下痢や腹痛といっても、症状やその程度は様々です。 下痢 の状態や色、 腹痛 が現れる部位や時間を注意深く観察すると、 原因 を見極める上での大切な情報を得ることができます。
腹痛や下痢は幅広い原因が考えられるので、併せて現れる他の症状にも十分注意しましょう。
便の状態から腹痛と下痢の原因を見極める
食中毒による下痢
激しい腹痛と下痢の症状が出る原因として食中毒があります。これは食べ物に混入した細菌や微生物、フグやきのこなどの自然毒が原因で起こります。原因となる食べ物を食べてから症状が出るまでの期間は、細菌の種類や食べた量などよっても異なります。
カンピロバクターによる感染
肉類や生乳、飲料水などが感染源
潜伏期間は1日~7日で腹痛、嘔吐、下痢が症状として現れます。下痢は水様性の便の時と粘液のような便の時があります。
腸炎ビブリオによる感染
海水域に住む魚介類が感染源
潜伏期間は10時間~20時間ほどで腹痛、嘔吐、下痢、発熱が現れます。チアノーゼやしびれが症状として出ることもあります。
サルモネラ菌による感染
鶏や牛のたたき、卵、卵の加工品などが感染源
潜伏期間は6時間~48時間で38度を超える発熱と腹痛、嘔吐、下痢が現れます。症状は急激に現れ、水に近い便が出ます。
0-157などの腸管出血性大腸菌による感染
牛肉、ローストビーフ、生乳などが感染源
潜伏期間は3日~9日ほどで腹痛と嘔吐、出血性の下痢が起こります。子供や高齢者は合併症を起こしやすい食中毒のひとつです。
ウェルシュ菌による感染
長時間放置された食品に多く発生し、感染源となる
潜伏期間は6時間~15時間ほどで腹部の張りと腹痛、下痢が現れます。ものが二重に見えたり、喋りづらさを感じたりします。
ブドウ球菌による感染
おにぎりやサンドイッチ、和菓子などが感染源
潜伏期間は2時間~4時間ほどで激しい嘔吐と腹痛、水様性の下痢が現れます。症状が重い時は粘血便が出ます。
消化不良による下痢
暴飲暴食や刺激の強い食べ物、脂肪の多い食べ物を過剰に摂取したり、炭酸飲料を飲みすぎたりすることで、胃酸や消化酵素の分泌が乱れて消化不良を引き起こします。食べ物をよく噛まずに飲みこんでしまうことで、消化に時間がかかって消化不良になることもあります。
消化不良による腹痛は上腹部に起こることが多く、下痢は食べたものが消化されずにそのままの形で出たり、水っぽい便になったりします。
ストレスによる下痢
大切な試験やプレゼンテーションの前になると、急に腹痛と下痢が現れることがあります。これは緊張や不安などのストレスによって下痢を発症している状態です。
本来、排便は自律神経によってコントロールされています。ストレスがかかり、極度の緊張状態になると自律神経が乱れて腸の中でうまく水分が吸収されずに、水様便、泥状便のような急激な下痢を引き起こします。
病気が原因の下痢
下痢と腹痛は、様々な病気の症状としても現れます。下痢や腹痛の状態からどのような病気が考えられるのかを推測します。
便に赤っぽい血が混じっている時は、大腸での出血や痔が原因として考えられます。黒っぽい便が出る時は、胃潰瘍や胃炎、胃がん、十二指腸潰瘍などにより胃や十二指腸などで出血していることが考えられます。
白色の便が出る時は、ロタウイルスによる感染が考えられます。下痢を引き起こす感染性のウイルスには、他にアデノウイルスやノロウイルスなどもあります。
これらの下痢症状がみられる場合は、できるだけ早く医療機関で診察を受けることが必要になります。
ストレスによる下痢でも3週間以上続く場合は、過敏性腸症候群という病気の可能性があります。過敏性腸症候群は検査をしてもどこにも異常が見つからないことが特徴です。
強いストレスや不安感によって、腸が正常に機能しなくなってしまうため、下痢や便秘などが生じます。消化器内科などでの検査の結果に問題がない場合は、心療内科などでの精神的な面のコントロールを試みるのも必要となります。
薬の副作用として現れる下痢
病気の治療のために服用した薬の副作用として、下痢や腹痛が現れることもあります。子供に多い薬剤性の下痢としては、抗生物質による下痢が挙げられます。
抗生物質は、お腹の中にいる善玉菌などの良い菌も殺してしまうため、腸内環境が崩れ下痢を引き起こします。
激しい下痢の時は、抗生物質の服用を一時中止し、すぐに病院を受診しましょう。他の抗生物質に切り替えてもらったり、整腸剤を出してもらったりすることで対応できます。
他にも抗がん剤や胃薬、免疫抑制剤などでも薬剤性の下痢が起こります。これらの薬による下痢は服薬後、1~2週間ほどの間に現れることが多いと言われています。
激しい下痢の症状が現れたら、早めに病院を受診するようにしましょう。
まとめ
便の状態から腹痛と下痢の原因を見極める
食中毒による下痢
消化不良による下痢
ストレスによる下痢
病気が原因の下痢
薬の副作用として現れる下痢