川崎病 と言う病気を知っているでしょうか。主に4歳以下の乳幼児に多い原因不明の病気で、心臓に 後遺症 を残す可能性があります。ここ近年、罹患率は増加傾向にあり、2012年には約1万4千人もの患者がいます。
早期発見・早期治療のため、身近にいる大人がこの病気の特徴を理解し、正しい対応をとることが重要になります。
川崎病の後遺症を防ぐには
川崎病の後遺症とは
川崎病は全身の血管に炎症を起こす病気と考えられています。この病気で一番の問題点は、冠状動脈という血管(心臓に酸素や栄養を含んだ血液を供給するもの)に後遺症が残る可能性があることです。
冠状動脈の血管壁に強い炎症が起きると、血圧に耐えられなくなり、冠状動脈の拡張や冠状動脈に瘤(こぶ)などができることがあります。将来、血管が狭くなったり血栓で血管がつまったりすることで、狭心症や心筋梗塞を起こす危険性が高くなります。
全患者の約10%前後の子どもに後遺症が残る可能性があります。後遺症が残った場合は、薬を飲み続けることや検査を受けることが重要です。
川崎病は原因が解明されていない病気です。しかし、治療方法や検査方法などは確立されているため、適切な治療を行えば、過度に恐れる必要はありません。
早期発見・早期治療
川崎病の症状は、大きく2つに分けて、急性期(病気にかかり急激に症状が出てくる時期)の症状と、後遺症(冠状動脈の障害などの心疾患)があります。
川崎病の治療目的として、急性期の強い炎症反応を可能な限り早期に抑え、冠動脈瘤(後遺症)を作らないこととされています。また、発症から遅くとも7日以内に治療を開始し、9日以内に炎症が治まることが重要とされています。
よって、後遺症を防ぐ方法としては、病気の早期発見・早期治療が重要なのです。川崎病には特徴的な症状があります。この特徴を理解することが、早期発見・早期治療につながります。
特徴的な症状
川崎病には特徴的な症状があり、主に6つの症状が見られます。そのうち5つを満たせば川崎病と診断されます(4つ以下しかあてはまらなくても冠動脈瘤がみられた場合は川崎病と診断されます)。
主な症状は次の6つになります。
- 38度以上の発熱が5日以上続く。
- 不定形の赤い発疹が全身に出る。
- 両方の結膜(白目)が充血する。
- 唇が荒れて真っ赤になり、舌に赤いブツブツ(いちご舌)ができる。
- 手のひらや足の裏が赤く腫れ、むくみがある。手足の指先の皮がむける。
- 頸部(首)のリンパ節が腫れる。
ただし、6つの症状は同時に現れるのではなく、症状が出そろうまでに2~5日間かかります。
主要症状以外にも注意
6つのうち4つしか認められない場合でも下記のような症状が見られる場合は「不全型川崎病」の可能性があるので、注意が必要です。
- BCG痕のまわりが赤くなる
- 機嫌が悪い(他の病気で熱を出した場合と比べ、やたらと機嫌が悪いのが特徴と言われています。)
- 黄疸、腹部痛、頭痛など
以上のような不全型川崎病が15~20%あると言われています。また、主要6症状のうち5つを満たさないケースが約10%あるため、主要6症状以外の症状にも注意が必要と言うことが分かります。
1歳前後の乳幼児の原因不明の高熱がみられ、唇や目が赤くなった時は、川崎病を疑い、早めに医療機関を受診しましょう。
後遺症が残ってしまったら
冠状動脈の拡張や瘤は自然に小さくなることがほとんどですが、まれに冠状動脈が詰まり、心筋梗塞を生じて死亡する場合もあるため、瘤により血管が狭くなってしまった場合には、血液が固まって血管を詰まらせないようにする薬を飲み続けることや定期検査を受けることが必要です。
後遺症が残っても、定期検査を受け、服薬を続ければ日常生活を送ることは可能です。しかし自覚症状がないため、年を重ねるにつれ検査に来なくなる人が多くなっています。
中学生~高校生になると、患者の約30%が定期検査を受けていないのです。冠動脈瘤は突然心筋梗塞を起こし、死亡するケースもあるので、検査を受けないことはとても危険です。成人後も定期検査は受けるべきです。
また、後遺症がない場合でも退院後に定期的な検査を受けることが大切です。継続的に検査を受けるためにも、川崎病の治療費については「小児慢性特定疾患医療給付」などといった名称で都道府県において医療費を補助している場合があります。
都道府県のホームページなどを確認して補助制度を有効に活用すべきです。
まとめ
川崎病の後遺症とは
早期発見・早期治療
特徴的な症状
主要症状以外にも注意
後遺症が残ってしまったら