「子供は重症化しやすい急性虫垂炎(前編)」では、急性虫垂炎の原因や症状についてご紹介しました。後編では、 急性虫垂炎 の検査方法や治療方法についてご紹介します。
子供は重症化しやすい急性虫垂炎(後編)
急性虫垂炎の検査
腹痛や嘔吐、発熱といった症状は急性虫垂炎の症状ではありますが、虫垂炎特有の症状というわけではありません。子供ではごく一般的なお腹の風邪の場合にも同じような症状を訴えます。
腹痛を訴える様々な病気の可能性を考えながら検査を行うのが一般的です。お腹の触診、採血、腹部X線撮影、エコー検査などを複数の検査を考慮して診断を行います。急性虫垂炎の発症から12時間が経過すると、白血球の値が高くなり、CRPと呼ばれる炎症反応の値が異常に高くなります。
お腹の触診では右下腹部を押した時の痛みが重要となります。虫垂炎が進行して、壁に穴があいて腹膜炎を起こしているかどうかを確認します。腹膜炎を合併していると、腹部を押して手を離すと痛みが強くなるという特有の症状を呈します。
小さな子供や赤ちゃんの場合、お腹の痛みがある部位や症状について正確に話すことができません。親はあいまいな訴えや普段と違う様子を見て、ポイントとなる症状を的確につかむ必要があります。
少しでもいつもと違うと思った点については、医師に伝えるようにすると正しい診断をしてもらえる確率もあがります。
急性虫垂炎の治療
急性虫垂炎は症状によって、大きく3段階に分けられます。ごく初期の段階で、すぐに虫垂炎の診断がついたカタル性虫垂炎と呼ばれる段階では、手術をせずに抗生剤の投与で治療することが可能です。ただし、薬物による治療を行った場合は、全体の1割から2割ほどの患者に再発の可能性があります。
蜂窩織炎性虫垂炎(ほうかしきえんせいちゅうすいえん)と呼ばれる段階は、虫垂に膿がみられますが、まだ虫垂が破裂していないという状態です。手術が必要となります。
壊疽性虫垂炎(えそせいちゅうすいえん)と呼ばれる段階は、虫垂の組織が壊死・破裂し、腹膜炎を合併します。さらに症状が進行すると穿孔性虫垂炎となります。この段階では一刻も早い手術が不可欠です。
手術を行う場合、以前は開腹手術がメインでしたが、最近では腹腔鏡手術で虫垂の切除を行うことも多くなりました。患部の状態などによっても手術の方式は変わってきます。担当の医師にしっかりとした説明を受けて、納得のいく手術をしてもらうようにしましょう。
まとめ
子供は重症化しやすい急性虫垂炎(後編)
急性虫垂炎の検査
急性虫垂炎の治療