子供はよく 腹痛 を起こします。ほとんどはすぐに治まるような軽いものですが、なかには深刻な病気で、急いで医療機関を受診しなければならいケースもあります。どういった症状が現れたら注意が必要なのか、見ていくことにしましょう。
注意が必要な子供の腹痛とは
白い便が見られたら…
腹痛の原因で最も多いのが、感染性胃腸炎です。ウイルスや細菌が胃腸に感染することで発症します。なかでも、6ヵ月から2歳までの乳幼児に多いのが、ロタウイルス感染症です。ロタウイルスは感染力が非常に強く、冬の寒い時期に流行します。
感染すると、突然の嘔吐とともに、発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が見られます。特徴的なのは、下痢をしたときの便の状態です。ロタウイルス感染症では、白色や黄白色の水のような便が出ます。適切な治療を行えば、1週間ほどで回復します。
激しく嘔吐したら…
激しい嘔吐が特徴なのは、ノロウイルス感染症です。ノロウイルスも感染力が非常に強く、秋から春先にかけて流行します。感染すると嘔吐や吐き気とともに、下痢、腹痛、軽い発熱が見られます。ノロウイルス感染症はロタウイルス感染症と異なり、1~2日と短い期間で治ります。
ただし、どちらのウイルス感染症も、インフルエンザのような特効薬はありません。そのため、脱水症状を防ぐような対症療法を行うことになります。
腹痛が同じパターンなら…
もし、同じようなパターンの腹痛を何度も繰り返し起こすようでしたら、食物アレルギーか食物不耐症の疑いがあります。食物アレルギーとは、食べたものに対して免疫機能が過剰に反応し、アレルギー症状を起こすものです。
一方、食物不耐症は、特定の食物を分解する酵素を持っていないために、その食物を消化できず、身体に負担がかかる状態のことです。代表的なものは乳糖不耐症です。ラクターゼという酵素をまったく持っていないか、あるいは量が少ないために、牛乳や生クリームのような乳糖を含む食品を食べると、お腹が張ったり、下痢になったりという症状が現れます。
食物アレルギーも食物不耐症も、どの食物が原因になっているかを調べ、その食物を食べないようにすれば、問題は解決します。原因食物を調べるには、どんなものを食べた後に腹痛を起こすのかを根気よく観察して、探っていく必要があります。
痛みがずっと続くようなら…
一般的な腹痛は、波のように痛みが押し寄せては引いていくことを繰り返します。しかし、痛みが引くことなくずっと続き、しかもどんどん強くなっていくようなら、急性虫垂炎を疑うべきです。急性虫垂炎はいわゆる「盲腸」と呼ばれる病気で、虫垂と呼ばれる器官が炎症を起こします。
悪化すると虫垂が破れ、細菌やウイルスがお腹のなかにばらまかれるので、腹膜炎といった合併症を発症して、生命を脅かす危険性があります。そのため、早急に医療機関を受診しなければなりません。
また急性虫垂炎では、はじめから虫垂のある右下腹部が痛むわけではありません。まず、みぞおちやおへそのあたりが漠然と痛み始め、それから徐々に痛む場所が右下腹部に移動していくのも急性虫垂炎の特長です。
イチゴジャムのような血便が出たら…
激しい腹痛だけでなく、大量の血液が混じったイチゴジャムのような血便が出たら、腸重積の可能性があります。腸重積とは、腸の一部が腸の中にめりこんで詰まった状態になったものです。乳幼児に多く見られ、小腸から大腸への変わるあたりでよく起こります。
ほうっておくと腸が壊死してしまいますので、24時間以内に適切な治療を受けなければならないといわれています。
腸重積になると、腹痛や血便のほか、嘔吐や顔色が青白くなってぐったりするといった症状も現れます。もし、このような症状が見られた場合は、急いで診察を受けるようにしてください。
腰のあたりを痛がるようなら…
もし腰のあたりを痛がって、発熱もしているようでしたら、尿路感染症の恐れがあります。尿路感染症とは、おしっこの通り道(尿路)が炎症を起こす病気で、主に膀胱炎と腎盂腎炎の二つをいいます。
排尿時に痛みがある場合は膀胱炎、40度ちかい高熱を出すようなら腎盂腎炎の可能性があります。特に腎盂腎炎を発症した子供は、尿路に構造的な異常が認められることが多いので、必ず受診するようにしてください。
子供の腹痛は、軽い原因で起こることがほとんどですが、ときに重い病気が潜んでいることがあります。特に子供は、症状を正確に表現することができないことが多いので、周りにいる人が子供の様子を観察し、腹痛の原因を探ってあげる必要があります。
子供の様子をよく観察して、必要な場合は速やかに医師の手当てを受けるようにしてください。
まとめ
注意が必要な子供の腹痛とは
白い便が見られたら…
激しく嘔吐したら…
腹痛が同じパターンなら…
痛みがずっと続くようなら…
イチゴジャムのような血便が出たら…
腰のあたりを痛がるようなら…