急性虫垂炎は15人に1人くらいがかかる病気とされ、子供にもよく見られる病気のひとつです。小さな子供や赤ちゃんが 急性虫垂炎 を発症すると進行が早く、重症化しやすいという特徴があります。重症化を防ぐためにも、親は急性虫垂炎についての正しい知識を得る必要があります。
子供は重症化しやすい急性虫垂炎(前編)
急性虫垂炎とは
急性虫垂炎とは、いわゆる「盲腸」と呼ばれる病気で、2、3歳を過ぎたあたりから小学生、中学生にかけて多くみられます。盲腸の先にある虫垂の突起部分に化膿性の炎症がおこった状態が急性虫垂炎です。虫垂突起の根元部分に便の塊などが詰まり、虫垂内の圧があがって細菌増殖が始まると考えられています。
虫垂は、盲腸の先にある長さ10センチほどの突起で、リンパ組織が集まり腸内の細菌バランスを正常にするという役割を持っています。以前は、虫垂は不必要な器官という考え方があり、急性虫垂炎発症のリスクを抑えるために、虫垂部分を予防的に切除してしまうこともありました。
最近は、虫垂の役割についての研究が進み、虫垂を切除してしまうと炎症性の腸疾患に罹患しやすくなるということもわかってきました。医師により見解は異なりますが、予防的に切除する方針の医師は少なくなってきたようです。
急性虫垂炎の原因
急性虫垂炎の原因は現在のところ、正確にはわかっていません。なんらかの異物や便、リンパ組織の過形成などが原因ではないかと考えられています。虫垂部分がふさがったり、狭くなったりすることがきっかけで、虫垂内部の圧があがって血行が悪くなり、細菌が増殖、感染して炎症が起こります。
6歳以下の子供については、的確な診断が遅れると重症化して虫垂が破裂して内部の膿が虫垂の外に出てしまう穿孔性虫垂炎という危険な状態に陥ることもあります。
小さな子供の場合、虫垂自体の壁が薄く、体の防御機能が未熟であるため、重症化しやすいと考えられています。一度、虫垂部分に炎症が起きるとあっという間に進行して、虫垂の壁が破裂してしまいます。細菌が外側に広がってしまうと腹膜炎を併発します。
急性虫垂炎の症状
急性虫垂炎を発症すると腹痛、発熱、嘔吐、食欲不振などが症状としてあらわれます。右下腹部の痛みが顕著になるとよく言われますが、はじめから右下腹部が痛くなることはあまりありません。はじめは上腹部やへそのあたりが痛み、徐々に右下に痛みが移行していきます。
発熱は37度から38度前後であまり高熱にはなりません。39度以上の高熱が出ている場合は、すでに穿孔性虫垂炎を発症している可能性があります。
炎症が進むと、右下腹部の痛みがひどくなっていきます。患部を押して、手を離した時に痛みがひどくなる反跳痛(はんちょうつう)があらわれます。
腹痛とともにあらわれる嘔吐や吐き気は数時間程度でおさまることが多いですが、食欲は低下したままです。
後編では、急性虫垂炎の検査方法と治療方法についてご紹介します。
まとめ
子供は重症化しやすい急性虫垂炎(前編)
急性虫垂炎とは
急性虫垂炎の原因
急性虫垂炎の症状