感染性胃腸炎 は、ウイルスや細菌などの病原微生物によって引き起こされる胃腸炎のことです。学校や保育園で集団生活をする子供は、集団感染を起こしやすく、家族間にまでその感染が広がるため注意が必要です。
子供に多い感染性胃腸炎とは
子供に多い胃腸炎
感染性胃腸炎は子供に最も多い消化器疾患です。毎年全世界で約10億人が胃腸炎にかかっていますが、その中でも最も多いのが、途上国の5歳未満の子供です。
質の良い医療が受けられる先進国では、胃腸炎による嘔吐下痢で脱水症となり死亡するケースは少なくなりましたが、抵抗力の弱い乳幼児では重症化することもあります。
感染性胃腸炎の原因とは
感染性胃腸炎をおこすウイルスにはロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどがあり、細菌では、病原性大腸菌、サルモネラ菌、キャンピロバクター・ピロリ菌などがあります。
子供の感染性胃腸炎として代表的なものは、ノロウイルスとロタウイルスで、秋から冬にかけて流行します。
そのほか、学校の給食やレストランでおこった食中毒の原因菌として有名になったO−157は病原性大腸菌の一つであり、抵抗力の弱い子供では命を落とす危険もあります。
ノロウイルスとロタウイルスの特徴とは
ノロウイルスは感染した二枚貝を生で食べる、または十分に加熱処理をしていない食品を食べることで感染します。ロタウイルスは乳幼児に多くみられ、脱水症のために入院が必要となることがあります。
両者の特徴は非常に似ています。小型のRNAウイルスで感染力が非常に強く、数十個でも発症することがあります。
感染者の便や吐物にウイルスが多く含まれており、それを触った手から口を通じて感染する接触感染や、飛沫感染の可能性も指摘されています。食中毒パターンとヒトからヒトへの感染パターンがあるため、集団発生の場合は原因をしっかり調べる必要があります。
潜伏期間は1〜2日で、主な症状は嘔吐・下痢です。ノロウイルスでは発熱は少なく、ロタウイルスでは白い便(白色便)や発熱が特徴です。まれですが、重篤な症状としては、下痢症に伴うけいれんや、脳炎・脳症も報告されています。
ロタ・ノロウイルスの予防
学校や保育園、病院などでの集団感染はもちろん、家族間の感染率も非常に高いのが特徴です。
他の感染症と同様、まず手洗い・うがいを十分に行うことが大切です。石けんではウイルスは死なないため、30秒以上しっかりすすぎましょう。
感染者の吐物や便がついた衣服は処分するか、85度以上のお湯で1分以上加熱し、二次感染を防ぎましょう。また、接触感染や飛沫感染を防ぐためにもマスクの着用は有用です。
感染性胃腸炎にかかってしまったら
嘔吐・下痢により、水分やミネラルが体内から失われるため、特に脱水症になりやすい子供では、頻回に水分を補給してあげる必要があります。一度に多くの水分を与えると嘔吐してしまうため、こまめに与えることがコツです。
また、ミネラルを補給するため、OS1などのミネラルが入った市販の飲料水を利用するのも一つです。
嘔吐の多くは半日〜1日で治まってくるため、ゆっくり食事を開始してみましょう。当然下痢の回数は増えますが、食事開始が早い方が回復も早くなると言われています。
感染性胃腸炎の治療
ロタウイルスやノロウイルスに対する特効薬や予防接種はありません。嘔吐・下痢による脱水症を予防するために、経口・点滴補液や、発熱に対する解熱薬などの対症療法が主な治療となります。
抗生物質は無効であるばかりか、下痢を増悪させ、長引かせる可能性があります。
どのくらいで登校・通園できる?
ノロ・ロタウイルスによる感染性胃腸炎では、嘔吐・下痢が落ち着いて全身状態が改善すれば登校は可能です。しかし、発症後約1週間〜1ヶ月は便中にウイルスが排出されているとの報告があり、感染源となるため注意が必要です。
まとめ
子供に多い感染性胃腸炎とは
子供に多い胃腸炎
感染性胃腸炎の原因とは
ノロウイルスとロタウイルスの特徴とは
ロタ・ノロウイルスの予防
感染性胃腸炎にかかってしまったら
感染性胃腸炎の治療
どのくらいで登校・通園できる?