ダウン症はヒトの細胞の中に存在する染色体の突然変異によって起こると言われています。特徴的な顔つきがあり、心身の発達がゆっくりであるだけでなく、さまざまな合併症をもっている場合があります。
ダウン症 の 原因 について、どのような染色体異常があるのかも含めてご紹介いたします。
染色体の突然変異が原因のダウン症にはこんなタイプが
ダウン症の原因
ダウン症は正式にはダウン症候群といい、1866年にイギリスのJ.L.H.ダウンという眼科医によって発表された論文で取り上げられたことから、ダウン症候群と名づけられました。
1954年にフランスのジェローム・ルジューヌによって21番目の染色体が1対2本ではなく、3本になっていることが原因であることが発見されました。
ヒトの染色体は、1~22番目の常染色体と23番目の性染色体の23対、46本で構成されていることはよくご存知のことでしょう。23番目の性染色体がXYだと男の子、XXだと女の子になります。
1つの染色体は1対2本で構成されていますが、染色体異常が起こると、1本だけになるモノソミーや3本になるトリソミーという状態になることがあるのです。
ダウン症は染色体異常の疾患の中で、最も頻度が高く、典型的な特徴をもつことがよく知られています。なぜ染色体の異常が起こるのかという根本的な原因は、現在のところ解明されていないために、根本的な治療法はありません。
合併症の有無も含めて、非常に個人差が大きいことも特徴的です。それぞれの症状に合わせた治療と療育を行うことによって、平均寿命と言われる50歳以降も元気に社会生活を送っている例も多くみられます。
ダウン症のタイプ
ダウン症は染色体の変異のし方によって大きく3つの種類に分けられます。それぞれのダウン症のタイプについてご紹介いたします。
標準トリソミー型
標準トリソミー型はダウン症の90~95%を占めると言われ、21番目の染色体が1対2本ではなく、3本になってしまっている染色体異常です。突然変異で子供に偶然起こるもので、両親の染色体数は正常で、遺伝性の関連は薄いとされています。
転座型
転座型はダウン症の5~6%の割合でみられると言います。転座型は21番目の染色体のうちの1本が13番、14番、15番、21番、22番などの他の染色体にくっついてしまったものです。
半数は染色体の不分離が原因で、残り半分は親に転座染色体保因者がいる遺伝的なものだとされています。
モザイク型
モザイク型はダウン症の1~3%と稀なタイプです。21番目の染色体が2本の正常な細胞と3本の細胞が混じっています。通常、両親の染色体数は正常だと言われています。
重度な障害がないことも多く、中には成人するまでダウン症であることに気づかなかったというケースもあると言います。
ダウン症と高齢出産
染色体異常によるダウン症の発症確率は妊婦が30歳の場合、おおよそ700人に1人と言われています。
ただし、染色体に異常があると胎児に影響を及ぼして、自然流産や胎児死亡ということになってしまうケースもあるので、実際の発症はこの統計の数字より低いと考えられています。
妊婦の年齢が高くなればダウン症の発症リスクが高まるということは統計上も明らかで、35歳以上の妊婦では300人に1人、40歳以上になると80人に1人がダウン症を発症しているという報告もあります。
ただし、これは確率の問題であって、妊婦が若ければダウン症を発症しないということでも、妊婦が高齢だとダウン症を発症するということでもありません。実際に出産の絶対数が多い20代の妊婦の方がダウン症の子供の出産数そのものは多いと言います。
高齢出産ではダウン症をはじめとする染色体異常のリスクが高まる傾向にあることは否めませんが、高齢出産に限らず、ある一定の確率で起こるのが染色体異常であることも事実です。
胎児の出生前診断という選択肢も存在する現在では、検査そのものがもたらすリスクも含めて、夫婦でさまざまな可能性について話し合うことが必要とされてきます。
まとめ
染色体の突然変異が原因のダウン症にはこんなタイプが
ダウン症の原因
ダウン症のタイプ
ダウン症と高齢出産