子供が風邪をひいて病院で薬による治療を進めた際に、解熱剤などの薬が余ってしまう事も少なくありません。多くの家庭では「子供が急に熱を出した際に使えるだろう」とそのまま冷蔵庫で保存している事も多くみられます。
しかし、その薬の再使用には注意を払うように心がける必要があります。実は、安易な薬の使用は子供の急性脳症を引き起こす危険性があります。
解熱剤に使用される、アスピリン、抗ヒスタミン剤を含む風邪薬、気管支拡張剤等、どこの病院でも処方されるような薬を安易に使用してしまった事で危険な脳症を起こしてしまっている事例がたくさんあるのです。
急性脳症 は脳の病気ですので、最悪後遺症が出る事もあり、 回復 が困難になる事もあります。
安易な薬の使用は急性脳症を起こす危険がある!回復もなかなか難しい!?
子供の急性脳症とは
小児急性脳症は急激な脳の機能不全によって生じる症候群です。症候群ですので、色々な症状が引き起こされると考えられます。代表的な症状は意識消失です。さらに、場合によっては発熱やけいれんを認める事もあります。
急性脳症は薬の副作用以外にもウイルス感染などでも起こりますので、原因の判別が難しいものでもありますが、急性脳症と判別された子供に共通しているみられる身体症状として、炎症を伴わない脳の浮腫があります。
つまり、何らかの原因で脳に浮腫が起こり、脳が圧迫されてしまう事で様々な身体症状や精神症状が引き起こされる病気です。
脳の浮腫によって引き起こされる症状
脳が圧迫されると、自律神経系などが上手く機能しなくなり、嘔吐、血圧の変化、呼吸の変化などが見られ、酷いい場合は、意識の喪失、けいれんが見られます。
急性脳症によって引き起こされるけいれんやひきつけは特に長い時間起こる事が特徴で5分以上継続する事も少なくありません。急に意思疎通ができなくなったり、おかしなことを言うようになったりする事もみられます。
すぐに原因が特定できない
急激な脳の浮腫は髄膜炎やインフルエンザ脳症、さらにはサルモネラによる食中毒等でも起こりますが、急性脳症はこれらの原因が特徴的に示す炎症が脳にみられない為、原因の判断に時間がかかります。
その為、CT,MRIによる検査、血液検査、尿検査、脳脊髄液検査等考えられる原因を調べるための検査を実施しなければなりません。
原因を探るにはこんなにも原因である可能性を潰していかなければならない
①髄膜炎②脳腫瘍③硬膜膿瘍④急性散在性脳脊髄炎⑤多発性硬化症⑥全身性エリテマトーデス⑦頭蓋内出血⑧脳血管性疾患⑨脳腫瘍⑩代謝性疾患⑪内分泌疾患⑫中毒⑬臓器不全⑭熱性けいれん重積症⑭溶血性尿毒症⑮血球貧食症候群⑯心筋炎⑰不整脈⑱熱中症⑲乳幼児突然死症候群⑳高血圧脳症等、このように脳に浮腫ができる要因が沢山ありますので、しらみつぶしに原因を探していかなければなりません。
治療
原因が特定されれば、それに応じた対応で治療がなされます。基本的には支持療法が行われ、原因を取り除けるときは取り除き、後は全身状態を管理しながら自然回復を待つような方向になります。
早期発見早期治療がなされれば回復した際に後遺症を残すことなく、回復する可能性は高いですが、発見が遅れ、検査に時間がかかってしまうと後遺症を残してしまうこともあります。
ためらい無く救急車を呼ぼう!!
早期発見のポイントとして①けいれんやひきつけが5分以上続いた場合②けいれんやひきつけが治まった後も、意識が無かったりぐったりしている場合③けいれんやひきつけが無くても、いつもと違った意味不明な言動があったり、ぐったりしている場合があげられます。
脳の障害によって引き起こされる症状ですので、いつもとは全く違う違和感に気づく事は容易にできます。しかし、気づく事も大切ですが、さらに大切な事があります。それは、その後の対応です。
理想的な対応は、子どもがこのような症状を呈したならばすぐに、救急車を呼ぶことです。いかに早く対処できるかで、回復の速さや、後遺症が残るか否かが決まります。
迷うくらいなら救急車を呼んでください。救急隊に連絡した際に症状を話せば、そこで適切な対処も教えてもらえますし、救急の必要が無い場合はそこで判断されるので迷惑などは掛かりません。子供の為にもためらわないようにしてください。
まとめ
安易な薬の使用は急性脳症を起こす危険がある!回復もなかなか難しい!?
子供の急性脳症とは
脳の浮腫によって引き起こされる症状
すぐに原因が特定できない
原因を探るにはこんなにも原因である可能性を潰していかなければならない
治療
ためらい無く救急車を呼ぼう!