お子さんが 発達障害 の 診断 を受けました。親御さんは今どんな心もちですか?受け入れられないという方、すっきりしたという方、複雑な心境でしょう。けれど、この子はこの子です。診断前も今も何も変わっていません。これまでと変わらぬ愛情を注ぎ、次のステップに進みましょう。
発達障害の診断までと、診断後の生活はどう変わる?(前編)
診断に至るまで。「気づき」が大切なポイント。
発達障害には早期の療育が重要です。療育の時期を遅くするほど二次障害につながる恐れが高まります。脳は9歳までに成人並みに成長しますので、できればその時期までに療育を始めたいところです。
もしもそれ以降だったとしても諦める必要はありません。特性が薄い、症状の軽い子は発見が遅れがちですが、治療や療育をすすめることで今後の困り感を減らしていけるでしょう。
基本的に発達障害は乳児期から児童期に発症しますので診断されるまでは言葉が遅い子や、社会的に問題がある子を親のしつけのせい、と周囲に受け取られがちで、親の孤立は深まります。
具体的な手だてを要する時期の孤立は、ネグレクトや、子供への暴力的な行動を増やし、中には大きな事件を起こしてしまうなど、深刻な問題につながっていくこともあります。
「気づき」を得る具体的なポイントであり、どの症状をお持ちのお子さんに全般的にあてはまることは、「年齢相応の発達と比べた様子」と「できることとできないことのバランス」に着目します。
次に日常にあらわれる特性を症状ごとにまとめます。
自閉症スペクトラムのお子さんは、おもちゃをひたすら並べ続ける、他児とのかかわりがなくても大丈夫そうにみえる、目が合わない、接触をきらう、言葉の発達(遅い、早いが録音された言葉のようだ)などの様子がみられます。
ADHDのお子さんは、動きが激しい、ぼーっとしていて忘れ物が多い、転びやすい、道路への飛び出し、飽きやすい、などの特性があります。
学習障害のお子さんは5歳ころの健診があればその時にわかり、6歳の就学時健診で指摘されることも多くあります。絵本を読みたがらない、線をまっすぐ書けない、言葉の発達の遅れ、聞き間違えが多いなどの特徴があります。
これらの症状に心当たりがあれば、すぐにでも発達専門の医者にかかりましょう。発達専門の病院はいつでも予約がいっぱいだったりしますが、初診が2か月先となる場合も多く、高額な初診料を準備することもありますので、発達障害の疑いを感じたらすぐに行動に移しましょう。
診断に必要なもの
生育歴がわかる母子手帳や、日記、子供のノート、特徴が残されている動画(短く編集したもの)、などがあると良いでしょう。お子さんを連れて行って医師にみせても症状がその時にあらわれない場合もありますから、あらかじめ入念な準備が必要です。
問診時に診断名を得ることもありますが、WISC-Ⅳの検査を実施した後に診断されることが多いと思います。
WISC-Ⅳ(Wechsler Scale for Children-Fourth Edition)とは、ウェクスラー社が開発した知能検査で国際的に広く用いられています。一人の人間の知的発達の状態をプロフィールで表示し、個人内差という観点から総合分析をしようとした検査です。
対幼児向けにはWPPI(Wechsler Preschool and Primary Scale of intelligence)、成人向けにはWAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)を用います。
この中でWISC-Ⅳは適用年齢が5歳0か月から16歳11か月で、発達障害のお子さんの心理アセスメントには必要不可欠な検査です。
15の下位検査で構成され、10の基本検査を実施することで5つの合成得点が算出されますが、この合成得点から知的発達の様子を多面的に判断します。
検査の結果が出たころ、再度病院へ行って心理士か医師から検査結果について説明があります。そして、この子の脳の特性から今後必要な支援や対策が具体的に提案されます。
中には投薬をすすめられる場合もありますが、心配な点は納得するまで相談して治療、療育をすすめていきましょう。
まとめ
発達障害の診断までと、診断後の生活はどう変わる?(前編)
診断に至るまで。「気づき」が大切なポイント。
診断に必要なもの