「子供の肺炎治療における維持期のステロイドの長期服用について(前編)」では、肺炎におけるステロイド治療の重要性やステロイド離脱症候群の危険性についてご説明しました。
後編では、子供の 肺炎 治療における ステロイド の副作用である多毛症や胃部不快感、食欲増進についてご紹介します。
子供の肺炎治療における維持期のステロイドの長期服用について(後編)
易感染症以外のステロイドの副作用による子供目線の困りごと 多毛症
子供がステロイドを服用し日常生活で意外と困っていると感じていることは、多毛症・胃部不快感・食欲増進・食欲減退があります。多毛症は沢山体毛が生えるという事ではなく、体毛が生え変わるサイクルが遅くなるために腕や足の毛が長くなり、目だってしまうといった状態です。
小学校低学年ぐらいですと周囲の子供と比べるとあからさまに毛が濃く見えますので、嫌な気持ちになることがあるようです。カミソリなどで剃ってしまうと子供の皮膚は荒れやすく、ステロイド治療中は抵抗力も弱い状態ですのでお勧めしません。脱毛器具を使うのも同様です。
もし、何かしら対処してあげたいと思うのであれば、切る事が一番です。バリカンで切ってしまう事がお勧めです。
胃部不快感
ステロイドの副作用であるように消化性潰瘍というものがありますが、そこまで状態がひどいものにはならなくても、薬自体はとても強いので、胃に不快感を覚えることがあります。このような時、子供が、ムカムカ、吐き気等を訴える事が多くなり、口臭もきつくなります。
この場合、胃が荒れている可能性が高いですので医師に相談して胃薬などを処方してもらってください。ステロイド治療中は市販薬に頼らず、主治医と相談の元で薬の使用を行う事が大切です。給食を食べる事が出来きず、プレッシャーを感じている子供も少なくはありません。
担任の先生に相談しておくと子供も安心できるでしょう。口臭対策も子供本人は気が付かないことが多いので、少し親が気にかけてあげるといいと思います。
食欲増進
ステロイドの副作用として食欲増進があります。ステロイドの大量投与により内臓脂肪が蓄積しやすく、また手足よりも体の中心、顔や、肩、お腹に脂肪沈着が起こりやすいといった中心性肥満を引き起こします。
見た目にはムーンフェイスといってお多福のようになりますし、ポンと突き出たおなかになってきます。子供に沢山食べるなという事は難しいですが、体重が増えればそれだけステロイドの効きが悪くなりますので、体重コントロールを行う事は治療を進めるうえで欠かせません。
そのような時は寒天ゼリーなど腹持ちが良く、カロリーが少なめの物を間食に交えるとよいです。食物繊維も取れて便秘の解消にもつながります。
肺炎に限らずステロイドを使った治療に必ず副作用があります。しかし、副作用といった身体症状面にだけ目を向けるのではなく、子どもが生活の中で困っていることはないか?と目を向けてみることも大切です。そうすれば、治療期間もさほど苦痛なく過ごせる時間に変わっていくと思います。
まとめ
子供の肺炎治療における維持期のステロイドの長期服用について(後編)
易感染症以外のステロイドの副作用による子供目線の困りごと 多毛症
胃部不快感
食欲増進