気管支炎 は気管支の炎症によって起こる呼吸器系の病気の総称です。ウイルスや細菌による感染がほとんどですが、一部、ガスや大気汚染物質などを吸うことでも発症します。
子供から大人まで幅広く発症し、ごくありふれた病気の一つであるといえます。
誰でも発症することがある急性気管支炎
急性気管支炎とは
気管支は線毛と粘液腺に囲まれた細い空気の通り道です。呼吸をすると外界からの埃や微生物を含んだ空気がここを通ります。異物が侵入すると粘液腺から分泌される粘液に絡められ、線毛の動きで咳と痰として口から排出されます。
なんらかの原因で、気管支に炎症が起こり強い咳や痰が見られる病態を気管支炎と総称します。気管支炎になると、気管支内部の壁が腫れて粘液量が増えます。
そうすると、空気の通り道が細くなり、気道が狭くなるという状態が起こります。
急性気管支炎の原因
急性気管支炎の原因のほとんどはウイルスによる感染です。細菌感染はウイルスに感染した後の二次感染によるものが多いと考えられています。
原因となるウイルスは、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルスなどが挙げられます。ウイルス以外ではマイコプラズマやクラミジアなどの病原微生物が原因となることもあります。
二次感染することが多い細菌としては、肺炎球菌やインフルエンザ菌などがあります。
急性気管支炎の症状
まず上気道の炎症が始まり、ウイルス感染が下部へ広がっていくことによって気管支炎として発症します。上気道炎の症状が出て3~5日ほどして気管支炎になることが多いようです。
はじめに現れる上気道炎の症状は、鼻水、くしゃみ、頭痛、のどの痛みなどいわゆる風邪の症状です。上気道炎の症状に続いて、咳や痰が出るようになります。
はじめのうちは乾いたコンコンという咳が出ますが、次第に痰が絡んだガラガラする咳に変わっていきます。乳幼児はもともと気管支が細いため、喘鳴が聞こえることもあります。喘鳴とは呼吸をするたびに聞こえるヒューヒュー、ゼーゼーという音のことです。
発熱、咳、痰という組み合わせは、肺炎にも共通してみられる症状です。肺炎の場合は、炎症が気管支炎よりもさらに奥の肺胞で起こるので、胸部レントゲン撮影をすることで影になって映ります。
肺炎と気管支炎では治療方針が異なるため、明確な区別をつけるために胸部レントゲン撮影を行うことが多くなります。
色のついた痰が出てくるようになったら、細菌感染を疑います。色の濃度は様々ですが、細菌感染すると黄色や緑色の痰が出るようになります。
急性気管支炎の診断
急性気管支炎では、激しい咳や痰がある場合に肺炎との区別のため、胸部レントゲン検査を行います。胸部聴診では雑音が生じているかどうか確認します。
胸部レントゲン検査の結果、影がみられなければ急性気管支炎と診断されることが多いでしょう。
血液検査で白血球やCRPの値を確認する場合もあります。症状の重症度に応じて、痰の培養検査、気管支鏡検査などを行うこともあります。
急性気管支炎の治療に使われる薬
ウイルスには特効薬がないため、基本的には対症療法で治療を行います。鎮咳薬や去痰薬、気管支拡張剤などが用いられます。
鎮咳薬には、麻薬性のものと非麻薬性のものがあります。基本的に、子供には非麻薬性のアスベリンやメジコンなどを用います。
咳を抑える効果が高いリン酸コデインなどの麻薬性の鎮咳薬は依存性があることで知られています。また、呼吸を抑える効果もあるので子供への使用には注意が必要です。
ムコダインやムコソルバン、クリアナールなどの去痰薬は、症状に合わせて組み合わせて使われることもあります。
ホクナリンテープなどの気管支拡張剤は、狭くなった気管支を広げて呼吸を楽にします。テープは作用時間が長いのが特徴ですが、同じ場所に何度も貼らないように注意することが必要です。
ウイルスのうち、インフルエンザだけは抗ウイルス薬が特効薬となるため、発症後48時間以内にタミフルやリレンザなどを服用すると重症化を防ぐことができます。
マイコプラズマやクラミジアなどの病原微生物に対しては、クラリスなどのマクロライド系やミノマイシンなどのテトラサイクロン系、クラビットなどのニューキノロン系の抗菌剤が有効です。
細菌性の場合、百日咳についてはマクロライド系抗菌薬を使って治療を行います。
まとめ
誰でも発症することがある急性気管支炎
急性気管支炎とは
急性気管支炎の原因
急性気管支炎の症状
急性気管支炎の診断
急性気管支炎の治療に使われる薬