お子さんの歯並びが気になる方が「そろそろ歯科 矯正 を」と考える時に気がかりなのは「 痛い のではないか」ということではないでしょうか。あるいは、ご自身にも歯科矯正の経験があって、痛い経験をされた方もあるかもしれません。
昨今の歯科矯正と痛みについてご紹介いたします。
痛い理由を知って乗り越える歯科矯正
歯科矯正の痛みの原因
矯正装置をつけると歯根のあたりが痛み、人によっては歯が浮くように感じるようです。これは矯正装置をつけた直後から1週間くらいがピークの歯が動くための痛みです。
歯は歯茎から上の見えている部分である歯冠と歯茎の中に埋まっている部分である歯根、歯根を支える骨である歯槽骨、歯根と歯槽骨のクッションのような役割を果たしている歯根膜という部分で構成されています。
歯科矯正では歯冠にブラケットをつけて、ワイヤーで負荷をかけることで歯を動かします。その際、歯根膜は圧迫される側と広げられる側が生じることになります。
圧迫される側は歯槽骨が壊れて、広げられる側は歯槽骨が形成されていくことで歯槽骨が徐々に動いていくのです。歯科矯正の痛みのひとつの原因は歯槽骨の増減の際の炎症だと言うことができます。
また、ご存知のように歯には血管や神経が通っていますので、矯正による負荷によってある程度の血流障害が起こることも痛みの原因であると言われています。
装着する装置による痛みもありますし、慣れないうちは装置と接触することで口内炎になってしまって痛むということもあるかもしれません。また、口中に異物があるので、思わず自分のほっぺたや舌を噛んでしまうということも起こりがちです。
いずれにせよ、歯が動くための痛みであることには違いありません。
痛みを軽減する工夫や歯科医に相談することも大切ですが、装置を装着した直後から1週間がピークであることやきれいな歯並びへの痛みであることなどお子さんにわかりやすく説明することも必要でしょう。
痛みの軽減のためにできること
痛みが生じた時に矯正医に相談すると、歯列にあったソフトプレートを噛む方法で痛みを緩和させる方法をとることが多いようです。また、矯正装置が接触することで口内炎ができる場合には装置にワックスをつけたり、プレイスガードというもので装置を覆ったりします。
昨今では高周波治療を施すことで歯槽骨の血行をよくして痛みを軽減することもあるようです。
家庭でできる最も簡単な痛みの緩和策は塩水でのうがいです。
歯科矯正の痛みの原因が歯槽骨の炎症と血行障害であることは上述しましたが、そのため、歯茎をマッサージすることが痛みの緩和に効果的です。電動歯ブラシなどを使うとより効果的にマッサージ効果が得られるでしょう。
痛みを軽減する食事
矯正装置をつけると特に食事を摂る際に違和感を感じ、痛みを感じることが多いものです。
歯科矯正を開始する適期であるとされている6~10歳は成長期でもありますので、痛みのために成長に不可欠な栄養素が十分に摂れないということがないように注意しなければなりません。
痛みのピーク時には柔らかく消化のよいものがいいでしょう。栄養面を考慮して、お粥を雑炊やリゾットに変えて具材を工夫することでさまざまな食材を摂れるように配慮しましょう。
汁物も具たくさんの味噌汁、野菜たっぷりのミネストローネ、肉類も摂取できるシチューなどがお勧めです。また、ヨーグルトやゼリーなどでおやつを摂るようにするのもいいでしょう。
子供の歯科矯正時の注意点
矯正装置をつけたばかりのお子さんは慣れない上に痛みを感じたりして、どうしても手で装置を触ってしまいがちです。これは装置の変形を引き起こしてしまう可能性がありますので、注意して見守ってください。
また、無意識のうちに舌で矯正装置に触っている場合もあります。舌の同じような位置に口内炎ができたりする場合もさりげなく注意して見守ってください。
成長期で骨も柔らかい小児期は大人に比べると歯科矯正に伴う痛みも少なくてすむ傾向があります。矯正後のきれいな歯並びを目標にお子さんを励ますようにしましょう。
乳歯の反対咬合などでは顎の骨に問題がなければ、簡単な装置で比較的早くに矯正を終えることができることもあります。
最近の研究によれば、口呼吸やうつぶせ寝、頬杖などが歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼすことがわかってきました。いずれも日常のちょっとした生活習慣の積み重ねですので、注意が必要です。
まとめ
痛い理由を知って乗り越える歯科矯正
歯科矯正の痛みの原因
痛みの軽減のためにできること
痛みを軽減する食事
子供の歯科矯正時の注意点