牛乳 を飲むとお腹が痛くなったり、 下痢 をしたりする子供がいます。乳糖不耐症という病気の場合、適切なケアをしてあげることで栄養を上手に摂取していけるようになります。乳糖不耐症について親が正しい認識を持つことが大切です。
牛乳を飲むといつも下痢をするのは病気?
乳糖不耐症とは
子供が牛乳を飲むたびに下痢を起こす場合、乳糖不耐症である可能性が高くなります。ラクトースという乳糖は母乳や牛乳などに含まれる栄養素で、子供の成長には非常に大切なものです。口から取り込まれた乳糖は、小腸にある乳糖分解酵素(ラクターゼ)によって分解されます。
乳糖不耐症の子供は、このラクターゼと呼ばれる乳糖分解酵素が先天的になかったり、少ししか生産されなかったりして、小腸での乳糖の分解と吸収がうまくできずに消化不良の状態となってしまいます。分解することができなかった乳糖は大腸の中で発酵して、下痢を引き起こします。
生まれつき乳糖分解酵素がない状態は先天性乳糖不耐症と呼ばれます。小さな子供や赤ちゃんはウイルスや細菌などが原因の腸炎を発症すると、腸の粘膜が傷つけられて、酵素の活性度が低下することがあります。これを後天性乳糖不耐症と呼びます。
体を十分に休ませて、腸の粘膜が正常に回復していくと、再び乳糖を上手に分解していけるようになります。
牛乳や母乳を多く摂取する乳幼児期においては、乳糖分解酵素はたくさん作られますが、大人になると徐々に乳糖分解酵素の活性度が低下していきます。
日本人の成人の約4割の人は乳糖分解酵素活性が低下していると言われています。子供のころはなんともなかったのに、大人になってから牛乳をたくさん飲むと下痢をする人がいるのはこのためです。
乳糖不耐症の時の対応
牛乳や母乳を飲むと腹痛を訴え、すっぱい匂いのする水っぽい下痢をするのが乳糖不耐症の症状です。適切な治療をほどこすために、まずは乳糖不耐症かどうかの確認を行います。
乳糖を飲ませ、血糖値と便中の糖の排泄を確認して診断を行います。小さい子供や赤ちゃんの後天性乳糖不耐症が疑われる時は、それまでの病歴や今回、腸炎などを発症していないか、乳糖除去ミルクの使用で状態が改善していくかどうかといった点をみていくことで、判断できます。
乳糖不耐症であることが確認できた場合、乳製品を除去、制限して症状の改善をはかっていきます。赤ちゃんには乳糖を含まない特別なミルクを与えます。腸炎などによる一時的な後天性乳糖不耐症の場合は、乳糖分解酵素を薬として与えることもあります。
乳糖不耐症の時の代替品
中心的な栄養としてミルクや母乳を飲んでいる乳児で乳糖不耐症が判明した場合は、乳糖を含まない特別なミルクを与えます。「ラクトレス」、「ソーヤミルク」、「ボンラクト」などが薬局で市販されています。
これらの特別なミルクを与える際には、かかりつけの小児科医とよく相談して使うようにします。親の勝手な判断で使用を中止することのないよう注意しましょう。
軽度の乳糖不耐症の子供の場合、ヨーグルトだと下痢を起こさないということもあります。ヨーグルトは乳糖の一部がすでに分解されているため、ヨーグルトならば食べられるという子供もいます。完全に乳糖が分解されているわけではありませんので、様子をみながら与えるようにすると良いでしょう。
牛乳アレルギーとの違い
牛乳アレルギーはカゼイン・βラクトグロブリンというたんぱく質に対してアレルギー反応を起こしてしまうもので、発症のメカニズムが乳糖不耐症とは全く異なります。
下痢や嘔吐、腹痛といった症状は牛乳アレルギーでも乳糖不耐症でもあらわれるものです。ですが、牛乳アレルギーの場合、じんましんや皮膚の腫れ、呼吸困難など食物アレルギーに特有の反応が顕著にあらわれます。
これらの症状があらわれた場合は、牛乳アレルギーの可能性を考えてみる方が良いでしょう。牛乳アレルギーではアナフィラキシーショックで生命をおびやかすことがあるという点をしっかり覚えておきましょう。
冷たい牛乳での下痢
乳糖不耐症ではなくても冷たい牛乳を一気に飲むと下痢をすることがあります。これは冷えによって腸での吸収が正常に行われず、水分が多いまま排泄されてしまい下痢になるという状態です。
牛乳に限らずあまり冷たいものは、腸の消化吸収を妨げることにつながります。常温以上で飲むようにする、冷たいものはゆっくりと飲むといったことを心がけると下痢を引き起こすことが少なくなります。
まとめ
牛乳を飲むといつも下痢をするのは病気?
乳糖不耐症とは
乳糖不耐症の時の対応
乳糖不耐症の時の代替品
牛乳アレルギーとの違い
冷たい牛乳での下痢