急な腹痛 は、子供によく見られる症状のひとつです。その原因はさまざまですが、もし急性虫垂炎であれば迅速な対応が求められます。急性虫垂炎とその他の腹痛では、どのような違いがあるのでしょうか。その見極め方を見ていきましょう。
子供の急な腹痛の原因を見極める
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急性虫垂炎かどうかを見極めるには、まず症状を知ること
子供が急な腹痛に襲われ、ひどく苦しんでいる姿を見ると、急性虫垂炎、いわゆる「盲腸」ではないかと心配される方が多いと思います。急性虫垂炎は、治療が遅れ重症化すると生命に危険が生じる恐ろしい病気です。
そして、10代から20代が発症のピークで、子供にとって決して珍しい病気ではありません。ただ、子供の腹痛の原因は、軽いものであることがほとんどです。急性虫垂炎も、実はそれほど患者数が多いわけではありません。
生涯罹患率、つまり生まれてから死ぬまでの間に急性虫垂炎にかかる人の割合は、7~8%です。つまり、現実的にはさほど心配する必要はないのです。ただ一方で、急性虫垂炎は治療が急がれる病気であることも間違いありません。
ですので、子供の腹痛の原因が急性虫垂炎かどうかを見極めることはとても大切です。見極めるためには、急性虫垂炎の腹痛が他が原因の腹痛とどう違うのか、その特徴的な症状を知ることが必要です。
腹痛の原因として最も多いのは感染性胃腸炎
腹痛の原因として最も多いのが、感染性胃腸炎です。これは、ウイルスや細菌などが胃腸に感染することによって発症します。ウイルス性では、ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスが代表的なもので、冬の寒い時期に多く見られます。
細菌性は、サルモネラ菌や腸炎ビブリオ菌、病原性大腸菌などで、主に食中毒が発生しやすい夏場に見られます。こうしたウイルスや細菌に感染すると、激しい腹痛の他に、吐き気や嘔吐、下痢、発熱といった、風邪と同じような症状が現れます。いわゆる「胃腸風邪」や「風邪から来た腹痛」と呼ばれるものです。
急性虫垂炎の場合でも、こうした軽い発熱や嘔吐といった症状が見られることがあります。ですので、これらの症状で感染性胃腸炎と急性虫垂炎とを判別することはできません。
急性虫垂炎では強い痛みが持続する
急性虫垂炎が、感染性胃腸炎と決定的に異なるのは、腹痛の持続時間です。感染性胃腸炎の場合、さし込むような強い痛みがしばらく続いた後、やがてその痛みが軽くなったり治まったりすることがあります。そして、また時間が経ってから再び強い痛みが襲ってきます。このように感染性胃腸炎では、痛いときと痛くないときが交互に繰り返し現れることが多いのです。
一方、急性虫垂炎の場合は、痛みが軽くなったり治まったりすることはありません。むしろ、時間が経つにつれ、どんどん痛みが強くなっていきます。この痛みの持続する時間が、感染性胃腸炎と急性虫垂炎の大きな違いなのです。
急性虫垂炎では時間とともに痛む場所が移っていく
痛みを感じる場所が移っていくのも、急性虫垂炎の特徴の一つです。はじめは虫垂のある右下腹部ではなく、みぞおちやおへそのあたりといった中央部が漠然と痛み始めます。これは、虫垂が腫れ始めたことによって内臓痛を引き起こすためです。
しかし数時間のうちに、痛みは強さを増しながら、右下腹部へと移動していきます。また、右下腹部を手で押したときよりも離したときのほうが痛みが強くなるという反応が見られるようになります。
もし、こうした症状が現れるなら、まず急性虫垂炎だと考えられます。すぐに医療機関を受診するようにしてください。
急な腹痛にはさまざまな原因がある
子供の急な腹痛の原因は、急性虫垂炎や感染性胃腸炎だけでなく、実にさまざまです。例えば、子供がたびたび同じようなパターンの腹痛を繰り返すようでしたら、食物アレルギーか食物不耐症の可能性があります。
また、便秘が腹痛の原因になっていることも多くあります。大量の血液が混じったイチゴジャムのような血便を伴うのであれば、腸重積が疑われます。
子供の腹痛の原因は軽いものがほとんどですが、なかには生命に関わる病気が潜んでいることもあります。しっかりと見極めて、適切な対応を取るように心がけてください。
まとめ
子供の急な腹痛の原因を見極める
急性虫垂炎かどうかを見極めるには、まず症状を知ること
腹痛の原因として最も多いのは感染性胃腸炎
急性虫垂炎では強い痛みが持続する
急性虫垂炎では時間とともに痛む場所が移っていく
急な腹痛にはさまざまな原因がある