扁桃腺炎は、小さな子供がかかりやすい病気のひとつとしてよく知られています。放っておくと合併症を起こしたり、慢性化することもあります。他の病気と同様に、早めに診察を受けてきちんと治療することが大切です。
家庭で知っておきたい 扁桃腺炎 の基礎知識と 薬 についてまとめました。
放置はせずにきちんと治療を!知っておきたい子供の扁桃腺炎と薬の知識
扁桃腺とは
のどの手前の左右に盛り上がった部分が扁桃腺です。甲状腺などとは違い、実際には腺ではないのですが扁桃腺という名称です。扁桃とも呼ばれます。
扁桃腺は、私たちの体内に侵入しようとする細菌やウイルスから体を守る防波堤の役割を担っています。見た目はサクランボの実やアーモンドの種子に似ています。
扁桃腺炎はどんな病気?
ヒトの扁桃腺周辺には、常に多数の細菌が存在しています(常在菌)。常在菌は、ヒトが健康な時には暴れたりせずにおとなしくしています。
しかし、体力が落ちている時などは活発になり悪さをすることで、扁桃腺が炎症を引き起こします。この状態が扁桃腺炎です。症状はのどの痛みや発熱、倦怠感などでカゼとよく似ています。
急性扁桃腺炎の症状が進み炎症が広がると、より重い症状の扁桃腺周囲炎、さらには扁桃腺周囲膿瘍を引き起こします。年に数回扁桃腺炎が起きると、慢性または習慣性の病気と見なされます。
頻繁な発熱で日常生活に支障をきたすほど深刻な状態であれば、摘出手術が必要になることもあります。
扁桃腺炎の原因
原因となる扁桃腺周辺に存在する常在菌の種類には溶連菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは別)などがあります。溶連菌が原因の扁桃腺炎は、合併症を起こしやすいことが特徴です。また、ウイルスが原因で起こる扁桃腺炎もあります。
薬の種類
初期や軽い扁桃腺炎であれば、うがい薬やトローチのみで回復することもあります。高熱が出たり、のどの痛みがひどい時にはアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの鎮痛・解熱剤、関節の痛みには消炎湿布や飲み薬などが処方されます。
また、脱水症状を防ぐために、水やお茶よりも体内に吸収されやすいイオン飲料の摂取をすすめられることもあります。
細菌に対しては、主としてペニシリン系の抗生剤による治療となります。細菌の種類を特定し、最も効果のある抗生剤を用いるために、のどをこすって採取した菌を3日間繁殖させます。
なお溶連菌に関しては、最短15分で特定が可能です。溶連菌が確認された場合には除菌がすすめられています。除菌方法は特定の抗生剤を10日間、種類によっては5日間服用します。
抗生剤が使えない人には漢方薬
アレルギーなどで抗生剤が使えない人には、代わりに漢方薬が処方されることがあります。漢方薬は西洋医学の薬と比べると副作用が比較的少ないために、大人はもちろんデリケートな子供も安心して服用できます。
カゼと同様に、初期には葛根湯が非常に有効です。葛根湯には、のどや関節の痛みを和らげる効果も含まれています。進んだ症状には、よく知られている桔梗湯や大柴胡湯を始めとして豊富な種類の漢方薬の処方が可能です。
ウイルスには対症療法のみ
ウイルスが原因の場合には、特効薬がないために対症療法のみとなります。従って、抗生剤は使われません。例外は単純ヘルペスウイルスのみです。ちなみに水ぼうそうの治療と同じ抗ウイルス薬(感染症治療薬)が処方されます。
食事が取れない時には
痛みや高熱で食事が取れない日が続くと、特に小さな子供の場合は体力がさらに低下したり脱水症状の恐れが出てきます。この場合は点滴で栄養分や薬を補給をすることもあります。
まとめ
放置はせずにきちんと治療を!知っておきたい子供の扁桃腺炎と薬の知識
扁桃腺とは
扁桃腺炎はどんな病気?
扁桃腺炎の原因
薬の種類
抗生剤が使えない人には漢方薬
ウイルスには対症療法のみ
食事が取れない時には