自閉症スペクトラムという言葉をご存知でしょうか。2013年にアメリカで発表された「精神疾患の診断・統計マニュアル」第5版で自閉症やアスペルガー症候群など発達障害の新しい分類として取り入れられた概念です。
自閉スペクトラム の 特徴 についてご紹介いたします。
早期対応が大切な自閉症スペクトラムの特徴とは
自閉症スペクトラムという考え方
2013年にアメリカの「精神疾患の診断・統計マニュアル」第5版において、それ以前にはアスペルガー症候群、高機能自閉症、早期幼児自閉症、小児自閉症、カナー型自閉症などと診断されていた障害が自閉スペクトラム症・自閉症スペクトラム障害に統合されました。
幼少期にアスペルガー症候群という診断を受けたお子さんが、成長して環境が変わっていく中で自閉症という診断を受けた場合と当初から自閉症という診断を受けた場合のお子さんの脳画像の差異がないという研究報告があります。
また、症状のあらわれ方によって生活に支障をきたす場合も、ほとんど問題がない場合もありますが、支援の方法も共通していることが多いものです。
「スペクトラム」とは「連続体」という意味ですが、この言葉を用いることで障害と障害の境界線を設けないというのが「精神疾患の診断・統計マニュアル」第5版の考え方です。
いままで、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害という別々の病名の診断であったものが、今後は多様な症状をしめす自閉症スペクトラムと診断されることが多くなると考えられます。
文部科学省では自閉症スペクトラムを「自閉的な特徴がある人は、知能障害などその他の問題の有無・程度にかかわらず、その状況に応じて支援を必要とし、その点では自閉症やアスペルガー症候群などと区別しなくてよいという意味と、自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害の下位分類の状態はそれぞれ独立したものではなく状態像として一つのものと考えることができるという二つの意味合いが含まれた概念である」と定義しています。
自閉症スペクトラムの特徴
自閉症スペクトラムと言っても、症状の強弱や知的障害の有無など、まさに十人十色の症状を呈します。
また、発達段階や環境などによって症状が大きく変化することもあると言います。それら全ての根底にある症状は「社会的コミュニケーションの困難」と「限定された反復的行動・興味」だと言うことができます。
0歳~小学校就学前の幼児期にみられる特徴としては、視線を合わせようとしない・ほかの子に興味を示さない・名前を呼んでも反応しないなどというように周囲に興味を持たないという傾向があります。
また、知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害のお子さんは言葉の遅れがあるためにオウム返しをするなど会話がうまくできないので、幼児が好むごっこ遊びを好まないことが多いものです。
日常生活のあらゆる場面でこだわりをもっていることが多く、手順が変わると混乱してしまうというようなこともあります。
小学校就学~卒業までの児童期にみられる特徴は、他人の気持ちを汲み取ることが苦手なので友達関係を構築することができず、集団生活になじむことが困難である・物事の手順に強いこだわりをもつために臨機応変な対応ができない・自分や他人の気持ちを説明することが苦手であるというようなことがみられます。
小学校卒業~成人するまでにみられる特徴は抑揚のない話し方をする場合がある・他人の感情を読み取ることが苦手である・特定の分野や物事に没頭し、大きな成果を上げることがある・雑談が苦手であるというようなことがみられます。
自閉症スペクトラムかもしれないと思ったら
自閉症スペクトラムの原因は現在のところ特定されていません。何らかの生まれつきの脳機能障害と環境的な要因が重なって発現するのではないかと考えられています。残念ながら、根本的な治療法は確立していない状態です。
自閉症スペクトラム障害のお子さんの対人関係のトラブルなどは適切な療育やサポートがないと解決が難しいものです。周囲の障害への正しい理解がないと、親を含めた周囲の方も負担が大きくなってしまいます。
早期に療育や環境を調整することで、トラブルへの対処の仕方や未然に防ぐ方法などを身につけ、症状を緩和することができます。心配な点があれば、まず、保健センターや子育て支援センターなどで一度相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
早期対応が大切な自閉症スペクトラムの特徴
自閉スペクトラムという考え方
自閉症スペクトラムの特徴
自閉症スペクトラムかもしれないと思ったら