冬になると子供はよく 胃腸炎 にかかります。おなかの風邪とも言われ、感染拡大しやすいことから幼稚園や小学校で流行することもあります。胃腸炎で最も怖いのは脱水に陥ることです。上手に水分補給をして脱水症状にならないように気を付けましょう。
子供の胃腸炎は脱水症状に気を付けてケアを行う
子供の胃腸炎の原因
胃腸炎の原因はウイルスによるものと細菌によるものに分けられます。子供の胃腸炎においては、ウイルス性の急性胃腸炎が9割を占めます。代表的なウイルスはロタウイルスで、保育園や幼稚園、小学校などで流行します。
くしゃみや唾液から感染拡大していくので、衛生観念の乏しい乳幼児ではおもちゃなどを介して広まりやすくなります。
細菌性の胃腸炎ではカンピロバクター、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、病原大腸菌などが原因として挙げられます。海外に渡航することの多い子供ではコレラや赤痢なども胃腸炎の原因となります。
汚染された食べ物を触ったり、食べたりすると子供は細菌性胃腸炎に感染しやすくなります。十分に加熱されていない卵や肉、殺菌処理の甘い牛乳やジュースなどでも感染します。冷蔵庫で保存せずにいると、細菌が増殖してしまうこともあります。
また、ごくまれに寄生虫などが原因となる胃腸炎もあります。赤痢アメーバ、ジアルジア、クリプトスポリジウムなどが原因となり、小さな子供や赤ちゃんにおいては重症化することもあります。
ニュースでも取り上げられることのあるO-157は病原大腸菌のひとつで、出血性の下痢を引き起こします。O-157に感染すると二次的に溶血性尿毒症症候群(ようけつせいにょうどくしょうしょうこうぐん)の重い症状を発症することもあります。
胃腸炎の症状
胃腸炎にかかると突然の嘔吐、下痢、腹痛が次々に症状としてあらわれます。発症したばかりのうちは嘔吐の症状が目立ちますが、次第に下痢と腹痛が目立ってきます。嘔吐と下痢が一度にあらわれることもあります。
ウイルス性の胃腸炎の場合、下痢は水っぽい便(水様便)となります。粘液や血液はあまり見られません。発熱することもありますが、ごく短い間にさっと上がり、1日ほどで下がってしまうこともよくあります。
細菌性胃腸炎では、発熱を伴い、粘液状の便や血液が混じる血便も見られます。排便したすぐ後にまたトイレに行きたいと感じる「しぶり腹」と呼ばれる状態もよく見られます。
小児科での胃腸炎の診断の際には、子供の様子と子供が発症する前に何に接触したかという点が非常に重要になります。保護者はこれらの情報をしっかりとまとめて、診察の際には的確に話せるようにしておきましょう。
胃腸炎の治療
胃腸炎では、基本的には十分な水分と食事を与えて安静にして症状が落ち着くのを待つという治療方針になります。激しい嘔吐や下痢で脱水になり、水分摂取ができなくなってしまった場合は入院治療することもあります。
通常、子供には下痢止めの薬は処方されません。嘔吐が激しく、体力を著しく消耗していたり、水分を十分に摂取できなかったりする場合には、吐き気や嘔吐を予防する薬が処方されることもあります。
ウイルス性の胃腸炎には抗生物質は効きません。細菌性胃腸炎で原因が推測されている場合は、抗生物質を投与することもあります。寄生虫に感染していることがわかった場合は、抗寄生虫薬を投与します。
ホームケアでは脱水症状に気を付ける
嘔吐や下痢は適切なケアをしていれば、快方に向かっていきますが、その際脱水症状に陥らないように十分気を付ける必要があります。
小さな子供や赤ちゃんは嘔吐の症状がある時は、少しでも飲み物を飲むと刺激で嘔吐してしまうことがあります。嘔吐はそれほど長い時間は続きません。嘔吐の症状が少し落ち着いてきたら、様子を見ながら少しずつ頻回で湯冷ましなどを与えましょう。
大人用のスポーツドリンクは塩分摂取が過多になることもありますので、子供用のイオン飲料を与えるようにすると良いでしょう。
嘔吐や下痢の症状が強くて、口から飲むことができない時やすでに脱水症状がみられる時は点滴しなければならないこともあります。口や皮膚が乾いていたり、6時間以上排尿がなかったりする時はすでに脱水に陥っている可能性があります。至急病院で診察してもらうようにしましょう。
食事は胃腸に負担がかからないように、おかゆや薄くしたミルクなどを与えます。消化の良いものを少量ずつ与えて、様子を見ながら量を増やしていきます。子供はお腹がすくと飲んだり食べたりしたがりますが、欲しがるままに与えると胃腸炎を長引かせることもあります。
胃腸炎にならないためには
胃腸炎にならないための最善の予防の基本は手洗いとうがいです。帰宅した時、食事の前などにしっかり手を洗うことを習慣化すると良いでしょう。
ロタウイルスについては、感染予防のためのワクチン接種が勧められています。経口のワクチンで、初回接種は生後14週6日までに行うように推奨されています。公費補助のある自治体も増えてきましたので、お住まいの自治体に確認してみると良いでしょう。
まとめ
子供の胃腸炎は脱水症状に気を付けてケアを行う
胃腸炎の症状
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ホームケアでは脱水症状に気を付ける
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