「子供が「発達障害」、診断されたらどうすればいいの?(前編)」では、発達障害児の現状や診断方法についてご紹介いたしました。後編では、発達障害の諸症状についてまた 発達障害 だと 診断 を受けた 子供 の生活法についてご紹介いたします。
子供が「発達障害」、診断されたらどうすればいいの?(後編)
発達障害の諸症状
「自閉症スペクトラム」についてですが、DSM-4までは「広汎性発達障害(PDD)」「アスペルガー障害」などの名称もつけられましたが、現在DSM-5ではそれらはすべて「自閉症スペクトラム」という名称で統括されています。
それを受けて文科省では、「3歳くらいまでに現れ、①他人との社会的関係の困難さ②言葉の発達の遅れ③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経に何らかの要因による機能不全があると推定される。」と定義されています。
この診断をうけた時には是非「光とともに」(著者・戸部けいこ)と「自閉症の僕が跳びはねる理由」(著者東田直樹)を読んでください。この内容により自分の子供のことと照らし合わせ、症例を取捨選択した上で具体的な支援につなげられると思います。
病院での診断材料として、日常的にこだわりがみられるか、目をまぶしそうにしていないか、突然の物音に対してパニックを起こさないか、つま先立ちで歩く癖はないか、苦手な衣類はないか、オウム返しがないかなどが医師から訊ねられます。
これらはすべて自閉症スペクトラムの典型的な症状ですが、全員が同じ症状を持つのではなく、個々によって違います。
先述した東田直樹さんは重度の自閉症患者として、喋ることはできませんが、パソコンでタイピングすることで、このような自身の状態を語っており、これは世界的にも稀な例だとして大変注目を集めています。
「わがままな子供」と思われていたり、「すぐに騒ぐ」と思われていたり、そんな辛い思いはもう必要ありません。困っているなら、子供の特性を伝え周りに支援をお願いしましょう。
「親のしつけが悪い」と思われがちなADHD
よくある特徴ですが、動いてはいけないところで体が動いているといった様子で、学校での朝礼などで先生に「グイッ」と顔を前に向けられる子供がみうけられます。ADHD児では、その時に初めて「あ、自分横向いていたんだな。」と気づく子供も珍しくありません。
そのような学校生活を通して、知的能力に問題のない子供は、周りから「ふざけている」と感じられる傾向にあるようです。
しかし、ADHDの人たちは、ふざけているわけでもなく、むしろ真面目な人間が多くいますが、なかなか理解を得られないのも現状です。そして、これが何年間も積み重なると、本人にとっては非常に大きな心の負担から、二次障害や不適応行動となってあらわれてくるのです。
軽いタイプだと、慣れて長期記憶に落とし込めれば問題なく学校生活も仕事も生活もできますが、慣れるまではすべての失敗を一通り行うこともあります。親御さんにはそういったお子さんのために、周りから特性の理解を得られると良いでしょう。
「脳の特性のため本人の自覚なく体が動く場合があります。」また、「注意欠陥のために忘れ物が多く、ご迷惑をおかけします。」など、名札の裏に書くなどして、電車に乗る際、迷子になった際に対応していただけるよう、前もって準備をしましょう。
知的障害があり、学習に影響がある子供のことは学習障害とは言いませんが、全体的な知的能力には低さがみられないのに計算だけができない、文章だけは書けない、などの特定の部分に障害がある子供を学習障害と診断します。
この子供たちは他の能力がずば抜けて高いこともあり、東京大学の中邑先生はこの子たちやその他の発達障害の子に着目して、ロケットプロジェクトを行っています。
しゃべったり、日常生活を送る上では全く問題なく、受け答えなどはしっかりしていて「この子賢いわ。」といった印象にもかかわらず、テストをみると大したことない。「あの子賢いのにな。」という違和感を感じたときなど、もしかするとその子は学習障害かもしれません。
本人も「もっとできるはずなのに。」と苦しんでいます。IQは天才的なことも多くあるので、一度知能検査を受けて、才能を発揮させてあげてください。
ディスレクシアは「読み書き障害」とも言われます。他の学習の部分に問題はないのに、文字を読むのに揺れ・重なり・ダブりなどがあらわれ、表記ができない、または読むことができずに苦しんでいます。
この人たちの多くに空間認知力や、同時処理能力の高い人が多く、一見すればすべてのものの構造がわかる強みで、建築家を多く輩出しています。
決して諦めずに、むしろ強力な生きる手段と見込んで、どうぞ専門家の指示を仰いでください。
発達障害と診断された子供との暮らし方
発達障害とは総じて先天性の脳機能障害であり、幼少期に年齢相応の発達がみられない、認知能力や学習能力などの一部にだけ遅れがみられるのが特徴です。決して親のしつけが悪いわけではありません。
しかし、その後の経験で生活面への影響は変えていくことができますので、診断されてからの生活を変え、子供を家族で支えていくようにしましょう。
発達障害のお子さんには「安心できる」と感じられる場が最も必要です。診断前はどこにも安心できる場がなくて、狭いところに閉じこもったり、自分の殻に閉じこもっていたと思いますから、まずは家庭でも学校でも安心できる場所を作ってあげましょう。
そして、家族で情報を共有し、同じ方向へ足並みをそろえて生活することが必要です。例えば、母親は許してくれる事柄を、父親には叱られていると、子供は何が正しいのか分らなくなり、不安を募らせる原因となってしまうからです。
叱りたい、イライラする気持ちがわき上がることは仕方のないことですが、この子の人格を責めたところで子供の問題行動は減りません。子供の行動に対して正しく導き、子供の自己肯定感を高めて、いずれ将来的に、才能を発揮できる下準備をしてあげましょう。
それでも、家族の足並みがそろわないご家庭には、どうぞペアレントトレーニング(PT)や家族療法、親子ケアなどを受けに専門家のもとを訪ねてください。
まとめ
子供が「発達障害」、診断されたらどうすればいいの?(後編)
発達障害の諸症状
発達障害と診断された子供との暮らし方