子供の高熱の原因として「扁桃腺が腫れた」という症状を思い浮かべる保護者の方は数多いのではないでしょうか。あまりにも頻繁に扁桃腺炎を繰り返していると扁桃腺の摘出手術を勧めらるということもあるかもしれません。
扁桃腺 の 手術 についてメリット・デメリットを含めてご紹介いたします。
扁桃腺の摘出手術のメリット・デメリット
扁桃腺とは
口を大きく開けてへら状の舌圧子で舌を押さえると、口蓋と呼ばれる口の天井部分の脇にあるのが、一般的に扁桃腺と呼んでいる口蓋扁桃です。
小児科で「あ~んして」と言われて診察を受けているとき、この口蓋扁桃はチェックポイントとして大きな意味をもっています。感染症にかかるとこの口蓋扁桃が腫れることが多いからです。
実は扁桃は口蓋扁桃だけではありません。
舌の根元部分には舌扁桃、鼻から入って喉の奥に突き当たるところには咽頭扁桃(アデノイド)、さらには耳の中の耳管と呼ばれる管の一番奥の耳管扁桃、つまり、口の中に3つ、耳と喉がつながるところに1つの扁桃が存在します。
喉の周りを取り囲むようにウイルスや細菌から体を守る最初の関門となっているのです。
現在でも一般には「扁桃腺炎」という言葉が使われてはいますが、扁桃は何かを分泌している器官ではないので、医学的には扁桃と呼ばれています。ここでは一般的に扁桃腺と呼ばれてきた口蓋扁桃を「扁桃」として論じていきます。
扁桃摘出手術を勧められるのは
生後数か月経つと口の中にはさまざまな菌が常在するようになります。急性扁桃炎はそれらの常在菌が活動を起こして扁桃に炎症を起こす病気です。常在菌には溶連菌・ブドウ球菌・肺炎球菌などがあり、その他のウイルスによっても炎症を起こします。
扁桃には免疫細胞も存在するのですが、一方、外界からの菌やウイルスも入りやすく細菌が溜まりやすい部位でもあります。まだ免疫力が十分でない子供は扁桃に炎症を起こす急性扁桃炎になりやすいものです。
急性扁桃炎を繰り返し慢性扁桃炎の状態になると、扁桃そのものが病巣となって他の病気を引き起こすことがあります。たとえば、溶連菌が原因になると腎炎・リウマチ熱・心内膜炎などの合併症を起こすことがあることがよく知られています。
また、扁桃周囲炎(扁桃周囲膿瘍)といって扁桃周囲に炎症が広がり、膿をもつようなこともあります。一度扁桃周囲炎になると繰り返すことが多くなる傾向にあります。
扁桃炎や扁桃周囲炎を繰り返して発症している場合、年間の回数によって扁桃摘出手術を勧められることがあります。
また、上述のように扁桃そのものが病巣となって他の病気を引き起こしている場合や扁桃が肥大化することで睡眠時無呼吸症候群を引き起こしている場合なども扁桃摘出手術を勧められることがあります。
扁桃摘出手術のメリット・デメリット
メリット
まず、扁桃を摘出してしまえば炎症の頻度が非常に低くなります。高い熱や喉の痛みに苦しむことは格段に少なくなりますが、喉そのものの粘膜が腫れたりして熱が出ることはあります。
扁桃炎の重症化を防ぐことができます。上述した扁桃周囲膿瘍になってしまうと、最悪の場合、膿が広がって命を脅かすようなこともあります。
また、腎臓の病気の原因菌が扁桃に潜んでいる溶連菌であるような場合では、扁桃を摘出することで腎臓の病気の重症化も防ぐことができます。
子供の睡眠時無呼吸症候群の原因の多くは扁桃肥大とアデノイド増殖症だと言われています。扁桃肥大によって気道が狭くなって呼吸が苦しくなっている場合は呼吸が楽になります。
デメリット
手術後数日間は喉の痛みがあり、特に食べたり飲んだりするときには痛みが伴います。通常、食前には痛みを緩和する飲み薬を処方されることが多いようです。
手術は全身麻酔で行われますので、全身麻酔のリスクが伴います。
場合によっては手術時に使用する開口器が舌を圧迫する影響で味覚障害が起こることがあります。
口腔の構造が変化することによって声変わりをすることがあります。
扁桃摘出後、他のリンパ組織が代償的に肥大し、喉に違和感を感じることがあります。
子供の扁桃摘出手術の注意点
扁桃は免疫を担っている器官ですが、子供の扁桃摘出手術の適応年齢である4~5歳以上になると他の扁桃組織が十分に発達しているため口蓋扁桃を摘出しても代償されると言われています。
睡眠時無呼吸症候群と考えられる場合は低年齢でも手術の適応となります。
麻疹・流行性耳下腺炎・百日咳などの伝染性疾患を含め、体調の悪いときは手術を避けなければなりません。
まとめ
扁桃腺の摘出手術のメリット・デメリット
扁桃腺とは
扁桃摘出手術を勧められるのは
扁桃摘出手術のメリット・デメリット