ヘルパンギーナ は、乳幼児の間で流行する夏風邪の一種です。保育園などに通い始め、集団生活を送り出すと、とたんにかかりやすくなります。ほとんどの場合は病気の治りもよく心配の少ない病気ですが、ときに合併症を起こすこともありますので、 症状 は注意深く観察する必要があります。
注意を怠ってはいけないヘルパンギーナの症状
ヘルパンギーナの原因はウイルス
ヘルパンギーナは、コクサッキーウイルスやエコーウイルスが感染することによって発症します。これらのウイルスは、主に咳やくしゃみによる飛沫感染で感染します。
夏から秋にかけて流行し、患者の90%が4歳以下の子供です。特に、1歳ころの子供が発症することが多いとされています。
とにかく口の中が痛いヘルパンギーナ
ウイルスに感染すると、2~4日の潜伏期間の後、突然39度以上の熱を出します。そして、のどの奥が赤くなり、「のどびこ」や「のどちんこ」と呼ばれる口蓋垂のあたり一帯に、直径1~2mmの赤い水疱(水ぶくれ)ができます。
この水疱はやがて破れて、白い膜が張った浅い潰瘍になり、とても痛みます。口の中が痛いため、子供はミルクを飲むのを嫌がったり、食欲不振になったりします。
手足口病との症状の違い
ヘルパンギーナとよく似た病気に、手足口病があります。手足口病も、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスに感染することで発症します。夏から秋にかけて流行し、主に4歳以下の子供がかかるなど、ヘルパンギーナと同じような特徴を持っています。
手足口病とヘルパンギーナの大きな違いは、「発熱するかどうか」です。ヘルパンギーナが39度以上の熱を出すのに対し、手足口病の場合、発熱するのは全体の30%ほどで、発熱しないケースのほうが多く見られます。
もう一つ、手足口病とヘルパンギーナが異なるのは、口の中にできる水疱の位置です。ヘルパンギーナが口の奥のほうにできるのに対して、手足口病では口の前方にできます。
また、ヘルパンギーナでは手や足に水疱はできません。発熱の有無、水疱の位置の違いで、ヘルパンギーナと手足口病は見分けることができるのです。
合併症を起こすことも
ヘルパンギーナの原因ウイルスは、さまざまな病気を引き起こします。そのため、稀ですが、ヘルパンギーナには、いくつかの合併症が現れることがあります。
無菌性髄膜炎は、発熱だけでなく、頭痛、嘔吐といった症状が現れます。ただし無菌性髄膜炎は、細菌性髄膜炎よりも軽症で、対症療法のみで治ります。
急性心筋炎は、心臓を動かしている筋肉にウイルスが感染する病気です。胸の痛みや動悸、呼吸困難、むくみといった心不全の兆候が現れないか注意が必要です。
熱性けいれん(ひきつけ)を起こすこともあります。熱性けいれんとは、38度以上の高熱が出たときに起こるけいれんや一時的な意識障害のことです。熱性けいれんを起こした場合は、子供の様子をよく観察して、主治医に相談するようにしてください。
特に脱水症には注意を
ヘルパンギーナは、原則的に治療は不要です。熱が下がってから7日間程度で自然治癒し、後遺症なども残りません。
ただ、注意が必要なのは、口の奥にできた水疱や潰瘍が痛み、食事を摂れなくなることです。痛みがひどいときには、水分も飲めなくなるため、脱水症を起こすケースがあります。
そこで、家庭では、十分に水分をとらせるように心がけましょう。オレンジジュースなど、酸味の強いものは口内炎にしみて痛いので、避けるようにします。牛乳や麦茶、冷めたスープなど、刺激の少ないものを飲ませるようにしてください。
また、食べ物は、かまずに飲み込めるものを与えるほうがよいでしょう。ゼリーやプリン、アイスクリーム、豆腐、冷めた雑炊、冷めたグラタンなどが勧められています。
もし次のような症状が見られる場合は、再度診察を受けるようにしてください。
- 口の痛みが強くて水分をとれないとき
- 合併症の兆候が見られるとき
- 熱が3日たっても下がらないとき
- 元気がなくて、ぐったりしているとき
ヘルパンギーナは特に出席停止となる期間は設けられていませんが、保育園や幼稚園は、熱が下がって口の中の痛みがなくなるまでは休ませるようにしてください。
まとめ
注意を怠ってはいけないヘルパンギーナの症状
ヘルパンギーナの原因はウイルス
とにかく口の中が痛いヘルパンギーナ
手足口病との症状の違い
合併症を起こすことも
特に脱水症には注意を