「イタイ!子供が嫌がるイボ治療選びは頭を悩ます(前編)」では、イボの種類についてご説明いたしました。後編では、 イボ の 治療 法や治療上の注意点についてお伝えいたします。
自己判断での治療ですと逆に治療が長期化してしまうこともありますので皮膚科の受診をおススメします。
イタイ!子供が嫌がるイボ治療選びは頭を悩ます(後編)
イボの治療方法にはどのようなものがある?
イボの治療は、イボの種類やできた場所、状態によって期間や方法は異なります。一般的にイボは痛みがなく自然治療で治るものもありますが、見た目に違和感があり、子供は意識的に掻きむしってしまい、ウイルスをどんどん広げてしまう可能性が考えられます。
そのため自己判断せず、必ず一度病院を受診することをお勧めします。ではいくつかの代表的なイボの治療方法を紹介します。
1つめはピンセットで除去です。この方法はおもに水イボの時におこなわれます。数ヶ月から最高3年程度放置することで自然に治るもののため、患者が子供の場合痛みのない自然治療を選択する場合もあります。
しかしイボの数が多く、できる限り早く治したい場合には、専用のピンセットを使いつかみ取る方法を取ります。麻酔シールを1時間程度貼付したあとに施術をおこなうことで痛みは多少緩和されます。
しかし水イボのもっとも多い罹患者数である子供にとっては麻酔シールを貼ったのちでも強い痛みを感じ治療を嫌がる場合も非常に多いようです。また一度に全てのイボをとることは難しいため、何度も通院しこの施術をおこなわなければなりません。
2つめは液体窒素凍結療法です。尋常性疣贅などのもっとも代表的な治療方法として凍結療法があげられます。最初に硬くなった部分のイボだけを削り取ります。痛みを感じることはほとんどないようです。そのあと液体窒素で凍結します。
ウイルス感染している部分を急激に冷やすことでウイルスを壊死(えし:組織の一部が死滅した状態)させる方法です。液体窒素をしみこませた綿棒を患部に塗り込んだり、スプレータイプの液体窒素を使用します。
しかしこの方法でも一回ではすべてのウイルスを壊死させることはできません。一回の凍結療法で壊死させることができなかった奥の方に潜んでいるウイルスは、少しずつ奥から表面上にイボを再生させます。
このようにウイルス性のイボは、そのウイルスを完全に死滅させない限り、イボの再生を繰り返すこととなります。そのため凍結療法はウイルスを完全死滅させるまでの数週間何度も続けなければならないのです。
凍結時に強い痛みが生じるため苦痛を感じる患者もいるようです。とくに患者が子供の場合は何度も通院が必要になるため治療が難しいと感じる場合もあるようです。しかし保険適用できるため、治療方法の中ではもっとも一般的なものとされています。
3つめは炭酸ガスレーザーです。隆起しているイボに有効的でレーザーを照射すると水分に吸収され蒸散させることによって患部を除去するという方法です。局部麻酔をするため痛みもなく出血もほとんどありません。
4つめは硝酸銀ペースト法です。ペースト状の薬剤を患部に塗って放置しておきます。しばらくすると乾燥してきて、多少かゆみやヒリヒリ感がでる場合もありますが、2週間程度で黒っぽく変化したイボが取れるという方法です。
5つめはサリチル酸絆創膏(スピール膏)です。薬剤が含まれた絆創膏を患部に貼り、毎日絆創膏を交換することで、しばらくするとふやけてきてイボが取れるという方法です。
6つめはくり抜き法です。ミルメシアのようにウイルスが皮膚の奥深くまで侵入している可能性が高い場合は、局部麻酔をかけ、イボをくりぬく方法を取ります。
7つめはヨクイニン内服です。ヨクイニンとはハトムギの種の皮をとった天然の種子です。
ビタミンB群、カルシウム、タンパク質、鉄が含まれていて、イボだけでなく、肌荒れなど皮膚のトラブル改善のために必要な薬効成分をもち、比較的低年齢から内服することができるために広く使われます。
ヨクイニン内服単独の治療ではなく、別の外的治療と併行する場合が多いです。
治療上の注意
とくに患者が子供で液体窒素凍結療法を経験した場合、治療時の痛みで次の通院が困難になる場合があります。そのため市販薬として簡単に入手できるヨクイニンで、自宅治療を考える親たちも少なくないようです。
ヨクイニンは生薬のため副作用は比較的少ないとされていますが、それでも患者の体調などによって下痢や蕁麻疹などの症状がでる場合があります。
また皮膚疾患は、自己判断でイボと診断しても、まれに悪性の腫瘍で癌化するものもあります。
あるいは長期のヨクイニン内服後に初めて病院を受診しても、患部が悪化してしまい、逆に治療を困難且つ長期化してしまう可能性も考えられます。自己判断によって一度も皮膚科や小児科を受診せずにヨクイニンだけで治療することはお勧めできません。
まとめ
イタイ!子供が嫌がるイボ治療選びは頭を悩ます(後編)
イボの治療方法にはどのようなものがある?
治療上の注意