秋から冬にかけて空気が 乾燥 してくると、肌がカサカサしてはがれ落ちるだけでなく、激しいかゆみを伴った 湿疹 ができることがあります。これらの症状は、肌が乾燥しやすい中高年だけでなく、子どもにも多く見られます。こうした冬場によくできる湿疹について見ていきましょう。
かゆくてたまらない 空気が乾燥する冬場の湿疹
どうして肌が乾燥するのか
本来、肌(皮膚)の潤いは、角質層で一定に保たれています。「皮脂」「天然保湿因子」「角質細胞間脂質」という3つの成分によって、水分を保持し蒸発を防いでいるのです。ところが、中高年になると、皮脂の分泌を促進しているアンドロゲンという男性ホルモンの一種が減少していきます。
それにともなって皮脂の分泌が少なくなり、皮膚から水分が蒸発するのを防ぐことができなくなるため、乾燥したカサカサの肌になるのです。また、思春期を迎えていない子どもは、アンドロゲンの分泌がもともと少ないため、皮脂そのものが少なく、乾燥しやすい肌をしています。
肌が乾燥すると、角質細胞がはがれて隙間ができてしまい、そこから異物が侵入しやすくなります。その異物が原因となって、湿疹ができたり、強いかゆみを感じたりするのです。
冬場にできる湿疹を分類すると
湿疹はさまざまな原因によって起こりますが、発熱を伴うか、伴わないかで大きく分けることができます。発熱を伴う湿疹は、例えば溶連菌感染症といった細菌やウイルスの感染が原因による湿疹だと考えられます。
一方、発熱を伴わない湿疹には、乾燥性湿疹やじんましん、とびひ、疥癬(かいせん)などがあります。発熱を伴わない湿疹のうち、冬場に多く見られるのが「乾燥性湿疹」です。これは、乾燥肌(乾皮症)が悪化してできる湿疹のことです。
そして、もう一つが「じんましん」です。この「乾燥性湿疹」と「じんましん」の大きな違いは、湿疹が現れてから消えるまでに要する時間です。「乾燥性湿疹」の場合は、炎症が治まるまで湿疹が消えることはありません。一方、「じんましん」は2~3時間、長くても24時間以内には消えてしまいます。
乾燥性湿疹とは
乾燥肌(乾皮症)になると、皮膚の表面にひび割れができ、そこから異物が侵入します。そして、その異物に対する防御反応として、かゆみを感じる知覚神経が皮膚表面まで伸びてきます。
そのため、衣服がこすれるといったような、ちょっとした刺激にも知覚神経が反応し、強いかゆみを感じるようになってしまうのです。かゆくて掻いてしまうと、皮膚が傷つき、湿疹になります。これが「乾燥性湿疹(皮脂欠乏症湿疹)」です。
「乾燥性湿疹」では、夜中に目が覚めるほど、激しいかゆみを感じることもあります。ホルモンの影響で皮膚が乾燥しやすい中高年や子どもに多く見られます。
じんましんとは
皮膚には、マスト細胞と呼ばれる免疫細胞があります。このマスト細胞は刺激を受けると、ヒスタミンという物質を放出します。このヒスタミンが血管や神経に作用して、かゆみや赤み、湿疹を引き起こすのが「じんましん」です。
「じんましん」は、さまざまな原因によって発症しますが、70~80%は原因がわからない特発性のものです。肌が乾燥すると、かゆみを感じやすくなるため、つい掻いてしまいがちです。その掻いた刺激が引き金となって、「じんましん」の症状を引き起こすことがよくあります。
冬場に「じんましん」が悪化するのは、このためです。また、屋外と室内の温度差が刺激となって、「じんましん」が出ることもあります。
いずれにしても乾燥肌のケアが重要
「乾燥性湿疹」も「じんましん」も、肌が乾燥すると刺激を感じやすくなり、症状が悪化してしまいます。そこでまず、肌の乾燥を防ぐ対策が必要です。次のようなことを心がけましょう。
- 肌の潤いを保つために、保湿剤を塗ったり、部屋の乾燥に注意しましょう
- 入浴時には、皮脂を取り過ぎることのないように、ゴシゴシ洗わないようにしましょう
- 肌着などは、木綿など刺激の少ないものにしましょう。
- 掻いてしまうと症状がひどくなりますので、なるべく掻かないようにしましょう
湿疹の激しいかゆみは、眠ることができなくなるほどつらいものです。なるべく、かゆみを起こさないよう肌の乾燥を防いでください。
まとめ
かゆくてたまらない 空気が乾燥する冬場の湿疹
どうして肌が乾燥するのか
冬場にできる湿疹を分類すると
乾燥性湿疹とは
じんましんとは
いずれにしても乾燥肌のケアが重要