「咳がでる時には小児科?それとも耳鼻咽喉科?(前編)」では、咳がでるメカニズムについてご説明いたしました。後編では、 咳 がでるときには 耳鼻咽喉科 を受診すべきか、小児科を受診すべきかご紹介いたします。
咳がでる時には小児科?それとも耳鼻咽喉科?(後編)
咳がでる時には小児科?それとも耳鼻咽喉科?
まず小児科は何歳まで通うことができるのでしょうか。乳幼児期から小学生くらいまでであれば小児科を受診することに対して問題ありません。
しかし中学生や高校生になると小児科を受診することにためらいを感じ始めて内科に移行したという親たちも少なくないでしょう。
平成18年、日本小児科学会では今まで小児科の診察対象を中学生までとしていたものを成人までと決定しました。この決定どおり子供に咳の出る症状があった場合は、迷うことなく小児科を受診すればよいのでしょうか。
それは決して間違いではないのですが断言もできないようです。小児科は子供特有の病気に長けた専門病院です。そして成人が受診する内科同様に外科的疾患以外の全般的な疾患を診察する病院です。
もちろん咳の症状があった場合も小児科を受診することは間違いではありません。しかし小児科を受診するか、耳鼻咽喉科を受診するかを決める際は、症状の出方によって決めるとよいでしょう。
一般的に咳や鼻水、痰は鼻やのどなどに異物が侵入したり、のどや鼻の粘膜に異物が付着して炎症を起こした際に出る症状です。
花粉症のアレルギー反応も吸い込んだ花粉が気道の粘膜に付着することで異物と判断して咳やくしゃみで排出しようとする症状です。
では咳の症状がある場合、耳鼻咽喉科では主にどのような治療をおこなうのでしょうか。まず内視鏡を使って鼻やのどの奥を直接みます。
のどに違和感があったり、おもにのどが原因と思われる疾患の疑いがある場合は、鼻の穴からファイバースコープという細い管状のカメラを挿入して詳細の検査をおこないます。
痰がからむ咳が続く場合は副鼻腔炎の可能性が高くなります。治療方法としては副鼻腔に溜まった膿を排出して洗い流す処置がとられます。
一方で処方薬として、原因となる細菌を死滅するための抗生物質と鼻水や痰の切れをよくするための薬、副鼻腔に溜まった膿を溶かすための薬が処方されます。
その中でも直接患部に吹きかけるネブライザーという器具の薬も処方されます。霧吹き状にでる薬剤が入ったネブライザーという器具を鼻の穴から入れて鼻腔に向けて噴出させます。
ネブライザーには鼻のとおりを緩和したり、鼻の粘膜の炎症を鎮める薬剤が含まれています。またアレルギーが原因と思われる咳やくしゃみに対しては抗ヒスタミン剤などが処方されます。
耳鼻咽喉科では薬を処方するだけにとどまらず、おもに直接患部を治療する方法がとられます。小児科では聴診器によって胸や呼吸の状態を確認したのち、のどの炎症を確認します。問診によって咳の出方や痰の有無などを確認したうえで処方薬を決定します。
のどの炎症など細菌感染などが疑われる場合は抗生物質が、また痰が詰まっている場合は痰が排出しやすい薬を処方します。
おもに咳や鼻水などの症状が顕著だった場合は耳鼻咽喉科を、発熱や嘔吐など全身に渡る症状が出ている場合は小児科を受診するという形がお勧めと言えます。
ただし咳が長期間続き全く改善されない場合は、風邪やアレルギーなどの比較的軽い疾患に留まらず、気管支炎や咳喘息をはじめとした呼吸器系の疾患の可能性も考えられます。
またそれ以外の大きな疾患が隠れている可能性も高くなるため、すぐに小児科を受診しましょう。状態に応じて、専門科がたくさん集中する総合病院などへの転院を紹介される場合も考えられます。
まとめ
咳がでる時には小児科?それとも耳鼻咽喉科?(後編)
咳がでる時には小児科?それとも耳鼻咽喉科?