子供はよく風邪をひくものです。食べ過ぎや食あたりで胃腸炎になることもありますが、風邪の症状のひとつとして胃腸炎になることが非常に多いもので、「胃腸風邪」という言葉が使われるほどです。
子供の患者の多い、人から人に うつる 感染性の 胃腸炎 についてご紹介いたします。
子供に多い人から人にうつる感染性の胃腸炎
感染性胃腸炎とは
子供の胃腸炎の9割はウイルス性胃腸炎や細菌性胃腸炎などの感染性胃腸炎だと言われています。病原体となるウイルスや菌を口にする経口感染の後、一定期間の潜伏期を経て、おう吐、下痢という順で病状が変化していきます。
発症後6~12時間以内はおう吐の時期にあたります。発症直後のおう吐によって胃の内容物を全て吐いてしまうと、吐き気がいったん治まります。ただ、おう吐し始めて2~3時間は胃腸の働きが非常に鈍くなっていますので、水分を摂ると吐いてしまうということを繰り返してしまうことがあります。
吐しゃ物で感染することもありますので、取扱いには注意が必要です。
最初のおう吐から6~12時間経過すると水分を口から摂取してもおう吐しなくなりますが、下痢が始まります。下痢は体外に病原体を排出する行為なので、下痢便には原因菌が多く含まれています。
おむつは密閉して処理し、保護者の手洗いと手指の消毒、使い捨てのマスクやエプロンの着用などが家庭内二次感染を防ぐひとつの方法となります。
主な感染性胃腸炎
ノロウイルス胃腸炎
ノロウイルス胃腸炎は11~1月の冬期に多くみられる代表的な感染性胃腸炎です。
ニ枚貝や井戸水の中のウイルスが人の腸内で増殖して、感染した人との接触や飛沫感染でうつります。少量のウイルスでも感染力が強く、便や吐しゃ物をそのままにすると、その中で1か月以上もウイルスが生き続けるといいます。
子供から高齢者まで発症する年齢層が幅広く、感染の頻度が高いことがよく知られています。
ニ枚貝は中心部を85~90度で最低でも90秒の加熱調理をすることが必要です。
感染力が強いので、排泄物の処理には手袋とマスクの着用をし、洗濯物もわけるようにしましょう。
ロタウイルス胃腸炎
5歳以下の子供のほとんどが罹るといわれている感染性胃腸炎で、別名を「乳幼児冬期下痢症」と呼ぶほどです。経口感染、飛沫感染、吐しゃ物からの感染が多く、白い水のような便が出るのが特徴です。
2~4日の潜伏期間を経て、おう吐、発熱、腹痛、下痢などの症状が出ますが、おう吐に比べて下痢の期間が長い場合が多いようです。
感染力が非常に強いので手洗い後に爪の間に少しでもウイルスが残っていると感染が拡大するほどです。
脱水に伴う腎不全や腸重積、痙攣や意識障害などの脳症や脳炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。そのため、国際的な保健機関であるWHOでもロタウイルスの予防接種を強く推奨しています。
アデノウイルス胃腸炎
夏に多いプール熱と呼ばれる喉や扁桃腺に症状の出ることの多い感染症ですが、胃腸に症状が出る場合があります。胃腸に症状が出るものは通年性です。子供の感染性胃腸炎のおおよそ2%を占めると言われています。
飛沫感染、便からの感染、直接患者と接触した場合の感染など、感染力は強いですが、ノロウイルスやロタウイルスに比べると吐しゃ物や便からの感染力は弱いとされています。免疫ができないので何度も発症する可能性があります。
安静にして脱水に気をつけながら自然治癒を待ちますが、子供の場合、重症化して腸重積を起こすことがあることに留意してください。
感染性胃腸炎の注意点
子供の急な発熱は保護者を非常に驚かせるものです。しかし、他の病気でもそうであるように、発熱は体がウイルスと闘っているあかしであることが多いので、素人判断で安易に解熱剤を使用しないようにしましょう。
下痢やおう吐もウイルスを体外に排出しようとする体の働きです。対症療法として薬を用いる場合は小児科医の診断を受けて処方されたものを正しく用いるようにしてください。
急激な腹痛や連続するおう吐、脱水症状や吐血などがみられたら、速やかに小児科を受診するようにしてください。
家庭内の二次感染を防ぐには上述したように保護者の手洗い、うがいや吐しゃ物や便を処理した後の消毒などが大切になってきます。トイレや洗面所付近を次亜塩素酸で拭き取ることも有効です。
まとめ
子供に多い人から人にうつる感染性の胃腸炎
感染性胃腸炎とは
主な感染性胃腸炎
感染性胃腸炎の注意点