肺炎球菌は、感染するとさまざまな病気を合併する恐ろしい細菌です。そこで、2010年から日本でも予防接種が行えるようになりました。
肺炎球菌予防接種 を受けた際、どのような 副作用 に注意すればよいのか、見ていきましょう。
肺炎球菌予防接種にはどのような副作用があるのか
肺炎球菌の予防接種とは
肺炎球菌は、咳やくしゃみなどの飛まつによって感染します。感染すると、髄膜炎、肺炎、中耳炎などを合併することがあります。特に乳幼児においては、細菌性髄膜炎の原因菌としての頻度が高いため、注意が必要な細菌です。
そこで、2010年から日本でも、沈降7価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー)の任意接種が始まりました。肺炎球菌には90以上の種類があり、それぞれ特徴が異なっています。
プレベナーの「7価」というのは、90種類以上のうち、特に重篤な感染症を引き起こす7種類について、予防効果があることを示しています。プレベナーの接種は、2013年から定期予防接種に格上げされました。
定期予防接種とは、予防接種法によって接種の時期や回数、対象年齢が定められたもののことで、他にポリオや麻疹などがあります。さらに2013年11月からは7価ワクチンから、13種類の肺炎球菌に対応する13価ワクチンに切り替わりました。
プレペナーは生後2カ月から接種できます。また、初回接種の月齢・年齢によって、接種回数が異なります。このように月齢が低いときから複数回接種することになるプレベナーには、どんな副作用があるのでしょうか。
厚生労働省が発表している『小児用肺炎球菌ワクチンの切り替えに関するQ&A』から見ていくことにしましょう。
重い副作用が現れることはまれ
重い副作用として挙げられているのが、アナフィラキシー、痙攣、血小板減少性紫斑病などです。
アナフィラキシーとは、短時間のうちに全身にアレルギー反応が出る症状のことです。じんましんなどの皮膚症状、咳などの呼吸器症状、唇の腫れなど粘膜症状、腹痛などの消化器症状、血圧低下などの循環器症状が見られます。
特に、急激な血圧低下で意識を失うショック症状は危険な状態です。
血小板減少性紫斑病は、血液中の血小板の数が減少し、出血しやすくなる病気です。紫斑とは皮下出血でできた青あざを示しています。
これらの重い副作用が起こるのはまれで、それほど心配はいらないとされています。
注射部位に現れる副作用とは
もっともよく副作用が現れるのは注射したところで、皮膚が赤くなったり、腫れたりします。国内で行われた臨床試験の集計結果では、84%に紅斑(赤くなること)、70%に腫脹(腫れること)が見られました。
この紅斑や腫脹は、通常3~4日で自然に消失しますが、もし熱を持っている場合や、赤みが強い場合は冷湿布を行います。また、頻度は10%未満ですが、硬結といって皮膚が硬くなり、塊のようになったものができることがあります。硬結は次第に小さくなりますので、放置して構いません。
よく現れる副作用とは
臨床試験で70%以上の子供に見られた副作用が、発熱です。肺炎球菌の予防接種では、発熱はとてもよく見られる副作用だと認識しておいたほうがよいでしょう。
ただ、ほとんどが37.5~38.5度の発熱で、40度を超えるようなものはまれだとされています。発熱した場合は、アセトアミノフェン等の解熱剤が処方されることがあります。
その他に多かった副作用としては、食欲の減退が約31%、うとうとするような感じ(傾眠状態)が約52%、怒りっぽくなる、取るに足りないことで不機嫌になる(易刺激性)が約45%、などが認められています。
予防接種はスケジュールを立てて
これまで見てきたように、肺炎球菌の予防接種では、高い頻度で副作用が見られます。しかし、細菌性髄膜炎や肺炎といった重大な病気を防ぐのに有効な手だてであることは間違いありません。
できれば、生後2カ月になると同時に、肺炎球菌とヒブワクチン、そして任意接種にはなりますが、B型肝炎とロタウイルスの予防接種をするのが望ましいでしょう。
子供の予防接種は、しっかりとスケジュールを立てて漏れなく受けていくことが大切です。
まとめ
肺炎球菌予防接種にはどのような副作用があるのか
肺炎球菌の予防接種とは
重い副作用が現れことはまれ
注射部位に現れる副作用とは
よく現れる副作用とは
予防接種はスケジュールを立てて