急性中耳炎 は、風邪をきっかけにかかる事が多く、耳痛や発熱等の明確な症状が現れます。治療法としては投薬治療や鼓膜切開を行いますが、日常生活においても、のどや鼻から細菌を入れないように注意しなければなりません。中耳の炎症が治まれば急性中耳炎は徐々に治癒していきますが、完治したと医師に言われるまではきちんと治療を受けましょう。
急性中耳炎の治療法と日常生活の注意点
急性中耳炎の症状
急性中耳炎は、細菌やウイルスが耳管を通り、鼻から鼓膜の奥にある中耳に侵入して炎症を起こす病気で、風邪を引いて黄色や黄緑色の鼻水が出ている時にかかりやすいです。原因となる菌は肺炎球菌やインフルエンザ菌が多いです。
中耳炎と聞くと、お風呂やプールで耳から水や菌が入ってなるのではというイメージがありますが、鼓膜に穴が空いていない限りは外側から中耳に水が入らないので、お風呂やプールが原因で急性中耳炎になる事はありません。
急性中耳炎にかかると、以下のような症状が明確に現れます。
- 耳の痛み
- 耳が聞こえにくくなる
- 耳が塞がったような感じ
- 熱が出る
- 耳だれ
急性中耳炎にかかると、鼓膜に充血や腫れが生じます。次第に中耳に膿がたまり、膿の量が多くなると、鼓膜が盛り上がって耳に激痛を感じますし、膿で鼓膜が破れて耳だれとして出てくる場合もあります。また、膿が出ず、炎症によって中耳にたまった滲出液という液体が耳管から鼻や喉へ流れていく場合もあります。
膿や滲出液が中耳からなくなって炎症が解消すると、急性中耳炎は徐々に治癒していきます。
耳鼻科では、中耳の炎症を抑え、膿や浸出液を中耳から排出させる治療を行います。完治したと医師に言われるまではきちんと治療をうけ、中耳炎を再発させたり長引かせたりしないようにしなければなりません。
急性中耳炎の治療
急性中耳炎の治療は、基本的には、内耳の炎症を抑える投薬治療を行います。熱や痛みを抑えるには解熱鎮痛剤、原因となっている細菌の増殖を抑えるには抗生物質を服用します。
最近では、抗生物質が効きにくい耐性菌が増え、急性中耳炎が治りにくくなっています。医師の指示通りに薬を飲んでもなかなか良くならない場合は、医師に相談すれば、症状に応じて抗生物質の種類を変えるといった対応をしてもらえます。
しかし、薬を変えても症状の改善がなければ、鼓膜切開を行い、中耳にたまっている液体や膿を排出します。鼓膜切開では鼓膜に小さな切り込みを入れますが、鼓膜はすぐに再生して穴もふさがりますので、耳が聞こえなくなる心配はありません。
急性中耳炎を引き起こす主な原因は風邪ですが、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎等で鼻に炎症があると、鼻から細菌やウイルスが入りやすくなり、急性中耳炎が治りにくくなる、また再発の危険が高くなりますので、同時に治療を行います。
適切な治療を行えば、耳の痛みや発熱といった目立った症状は比較的早く治まります。しかし、症状が治まったからといって自己判断で通院をやめてしまうのは、反復性や難治性の中耳炎を引き起こす原因になり、非常に危険ですので、最後まで確実に治療を続けましょう。
急性中耳炎での注意点
急性中耳炎では、中耳炎の悪化を防ぐために、治療と並行して日常生活で注意しなければならない事があります。
乳幼児の場合、哺乳瓶でミルクを飲ませる時に、赤ちゃんの体勢が水平に近いとミルクが耳管から中耳に入って炎症を起こす事があるので、できるだけ体を起こした状態で飲ませるようにしましょう。
鼻水が溜まって来た時は、こまめに鼻をかみましょう。まだ鼻をかめない小さなお子様には、家庭用の電動鼻水吸引器を使うと安全に鼻水を吸い取れます。
また、鼻すすりをすると鼻水に含まれる細菌を耳管から中耳へと吸い込みやすくなりますので、避けるようにしましょう。
さらに、鼻のかみ方にも注意が必要です。両方の鼻を一度に勢いよくかむと、鼻をかんだときの圧力で細菌を耳管から中耳に送り込んでしまいます。
入浴や激しい運動は、体が温まって中耳の炎症がさらにひどくなってしまうので、耳痛・発熱がある間は控えましょう。
また、スイミングは、鼻やのどから入った水によって細菌が耳管に入ってしまう、水の消毒に使う塩素が鼻やのどの粘膜を刺激して炎症を起こす恐れがあるため、医師の許可があってから行うようにしましょう。
治療中は、鼻から耳に細菌を入れないように、また、中耳の炎症をひどくしないように細心の注意が必要ですが、急性中耳炎が治癒した後も、ミルクの飲ませ方や鼻のかみかた等、ちょっとした心がけでできる事に気を配り、中耳炎の再発を防止しましょう。
まとめ
急性中耳炎の治療法と日常生活の注意点
急性中耳炎の症状
急性中耳炎の治療
急性中耳炎での注意点