感染した乳児の場合、重症化あるいは深刻な事態を招く大変怖い 百日咳 ですが、初期段階であれば、有効な治療 薬 があります。お子さんのいつもと違うな?という症状に早く気づいてあげることが大切です。ここでは、有効薬と治療のタイミングについて、しっかり把握しておきましょう。
初期段階ならば効果を発揮する百日咳の薬について
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治療薬
百日咳に感染した場合は、百日咳菌に対抗できる抗生物質を使用することになります。重症化を防ぐためにも、できるだけ初期段階で治療を実施することが望まれています。
百日咳の早期治療が大切なのは、発症して3週間程度たってしまったころには、典型的な激しい咳の発作があったとしても、すでに百日咳菌が体内に残っていない場合があるためです。
したがって、発症から3週間を経過した頃には、せっかく抗生物質による治療を実施しても、あまり効果が得られないということになります。咳の発作が出ているのに、どうして抗生物質が効かないのか?それは、百日咳菌の毒素が、感染と同時に排出されており、その毒素により気管がすでに損傷を受けてしまっているためです。
咳そのものは百日咳菌の毒素排出による気管の損傷によるものですので、菌に対抗する抗生物質は、気管の炎症(咳)そのものには効果がないということなのです。早期治療が望まれるのは、こういった理由からです。
治療薬としての抗生物質は複数ありますが、百日咳菌には、マクロライド系、そしてテトラサイクリン系が使用されます。マクロライド系には、エリスロマイシンを14日間、クラリスロマシンを7日間、ロキシスロマシン、アジスロマイシンを5日間服用します。
錠剤や粉薬の代わりにシロップが出ていますので、乳児にも適応できます。テトラサイクリン系には、テトラサイクリン、ミノサイクリンが使用されています。抗生物質は菌に対抗する薬ですので、咳を抑えるための薬そして気管支拡張薬などは、お子さんのそれぞれの症状に応じて、処方されます。
治療のタイミング
前述のように、百日咳を発症して3週間もたってしまうと、抗生物質の効き目が期待できませんので、初期段階の症状としての微熱、鼻水、くしゃみ、そして軽めの咳が出てきた段階で(1、2週間のうちに)、すぐに抗生物質の治療を受けることが大切です。
特に予防ワクチン接種が受けられないでいる生後3ヶ月未満の乳児には素早い対応が求められます。生後1ヶ月でも、前述の抗生物質を服用することで深刻な状態あるいは重症化あるいは死亡を防ぐことが可能です。風邪に似た症状が出たら、すぐに医療機関へ直行しましょう。
勝手な自己判断は禁物
百日咳の自宅での治療に関して注意点がありますので、覚えておいてください。お子さんが微熱、くしゃみ、鼻水そして軽い咳をしているから、その症状を抑えようと、市販の子供用風邪薬で対応しようなどと自己判断で薬を飲ませようとしないでください。
もうお察しかと思いますが、百日咳は百日咳菌の感染症です。したがって、咳止め薬や感冒薬では対応することができないのです。特に乳幼児に対しては、市販薬の使用も注意が必要だということを覚えておきましょう。
おかしいなと思ったら、すぐに医療機関へ連れてゆかなければなりませんが、まず自分でできることを確認しておきましょう。まず、生後3ヶ月たったらすぐに百日咳に対抗できる予防ワクチンを接種させることです。
そして、それ以前であれば、自宅でも百日菌が感染するであろう要因となる環境を排除しておくことです。例えば、御両親や兄弟姉妹が風邪のような症状をしていた場合、あるいは御両親の喫煙、埃、雑菌など、ちょっとしたことですが、免疫力がない幼児には危険因子となる場合もありますので覚えておいてください。
なるべく家のなかの乾燥を防ぎ加湿器などを使用して乳児の気管を守ってあげてください。脱水症状もよくないので、乳児のこまめな水分補給は絶対に忘れないでください。母乳、粉ミルク、お水などの液体で乳児の気管の乾燥を防いでください。
微熱、くしゃみ、鼻水といった症状がなくても、なかなか眠ってくれない、尿や便の排泄量が減った、逆に排泄量が増えた、そして涙目であったり、疲れたようなぐったりしたような元気のない状態があれば、百日咳でなくても疾患にかかっている可能性もあります。
特に感染症は、お子さんだけではなく、周囲の子供や大人にも感染しますので、自己判断だけは絶対にしないでください。
まとめ
初期段階ならば効果を発揮する百日咳の薬について
治療薬
治療のタイミング
勝手な自己判断は禁物