子供 の集団生活の中で、 胃腸炎 は流行しやすい病気のひとつです。栄養状態の良い先進国では深刻な状態に陥る子供はほんの一部ですが、発展途上国では毎年何百万人もの子供が胃腸炎によって命を落としています。
胃腸炎はありふれた病気ですが、適切なケアが大変重要になる病気なのです。
適切なケアが重要な子供の胃腸炎
子供がかかる胃腸炎の種類
胃腸炎の原因は、おおむねウイルス、細菌、寄生虫の3つに分けられます。
子供がかかる胃腸炎の原因として最も多いのは、ウイルスによる感染です。子供の胃腸炎の9割程度はウイルスによるものと考えられています。
感染性の胃腸炎の原因ウイルスには、ロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなどが挙げられます。通年でみられる病気ではありますが、冬場になると特に多くなります。
細菌が原因の胃腸炎では、カンピロバクターが多く、サルモネラ菌、病原大腸菌、腸炎ビブリオなどが原因菌となります。報道などでよく聞くO-157は病原大腸菌の一種です。
赤痢アメーバ、クリプトスポリジウムなどの寄生虫が原因の胃腸炎もあります。寄生虫が原因の胃腸炎では、抵抗力の弱い子供は重篤な状態になることもあります。
胃腸炎の症状
胃腸炎にかかると嘔吐や下痢、発熱、腹痛などが症状としてあらわれます。一般的には、まず突然の嘔吐から始まり、発熱、下痢と続くことが多いようです。
ウイルス性の胃腸炎の場合、粘液や血液を伴わない水のような便が出ます。発熱を伴うこともありますが、多くは1日程度で解熱してしまいます。発熱の程度は微熱から39度近くまで幅があります。
細菌性の胃腸炎の場合は、粘液や血液を伴う便が出ます。発熱も高熱になることがあります。ウイルス性の胃腸炎よりも細菌性の胃腸炎のほうが症状は重くなる傾向にあります。
胃腸炎の子供を看病するときのポイント
ウイルス性胃腸炎には特効薬がないので、対症療法での治療が中心となります。細菌性の胃腸炎には抗菌剤を用いるので、指示された通りに服薬しましょう。
ウイルス性胃腸炎の嘔吐は長くても1日程度で落ちついてきます。胃が空になると吐き気がおさまるので、子供は食べ物や飲み物をほしがります。ですが、この時に果汁や乳製品を与えてしまうと、胃が消化吸収できずに再び嘔吐してしまいます。
嘔吐が始まって3~4時間ほどはなにも飲ませなくても吐いてしまうことが多いので、できるだけ飲んだり食べたりさせないようにします。4時間ほど経って、吐き気が少し落ちついてくるようであれば、お茶や水などを少量ずつ飲ませます。
大人用のイオン飲料は電解質の濃度が低く糖度が高すぎるので、乳幼児用のイオン飲料を飲ませるようにしましょう。冷たい飲み物は胃を刺激するので、常温で与えます。
病院で処方される吐き気止めのナウゼリンは強い作用がありますが、めまいや頭痛などの副作用もあるので子供には使いすぎないようにすることが大切です。
嘔吐がおさまるころには、下痢がひどくなっていきます。多くは3日~4日ほどで落ちつきますが、1週間程度長引くこともあります。
乳幼児ではさらに下痢が続いてしまうこともあります。乳幼児は腸の粘膜が痛むと回復までに時間がかかるためです。
子供は体の水分が多く、簡単に脱水を起こします。尿量の減少や皮膚の乾燥はもちろん、元気がない、すぐに眠ってしまうというのも脱水の症状のひとつです。
少量のイオン飲料を頻回に飲ませることが大切だということを念頭に、脱水には十分注意しましょう。
胃腸炎にかからないために
胃腸炎の原因となる病原微生物は口から入ることが多いので、手洗いとうがいが最も効果的な予防方法となります。小さな子供は口に手をやることも多いので、消毒液を使うなど清潔を保つ工夫をしましょう。
子供の胃腸炎の原因として多いロタウイルスは、平成23年にワクチンが販売され、重症化を防ぐことができるようになりました。
初回接種は生後14週6日までに行うように推奨され、自治体によっては公費助成で接種できるところもあります。積極的にワクチン接種を受けるようにすると安心です。
胃腸炎以外の病気との区別も大切
感染性胃腸炎とよく似た症状を呈するアセトン血性嘔吐症は、2~6歳程度の子供に発症する病気です。
これは精神的なストレスや疲労、緊張などが原因で起こる嘔吐を主訴とする病気です。繰り返し起こる病気なので、保護者は子供の状態をよく観察し、小児科医と相談することが大切です。
腸重積や盲腸、睾丸捻転、腎盂腎炎、髄膜炎なども嘔吐が症状としてあらわれます。これらの病気では、なにも飲まなくても嘔吐が続きます。
嘔吐が一向におさまらない場合は、夜間でも早めに医療機関を受診するようにしましょう。
まとめ
適切なケアが重要な子供の胃腸炎
子供がかかる胃腸炎の種類
胃腸炎の症状
胃腸炎の子供を看病するときのポイント
胃腸炎にかからないために
胃腸炎以外の病気との区別も大切