体調が思わしくなく病院で検査して担当医師から「急性リンパ性白血病」告知をされたら誰もが頭が真っ白になり不安と恐怖に苛まれます。急性リンパ性白血病は血液のガンの1つですが有効な治療方法もあります。放置すると命に関わる病気です。治療開始時期により予後も変わります。
ここでは 急性リンパ性白血病 の原因、有効な治療方法と予後について説明をします。
急性リンパ性白血病の原因。その有効な治療方法と予後
急性リンパ性白血病とは
急性リンパ性白血病は白血病の中でも子供に発症することが多い病気で骨髄の中にあるリンパ球が過剰に作られる血液のガンです。リンパ球の幹細胞はBリンパ球、Tリンパ球になり若い血液の段階で悪性化することで感染に対して戦うことができなくなります。
原因としては以前にガン治療として抗がん剤や放射線治療を受けたことや胎児の時に母体からのレントゲンなど放射線被曝影響、喫煙などもあげられています。また家族歴も注目されていて兄弟姉妹に白血病歴がないか問診で聞かれることもあります。
遺伝子疾患であるダウン症候群も発症する可能性があるといわれています。しかしこれらの原因となる要素があるからと必ず発症するとは限りません。残念なことに予防方法も確立されていない病気なのです。
症状
急性リンパ性白血病は白血球、赤血球、血小板が減少して細菌やウイルスに対する抵抗力がなくなり症状がでてきます。白血球減少により風邪の症状に似ている発熱や肺炎そして敗血症などを生じることもあります。
赤血球減少で全身の倦怠感めまいやふらつき動悸や浮腫の症状がでてきて血小板減少で鼻血など出血することで病名が判断されます。
骨髄以外にも症状があり関節痛や脊髄などの中枢神経に白血病が及ぶと頭痛や吐き気につながります。
寛解療法
急性リンパ性白血病の治療で1番最初におこなわれる治療です。寛解という一時的もしくは継続的に症状が軽減している状態を目指す治療方法です。白血病寛解は骨髄の中の白血病細胞が全体の5%以下になることを目指しています。
発症リスクがあるので以後も引き続き治療します。ステロイドを使用して抗がん剤3~4種類を4~6週間投与することを寛解療法といいます。現在では98%の患者さんが寛解に至ります。
強化療法
急性リンパ性白血病は寛解療法をおこない寛解しても再発のリスクはあります。再発リスクを少しでも防ぐために寛解を深める治療方法が強化療法です。6ヶ月~12ヶ月かけて抗がん剤のアルキル酸、メトトレキサートシタラビンを点滴します。
維持療法
急性リンパ性白血病の治療では寛解療法と強化療法までは入院治療をします。強化療法の後は外来で可能な維持療法となります。維持療法では飲み薬の抗がん剤を使用したりします。外来治療に通う期間は約1年から2年と言われています。
普段と同じ生活を心がけながら治療を進めていきます。子供の場合も同じで学校や幼稚園などの集団生活が可能となります。しかし治療後は入院時と同じで免疫低下が続きます。そのためには感染予防が大切です。
通常の免疫力であれば心配のない弱い菌でも感染してしまい重症化する可能性もあります。患者本人だけでなく家族も含め感染予防は大切です。うがいや手洗いをしっかりすることが感染予防となります。
感染症で1番気注意したいのは水痘とはしかです。この2つの感染症は最も重症化のおそれのある感染症です。流行した時には学校や幼稚園をお休みしたりして対処します。
万が一水痘やはしかに感染している可能性のある人と遊んだりした心配のある時は必ず受診してください。場合によっては投薬での治療が必要になる時があります。
造血幹細胞移植
前述の三段階の治療方法を行うも効果がみられない場合もあります。その時には造血幹細胞移植をする治療が行われます。方法としては3つあり骨髄移植、抹消血管細胞移植、臍帯血移植などがあります。
他人の細胞で同種類の細胞移植や患者本人からの細胞で自家移植の両方があります。非常に強い治療法なので効果は高いのですが合併症リスクも高いと言われています。この治療法の適応は厳しく制限されています。
急性リンパ性白血病の予後
白血病は以前では不治の病で治療ができない代表的な病気でした。現在では化学療法や造血細胞移植の治療進歩により完治が可能できる病気となりました。
急性リンパ性白血病全体での5年生存率は40%ですが小児の場合は80%と高いことがわかります。急性白血病の場合は診断確定後すぐに治療を開始することで約半分の人が助かる病気です。
早期発見と治療が予後を左右します。ですが自覚症状がないことで有名な病気なのですが血液検査での数値の異常でわかります。定期的な血液検査を受けることが早期発見のきっかけとなります。
まとめ
急性リンパ性白血病の原因。その有効な治療方法と予後
急性リンパ性白血病とは
症状
寛解療法
強化療法
維持療法
造血幹細胞移植
急性リンパ性白血病の予後