重篤な 肺炎 治療にはプレドニゾロン等の副腎皮質 ステロイド 薬が処方される事が多く、またその投与期間は数週以上続きまた、症状の寛解状態を維持するためにさらに数か月に渡って行われることが一般的です。
そのような中、子どもを持つ親が最も心配する事は、ステロイドが子供に与える副作用です。重篤な副作用は医師に相談することが望ましいですが、その他の長期服用における子供へのステロイドの影響について子供の生活目線から考えてみたいと思います。
子供の肺炎治療における維持期のステロイドの長期服用について(前編)
ステロイドとは
副腎皮質ステロイドとは人間の副腎から作られる物で、炎症を抑えたり免疫機能を抑制したりるする効果があります。人間の体内では朝までに多く作られ、寝るころまでには使ってしまうといった仕組みです。
子供の熱が朝はそんなになかったのに、午後になって急に高くなるといった経験をお持ちの方も多いと思いますが、この現象はこの自分の副腎から作られる副腎皮質ステロイドが大きく関与しているのです。
肺炎におけるステロイド治療
ここでは、個々の肺炎疾患については触れませんが、肺炎におけるステロイド治療は、ステロイドによる炎症を抑える効果を期待して、自分の体内で生産される副腎皮質ステロイドの量よりもさらに多く体内に投与することで肺の炎症を抑え治療しようとするものです。
通常ではプレドニゾロンという薬を使用することが多く、子どもの体重によって調整しますが、初期段階では1日20mg~60mgの投与から開始し、炎症が治まって3日以上経過するなどすると、2週目ぐらいからを目途に、徐々に減量させていくといった投与方法をとります。
1日20mg以下に減量していくとさらにゆっくりと月単位で減量していく事方法が比較的多く用いられます。
なぜステロイド薬はゆっくりと減量なのか?
人間の体内では一日に、プレドニゾロン換算で2.5~5mgの副腎皮質ステロイドが作られています。しかし、ステロイド治療により自分の体内で作られる量以上にステロイドを体に投与した場合、副腎が自分でステロイドを作ることをやめてしまうといった現象が起こります。
そのような中、急にステロイドの投与をやめてしまうと体内に副腎皮質ステロイドが不足し、ステロイド離脱症候群といった頭痛・吐き気・倦怠感・血圧低下などの症状が出てしまう事につながるのです。
ですから、この症状を防ぐために徐々にステロイドを減量し自分の副腎から再び副腎皮質ステロイドが作られるようになるよう調整していくのです。その為、ステロイド治療はどうしても長期服用を余儀なくされてしまっています。
ステロイドの副作用
子供のステロイド治療を行う際に気になる点は、その副作用です。ステロイドの主な副作用は、易感染症・骨粗鬆症・糖尿病・消化性潰瘍・血栓症・精神症状・ムーンフェイス(中心性肥満)・白内障・緑内障等が主に言われます。
しかし、子どもの場合、易感染症に気を配ったり虫刺されに気を配ったりする必要はありますが、その他を過度に心配する必要はありません。また、伸長が伸びにくくなるといった点も指摘されますが、ステロイドを減量して5mg以下で維持していくような場合は長期に服用しても殆ど影響は出ないことが多いようです。
心配な場合は母子手帳にある成長曲線というものに子供の成長を照らし合わせてみるといいです。今の子供が平均的にどの程度成長しているのかわかりますし、成長の経過を知ることができます。
ステロイド治療はイメージ的に強い副作用が心配されますが、まずは肺炎などの疾患の治療が優先であり炎症を抑え症状を緩和していく事が先決です。子供のストレスを早く軽減してあげるといった視点を持つことも大切であると思います。
後編では、ステロイドの副作用である多毛症や胃部不快感、食欲増進についてご紹介します。
まとめ
子供の肺炎治療における維持期のステロイドの長期服用について(前編)
ステロイドとは
肺炎におけるステロイド治療
なぜステロイド薬はゆっくりと減量なのか?
ステロイドの副作用