6歳未満の小さな子供に比較的よく見られる熱性けいれんは、現在のところ詳しい 原因 はわかっていません。はじめての 痙攣 の時は親も驚き慌てることが多いものですが、単純な熱性けいれんはそれほど怖いものではないということを知っておくと冷静に対処できます。
痙攣の原因は年齢的な要因が大きいことを知っておく
熱性けいれんとは
熱性けいれんとは小さな子供や赤ちゃんによくみられる痙攣で、38度以上の高熱を出している時に起こるものです。目が上の方を向いてしまい、両手足が硬くなって、ガタガタブルブルと震えるように動き、意識がなくなります。左右の手足が同じように痙攣することが多く、症状は程度によって様々です。
問題のない単純な熱性けいれんでは、痙攣している時間は数秒から数分ほどでその後、泣き出したり、眠ってしまったりします。
熱の上がり始めに痙攣が起きるので、発熱の初日にあらわれます。熱が上がりきって、高熱を維持している状態では痙攣はあまり起きません。
熱性けいれんを起こしやすい年齢
熱性けいれんを起こしやすいのは、生後6か月から3歳くらいまでと言われています。この年齢層の発症は8割を占め、5歳になると減少し、7歳を過ぎるとほとんどみられません。
中には何度も熱性けいれんを繰り返す子供もいます。7歳を過ぎても痙攣を起こす場合は、通常の熱性けいれんと考えられる高熱があるという状態でも、脳波検査や血液検査を受けておくと安心です。
4%~8%ほどの子供が熱性けいれんを経験します。その中で、痙攣が1度だけの子供は55%ほど、2度の子供は20%と言われています。ですから、熱性けいれんを起こす子供の多くは2回以下の発症であると言えます。3回以上繰り返す子供は、その後も繰り返す可能性が高くなります。
熱性けいれんは遺伝性があると報告されており、両親や兄弟姉妹が熱性けいれんを経験していると同じように発症する可能性が高いと言われています。
熱性けいれんの原因
熱性けいれんの原因は現段階ではまだはっきりと究明されていませんが、子供の脳は成長の途中で未熟であるため、急激な発熱で脳に異常な電気信号が伝わって痙攣が起こるのではないかと考えられています。
遺伝的な要因もあるとされていますが、どの遺伝子が熱性けいれんの原因になっているかはまだ証明されていません。
同じ程度の発熱でも、ヒトヘルペスウイルス6型による突発性発疹などでは熱性けいれんを起こしやすく、ウイルス性胃腸炎などでは起きにくいなど、発熱の原因となるウイルスによって発症のリスクが変わります。
熱がない時のけいれん
痙攣を起こす時、子供の脳では異常に強い電気信号が送られています。発熱していなくても痙攣を起こすことがありますが、これは熱性けいれんとは異なるものと考えられています。
熱中症などで脱水を起こしている時も痙攣を起こすことがあります。痙攣が起きると危険な状態ですので、すぐに救急車などで病院に運ぶようにしましょう。
無熱性けいれんが起きた時、もっとも心配な病気として挙げられるのが「てんかん」です。これは脳が異常な電気信号を勝手に送り、痙攣や意識障害がおこる病気です。小さな子供や赤ちゃんの場合、先天性や分娩時に大脳が傷つくことで発症するものが多いようです。
ダイアップに対する考え方が変わりました
熱性けいれんを起こしたことのある子どもにはジアゼパムという抗痙攣薬が処方されます。ジアゼパムの商品名はダイアップで、2回目以降のけいれんを引き起こさないように予防的に使われています。
2015年3月に日本小児神経学会が「熱性けいれん指導ガイドライン」にて、ダイアップの使用について一部、変更を行っています。15分以上の熱性けいれんの既往がある場合のダイアップ使用について変更はありませんが、これまでよりもダイアップを使える条件が厳しくなったと考えてよいでしょう。
発熱後1時間未満での発作である、38度未満での発作である、熱性けいれんやてんかんの家族既往歴があるといった6つの項目の中から2つ以上が当てはまる熱性けいれんが2回以上繰り返された場合に、ダイアップを使用するとしています。
参考までに、アメリカでは単純型と呼ばれる熱性けいれんでは予防的にダイアップを使わない方が一般的であることも知っておくと良いでしょう。
まとめ
痙攣の原因は年齢的な要因が大きいことを知っておく
熱性けいれんとは
熱性けいれんを起こしやすい年齢
熱性けいれんの原因
熱がない時のけいれん
ダイアップに対する考え方が変わりました