起立性障害 という病は医学的に精密な検査で立証された症状です。失神することもありますから、心配も大きいでしょう。先ずは非薬物療法から改善を図りますが、生活に支障がどの程度あるかによって、また重症度によって 薬 物療法が取り入れられます。
起立性障害と気になる薬の治療
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起立性障害の治療
治療の第一歩は非薬物療法から始められます。生活時間の改善から症状を和らげる、症状の出にくい動作を覚えるなどがあります。
その後必要に応じて薬が処方される場合がありますが、薬によっては水分や塩分の摂取量をコントロールする薬品もあるので、前段階の非薬物療法の時点で医師より指示される場合があります。
薬物療法では有効な成分が以下の物があります。
- 塩酸ミドドリン
- プロプラノロール
- メシル酸ジヒドロエルゴタミン
- メチル硫酸アメジニウム
血圧を上げる効果<塩酸ミドドリン>
薬品名はメトリジン、メトリジンD錠などです。血管の自律神経に働いて、血管を収縮させることで血圧を上げる効果があります。緩やかに長く効きますので、服用期間は長めになるでしょう。
低血圧や起立性障害の人に初めに処方されることが多いです。腹圧の問題による尿失禁の場合にも使われるお薬です。
副作用は比較的穏やかな薬ですが、頭痛、動悸、めまいや尿が出にくいなどがあります。
心拍を抑え心臓を休ませる効果<プロプラノロール>
薬品名はインデラルなどです。心臓の自律神経に働いて心拍を抑える働きがあり、不整脈や高血圧の人に使われるお薬です。起立性障害の場合では、頻脈(脈拍数が1分間に100回以上)による動悸やめまいの症状に使われます。
副作用としては、喘息には禁忌です。また、心疾患や高血圧の人は必ず医師に申告しましょう。
血管収縮の効果<メシル酸ジヒドロエルゴタミン>
薬品名はジヒデルゴット錠などです。血管の拡張を抑える効果のある成分で、片頭痛の強い痛みを抑える、起立性障害の低血圧の場合に血圧を上げる目的に使われます。起立性障害の処方として塩酸ミドドリンに効果が見られない場合に、次候補として使われます。
副作用としては、吐き気や動悸、めまいなどがあります。比較的穏やかに効きますが、めまいの副作用の可能性がありますから自転車などの乗り物の運転には注意しましょう。
血圧を上げる効果<メチル硫酸アメジニウム>
薬品名はリズミックなどです。交感神経を高めるノルアドレナリンという物質を増やす作用があります。交感神経が高まることにより血管を収縮させて血圧を上げます。起立性障害の低血圧症状で、塩酸ミドドリンに効果が見られない場合に使われます。
お薬との上手な付き合い方
起立性障害に処方されるお薬は、即効性の高いものや効能の強力なものが使われることは少ないですが、心臓や血管に作用する成分ですので、正しい用法と容量を守ることが重要です。
また、長期間の服用になることが考えられますが、子どもの年齢では自己管理することも求められます。ここで是非、医師に確認しておくと良いのが、誤って多量摂取してしまった時の予想される症状と対処法です。
特に、他にも内服薬がある場合は慣れたころにこのようなことが起こることも想定されます。日頃から、一回分をまとめておくことや、数をチェックする習慣などと合わせて、薬の知識を正しく豊富に持っておくと良いでしょう。
起立性障害は小学校4年生ぐらいから高校生まで症状があり、学年が上がるにつれ人数も増えます。軽度の場合、思春期の生理的反応として診断されない場合もありますが、朝の低血圧による倦怠感の辛さや失神などから、学業に影響してしまう子どもも少なくありません。
そして、朝や午前中は不快活で午後や夕方から快活になる様子から、「怠け者」と誤解を受けることもあり、辛い思いをしている子どももいます。その子どもの体調と生活スタイルに合った治療法で、症状と上手く付き合えると良いでしょう。
まとめ
起立性障害と気になる薬の治療
起立性障害の治療
血圧を上げる効果<塩酸ミドドリン>
心拍を抑え心臓を休ませる効果<プロプラノロール>
血管収縮の効果<メシル酸ジヒドロエルゴタミン>
血圧を上げる効果<メチル硫酸アメジニウム>
お薬との上手な付き合い方