インフルエンザ脳症 はインフルエンザの合併症のひとつで、命を落としてしまうこともある恐ろしい合併症です。毎年、100~300人の子供がインフルエンザ脳症にかかり、そのうち約30%が命を落としています。また、知的障害や麻痺といった重い後遺症を残すケースも約20%ありますので、十分に注意をしたい病気です。
それでは、インフルエンザ脳症の症状とその予防について詳しく見ていきましょう。
命の危険や後遺症が残るケースもある・インフルエンザ脳症。
症状と予防について。
インフルエンザ脳症の症状
インフルエンザは毎年冬から春にかけて流行するウィルス性の感染症です。インフルエンザに感染すると、発熱やせき、鼻水といった風邪の症状が出ます。
通常のインフルエンザだと、症状が出始めてから、4~5日で熱は下がり、1~2週間もすれば体はすっかり回復します。しかし、インフルエンザ脳症を発症した場合には、通常のインフルエンザとは異なった症状が出始めます。
インフルエンザ脳症を発病すると、発熱から数時間~1日でけいれん、意識障害、異常な言動といった3つのインフルエンザ脳症特有の症状が現れます。 ただ、このような症状が出たからといって必ずしもインフルエンザ脳症とは限りません。
例えば、けいれんの症状が出た場合、小さな子供に起きやすい熱性けいれんの場合もあります。熱性けいれんの場合には後遺症などの心配はありません。インフルエンザ脳症の診断が難しいのは、このように似たような症状を持つ病気との判断が付きにくいからです。
インフルエンザ脳症の症状のひとつである異常な行動には様々な例があります。例えば、急に赤ちゃん言葉を話し出したり、幻想・幻覚からくる意味不明な発言をしたり、急に叫び出したりします。
こういった症状が見られた場合には、インフルエンザ脳症の発病が疑われますので、すぐに病院を受診することが大切です。
インフルエンザ脳症の原因
インフルエンザ脳症は、6歳以下の小さな子供が発症することが多い脳症です。脳内にウィルスが侵入して炎症を起こしている脳炎とは異なり、脳症とは、脳内にウィルスが検出されてはいませんが、脳内の圧力が高まり、過剰な免疫反応が見られる状態のことをいいます。
それでは、なぜ脳内にウィルスがいないにもかかわらず、インフルエンザ脳症は起こるのでしょうか。
実は、インフルエンザ脳症が発症されるメカニズムに関しては、まだ分かっていないこともあります。ただ、ウィルスを退治しようと白血球から出されるサイトカインが過剰に出されることによって弊害が生じ、その結果としてインフルエンザ脳症が引き起こされる、という見方が有力です。
また、発熱の際にアスピリンなどの解熱剤を服用すると、インフルエンザ脳症が誘発されたり、重症化したりすることが分かってきました。特に小さな子供に解熱剤を使用する際には気をつけなければいけません。
インフルエンザ脳症の治療と予防
インフルエンザ脳症独特の3つの症状が現れ、インフルエンザ脳症が疑われた場合には、至急病院を受診しましょう。病院では、血液検査や髄液検査、頭部CT検査、脳波検査などを行います。
検査の結果、インフルエンザ脳症と診断が出た場合には、輸液をしたり、脳の圧力を下げるための減圧剤を使用したりします。また、けいれんを起こしている場合には、抗けいれん剤を使用します。
インフルエンザウィルスは非常に強いウィルスですので、インフルエンザ脳症にかからないためにも、インフルエンザを予防することが大切です。
インフルエンザ予防として効果的なのは予防接種です。インフルエンザの予防接種は任意ですが、恐ろしいインフルエンザ脳症を防止するためにも接種しておくのが良いでしょう。
インフルエンザが流行する冬には特に手洗いうがいを徹底し、外に出かける時にはマスクを着用するなど、インフルエンザ予防に努めることも大切です。
また、インフルエンザに感染した場合、早いうちに病院で適切な治療を行うと、症状が軽くなることが分かっています。ですので、症状が出始めたらすぐに病院を受診しましょう。
インフルエンザに感染すると、発熱の症状が出ます。しかし、発熱があるからといってすぐに解熱剤を使用してはいけません。
本来、発熱は体の中のウィルスを除去しようとする防御作用です。ですので、無理に熱を下げてしまうと、防御作用の力も弱ってしまい、逆に熱が長引いてしまうことがあります。
また、解熱剤使用によって、インフルエンザ脳症が誘発されたり、重症化したりしたケースもありますので、薬を服用する際には必ず医師に相談しましょう。
まとめ
命の危険や後遺症が残るケースもある・インフルエンザ脳症。症状と予防について
インフルエンザ脳症の症状
インフルエンザ脳症の原因
インフルエンザ脳症の治療と予防