの累計患者数は2000年以降の最多患者数を上回ったことは、記憶に新しいことかもしれません。
このような状態になっている原因は現在のところ解明されていませんので、今後の研究結果に注目する必要があります。
感染経路は風邪やインフルエンザと同様ですので、全ての感染症予防の基本であるきちんとした手洗いが大切になってきます。また、患者の咳から感染することが多いので、感染してしまった場合にはマスクを着用するなどして周囲への感染を防ぐ配慮が必要です。
学校保健安全法におけるマイコプラズマ肺炎の取り扱いは、第3種「その他の感染症」となっています。
これは出席停止期間などが明確に定められたものではなく、病状によって学校医やその他の医師において感染のおそれがないと認めるまでの期間の出席停止措置が必要だと考えられている感染症だということです。
マイコプラズマ肺炎の患者は14歳以下の子供が8割だと言われています。ただし、大人に感染しないわけではありません。保育園・幼稚園・学校などで子供が感染して、潜伏期間中に家庭内で二次感染することで大人に感染するケースが多いと言われています。
大人や高齢者は重症化することがありますので、保護者は園や学校での流行にも注意してください。
まとめ
細胞壁がない細菌が原因のマイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎とは
マイコプラズマ肺炎の原因
マイコプラズマ肺炎の注意点