子育て中の保護者の方であれば、ダウン症という病名を一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。 ダウン症とは どのような病気なのでしょうか。
その発症のメカニズムやダウン症の型も含めてダウン症についてご紹介いたします。
発症のメカニズムから知るダウン症とは
ダウン症とは
ダウン症は正式にはダウン症候群という染色体異常による生まれつきの疾患です。ご存知のように、人の細胞核にある染色体は1対2本で22対44本の常染色体と性別を決める性染色体1対2本の合計46本で構成されています。
ダウン症は21番目の常染色体が3本あることで、精神発達の遅れと特有の顔立ちがみられる染色体異常の疾患の中で最も多いものです。
1866年にイギリスのJ.L.H.ダウン氏によって論文が発表され、氏の名前からダウン症と呼ばれるようになりました。
1959年にフランスのジェローム・レジューン氏らの研究によって、ダウン症の原因が染色体異常であることが明らかにされました。
染色体がうまく分離できないことが染色体異常を引き起こすと言われています。ダウン症のタイプによって、21番目の染色体が他の染色体にくっついてしまったり、受精直後の細胞分裂時に染色体が分離しなかったりと、それぞれのメカニズムは解明されましたが、なぜそのようなことが起こるのかという根本的な原因は解明されていません。
ダウン症の種類
ダウン症は「標準トリソミー型」・「転座型」・「モザイク型」の3つの型に大別されます。
標準トリソミー型
ダウン症の90~95%を占めると言われている標準トリソミー型は22対の染色体の21番目が1対2本ではなくて3本になっています。子供に偶然発症するもので、両親の染色体数は正常です。
転座型
ダウン症の5~6%が転座型です。転座型の21番目の染色体のうちの1本は13番、14番、15番、21番、22番など他の染色体にくっついています。
転座型の半数は両親の染色体は正常で染色体がうまく分離できなかった不分離が原因で、残りの半数は遺伝性転座と呼ばれ、親に転座染色体の保因者がいることが原因だとされています。
モザイク型
ダウン症の1~3%で、21番目の染色体が2本の細胞と3本の細胞のまざった状態であると言います。両親の染色体数は正常です。
ダウン症の身体的特徴
ダウン症児には特有の顔つきがあります。丸くてあまり起伏のない顔、吊り上がった目、下あごや耳が小さい、目と目の間が広いなどということがその特徴としてあげられます。
また、舌が大きく、口唇裂や口蓋裂がみられることもあると言います。筋肉が柔らかいために乳幼児期には体重が増えないということもあります。多くは知能の発達の遅れもありますが、非常に個人差があることがよく知られています。
平均寿命は約50年と言われていますが、これはあくまでも平均であって、50歳以降も健康に過ごしている方も数多いです。
ダウン症児の療育
ダウン症は根本的な原因が解明されていないことから、現在のところ、根本的な治療は望めません。外科的・内科的な治療を必要とせず、重度のダウン症合併症のないダウン症児は療育が重要課題となってきます。
療育とは治療教育を意味し、専門施設で看護師や保育士、理学療法士や言語聴覚士などのスタッフによる集団保育や個別訓練などを受けることです。
ダウン症児も他の何らかの障害をもった子供と同様に早期から療育を受けることによって、精神的にも身体的にも効果があらわれると言われています。
療育を受けながら、ひとつずつできることが増えていきます。療育は子供本人だけではなく、育児をする保護者にとっても疑問点や心配なことを相談できるために大変有益だと言われています。保護者同士の交流から得ることも大きいでしょう。
ダウン症児は穏やかな性格の子供が多いと言います。焦らずにじっくりと成長を見守る姿勢が何より大切になってきます。
まとめ
発症のメカニズムから知るダウン症とは
ダウン症とは
ダウン症の種類
ダウン症の身体的特徴
ダウン症児の療育