川崎病は、1967年に日本の川崎富作医師が報告、名付けた病気です。見つかってからまだ歴史の浅い病気であるため、子供の時に川崎病を発症し成人した人たちがどのような過程をたどり、高齢になっていくかまだ研究中という段階です。
川崎病 の 予後 について様々な観点から知っておくことで、適切な対応を取ることができるようになります。病院での定期的な検査は途中でやめたりせず、医師の指導のもと、必ず通うようにしましょう。
急性期が過ぎてからも慎重さが必要な川崎病の予後
急性期を過ぎた後
川崎病では、急性期にできるだけ早く治療を行い、炎症反応を終息させることで、冠動脈瘤ができるのを防ぐことができると言われています。1974年までは、1%以上であった死亡率も徐々に低下し、現在では0.01%程度となっています。
川崎病の患者のうち、3割程度の人に、冠動脈瘤が発症後4週間までの間に、あらわれます。多くは自然に消えてなくなりますが、そのうち1割の人に冠動脈障害が残ります。急性期の治療を終えて、退院した後も定期的に検査を行うことで様々な後遺症を発見することができるようになります。
冠動脈瘤や心筋虚血は、急性期の症状が落ち着いた後にあらわれてくることもあります。冠動脈の拡張や狭窄などが疑われる場合は心臓のカテーテル検査を行って、冠動脈全体を確認していく必要があります。大きな瘤は、何年も経ってから狭窄ができることもあるため、毎年の検査は欠かせません。
大きな瘤が残ってしまった時
直径4ミリ以上の冠動脈瘤が残っている場合は、冠動脈瘤が退縮して小さくなっていくまで、アスピリンなどの血が固まりにくくなる薬を服用する必要があります。血栓ができる恐れがある場合は、さらに効果の強いワーファリンなどの薬を服用することもあります。これらの薬を服用していると、出血時に血が止まりづらくなりますので、大きな怪我には十分な注意が必要です。
また、アスピリン服用中に水疱瘡やインフルエンザにかかると、ライ症候群を発症する恐れがあるため、幼稚園や学校での流行に気を付けます。周囲に水疱瘡やインフルエンザの患者が多くいる場合は、アスピリンを中止することもあります。医師との連携を密にして、対処します。
川崎病の後遺症での冠動脈の狭窄などは、無症状であることもあります。突然の心不全で分かることもあります。心電図、心エコー、運動負荷心電図、心臓CT、MRI、胸部X線などの検査をしっかりと受けていくことが、心臓の異常を早期に発見する鍵となります。
動脈硬化になる可能性が大きい肥満や高脂血症にならないよう、子供のころから生活習慣には十分に気を付けて、健やかな生活を送ることが大切です。
一般的な予後における注意点
川崎病の急性期治療では、ガンマグロブリンと呼ばれる血液製剤を使います。ガンマグロブリンでの治療を行った人は、その後、6か月間は予防接種を受けることができません。予防接種の問診票には、必ずこの記載がありますので注意しておきます。ガンマグロブリンには、様々な抗体が含まれているため、予防接種を受けても免疫力がつかず、予防接種の意味がなくなってしまうからです。
冠動脈瘤が退縮せずに残ってしまっている場合は、激しい運動を控えた方が良いこともあります。学校の体育や部活動などは、担当の医師とよく話し合って活動程度を決めた方が良いでしょう。「学校生活管理表」にAからEまでに分けられた管理区分を記入して、適切な学校生活を送れるように気を付けます。
川崎病を発症した時の状況を記入する「川崎病急性期カード」は、急性期の情報を正確に伝達するために大切なものです。母子手帳などと一緒に保管して、子供とも「川崎病急性期カード」についての情報を共有しておくと安心です。
川崎病の予後は、まだ研究途中にあるということを認識しておくことも必要です。成人後は、本人が川崎病についての情報に十分、注意するよう話しておくことが大切です。
まとめ
急性期が過ぎてからも慎重さが必要な川崎病の予後
急性期を過ぎた後
大きな瘤が残ってしまった時
一般的な予後における注意点