ギランバレー症候群という病気をご存知でしょうか。風邪や下痢症状に続いて両側の足の知覚障害や運動麻痺がみられるもので、幼児や学童期の子供に多くみられます。 ギランバレー症候群 の 予後 についてご紹介いたします。
感染症に引き続いて起こるギランバレー症候群の予後
ギランバレー症候群とは
人間の神経は脳と脊髄の中枢神経とそこから枝分かれして体の各部分に分布している末梢神経の2つにわかれています。
末梢神経は体の動きを司る運動神経と感覚を司る感覚神経、そして自律神経の3つによって構成されています。
末梢神経に何らかの障害が生じると、脱力、痛み、しびれなどの症状が出ます。ギランバレー症候群は複数の末梢神経が障害される病気であるとされています。
病気の原因ははっきりと解明されていませんが、ウイルスや細菌に感染することをきっかけに、本来は自分を守るためにある免疫システムが自分の末梢神経を障害する自己免疫疾患であると考えられています。
患者の60%の血液中に末梢神経の構成成分の糖脂質に対する抗体がみられます。
ギランバレー症候群は人口10万人あたり、年間で1~2人が発症すると推定されており、どの年齢層でもかかる可能性があります。
ギランバレー症候群の症状
患者の3分の2の方はギランバレー症候群の発症の1~3週間前に風邪や下痢などの感染症の症状があると言われています。
典型的な例として、上述の感染症症状の数日から数週間後に急に手足の力が入らなくなります。通常足から始まり、徐々に手に広がっていきます。
その他、顔面の神経麻痺や眼球が動かせなくなって物が二重に見える、物が飲み込めなくなる、ろれつが回らなくなるなどの症状が出る場合もあるようです。
症状の軽重はひとりひとり違って、軽い麻痺の方から、動くことができなくなる方までさまざまです。一般的には感覚障害は運動障害に比べると軽いことが多いとされています。
自律神経が障害された場合には不整脈や起立性低血圧などがみられることもあります。呼吸をする筋肉が麻痺してしまって、人工呼吸器を必要とするような重症例もあります。
ギランバレー症候群の予後
以前は、ギランバレー症候群は治療をしなくても自然に治癒する予後のよい病気であると考えられていました。
確かに症状は通常4週間でピークに達したあと回復し、その後6から12週間で安定した状態になることが多いようです。
ただし、重症例では回復に長期間を要するだけでなく、何らかの障害を残す場合も20%あり、5%の方が亡くなると言います。
子供に風邪や下痢などの感染症症状があった後に足の痛みやしびれの訴えがある場合には速やかに小児科を受診しましょう。
ギランバレー症候群の治療
感染症にかかって1~3週間後に急速に脱力の症状が出てきた場合には速やかに小児科を受診してください。神経学的診察が必要だと考えられていますので、専門医の診断をあおぐことになります。
上述したように一部に重症例がみられますので、できるだけ早い段階での適切な治療が必要です。
治療には血液中の有害物質を除去して体内に戻す血液浄化療法や免疫グロブリン大量静注療法などが施されます。
食中毒の原因となる菌
鶏・豚・牛の腸管に生息するカンピロバクターに感染することから稀にギランバレー症候群を発症することがあると言われています。
食肉を処理する際に汚染されると考えられていますが、この菌は熱と乾燥に弱いことがよく知られています。腸管出血性大腸菌ややサルモネラ菌と同様に十分に加熱されていない食肉は食中毒の原因になります。
まだ、抵抗力のない幼い子供の食べ物には十分配慮する必要があると言えます。
まとめ
感染症に引き続いて起こるギランバレー症候群の予後
ギランバレー症候群とは
ギランバレー症候群の症状
ギランバレー症候群の予後
ギランバレー症候群の治療
食中毒の原因となる菌