戦後、一時期見られなくなった くる病 ですが、近年再び増加傾向にあると言われています。ビタミンD、リン、カルシウムなどが不足していると発症しやすくなる病気です。歩行困難になるなど成長にも悪影響がありますので、くる病を正しく理解し発症を防ぐようにしましょう。
再び増加傾向にあるくる病から子供を守るために(前編)
くる病とは
くる病とは骨軟化症とも言い、戦後の日本ではよく見られる病気でした。くる病は子供の成長期に必要な骨のカルシウムがうまく作られずに、骨が軟化したり、曲がったり、折れやすくなったりしてしまう骨の病気です。
食糧事情の改善によって日本ではほとんど見られなくなった病気でしたが、近年、くる病が再び増加している傾向がみられるという報告があります。
くる病は骨の異常をきたすため、体の成長などにも悪い影響が出ると言われています。足が曲がったまま成長してしまうので、重度のO脚になったり、関節部分が膨らんでしまったりします。足の骨に異常が見られる場合、歩行困難になります。
肋骨が部分的に膨らんで、肋骨念珠という状態になることもあります。また、頭蓋骨が手で押してへこませることができるくらいに柔らかい状態になってしまうこともあります。
筋肉痛や筋力低下が起き、身長や体重増加が停止してしまいます。また、血中のカルシウムが不足して、痙攣や手足のこわばりが起きやすくなることもあります。
くる病の原因
くる病は主に栄養不足、遺伝、日光不足という3つの要因によって発症します。
くる病の原因となる栄養不足ではビタミンDやリン、カルシウムが特に不足します。ビタミンDは紫外線を浴びることによって体内で作られるので、日光を極端に避ける生活を送っていると不足してしまうことがあります。
また、母乳栄養は非常に優れた栄養バランスですが、ビタミンDだけは粉ミルクに比べて少ないことが分かっています。完全母乳で育てられている子供はビタミンD不足に陥りやすくなっています。
消化器系統に病気があったり、未熟児で生まれたりすると、栄養をうまく消化、吸収することができずに体内のビタミンD、リン、カルシウムが不足してしまうこともあります。
未熟児で生まれた子供は体内ビタミンDの量が少ないので、新生児集中治療室に入る子供については必ずくる病の検査を行います。
遺伝が原因となるくる病には、男性に遺伝する家族性低リン血性ビタミンD抵抗性くる病などがあります。家族性のくる病は遺伝子の異常によって引き起こされ、リンが過剰に尿の中に出てしまうため、血中のリンが不足してしまうことで発症します。
思春期前後の女の子についてはダイエットや紫外線対策を過剰に行うことでくる病を引き起こしてしまうことがあります。過剰なダイエットを行うとカロリー不足に陥り、ビタミンD、リン、カルシウムが不足してしまうことがあります。
また日焼けをしないために、紫外線対策を過剰に行うと必要な紫外線さえも浴びることがなくなってしまいます。
まとめ
再び増加傾向にあるくる病から子供を守るために(前編)
くる病とは
くる病の原因