私たち日本人にとって、とても身近で健康にも良いとされる大豆。豆乳や醤油など日常的に摂取する加工食品にも含まれる大豆は乳幼児が食物アレルギーを引き起こす原因とされるアレルゲンの1つです。
しかし、 大豆アレルギー は耐性や免疫機能の発達により治る可能性があります。
乳幼児の大豆アレルギーは治る可能性がある?
食物アレルギーの症状
食物アレルギーには即時型と遅延型があり、そのほとんどが即時型になります。即時型は食後1、2時間で蕁麻疹や発疹などの症状があらわれます。乳幼児に多くみられるのもこの即時型です。
だいたいが発症後、時間と共に緩やかに回復しますが、臓器や気管支などでアレルギー反応が起こった場合、呼吸困難など危篤な状態に陥るアナフィラキシー反応を引き起こす危険性もあるので注意が必要です。
一方、遅延型は食後数時間~48時間後に起こるので、単なる体調不良と間違われてしまうことがあります。それにより、アレルゲンを特定することが難しいことから長期に渡りそのアレルゲンを摂取し続けることで体内に蓄積され、許容量を超えた時点で発症します。
即時型に比べ、危篤な状態になるケースは少ないですが、蕁麻疹や悪寒などの辛い症状に永遠と悩まされるといった側面があります。
乳幼児の大豆アレルギー
以前、大豆は卵、牛乳に次ぐ3大アレルゲンの1つとされていましたが、現在では日本人の食の欧米化による影響もあり卵、牛乳に次ぐアレルゲンは小麦の割合が大きくなっています。
それでも乳幼児にとっての大豆アレルギーは小麦に次いで高い割合となっております。また、現在日本の食卓に上がる大豆のほとんどが輸入品になりますが、この輸入大豆には残留農薬が多く含まれる他、遺伝子組み換えのものも多く、それらがアレルギーを引き起こす原因となっていることも否めません。
本来、大豆アレルギーは他のアレルゲンに比べてアナフィラキシーのような重症例は少ないですが、さまざまな食品や調味料に加工されていることにより知らず知らずのうちにアレルゲンに暴露されている可能性があります。
また、個々でその加工品により抗原性のレベルが変わるため、医師の指導のもと、実際に摂取しながらの負荷試験で摂取可能な食品や調味料を選定する必要があります。
乳幼児の大豆アレルギーは治る?
免疫機能の発達や腸管が丈夫になる2、3歳頃には治る可能性のある鶏卵、牛乳、小麦、大豆などの食品に対する乳幼児の食物アレルギーは抗原除去といって、アレルゲンとなる食品を食べないようにする方法を取ることが多いです。
一方で、耐性獲得といって、そのアレルゲンに対して耐える力を付ける方法を取ることもあり、これは医師の考え方や個々のレベル、体質などにより方法が異なります。
アレルギーへの対処を間違えるとアレルギーマーチが進行することもあるため、治療は慎重に進める必要がありますが、完全除去で返って重症化するケースもあることから、厳重になり過ぎず耐性獲得を目指す方法が良いという考え方もあります。
80%の割合で治る可能性のある2、3歳まで症状の出方に個人差が大きい大豆アレルギーは、悪化しないように方法をしっかりと見極めながら治療を進めていく必要がありそうです。
複雑な大豆アレルギー
基本的に大豆によるアレルギーはクラス1食物アレルギーに属し、大豆を摂取することで発症します。しかし、花粉症疾患をもつ人がそれに類似したたんぱく質を野菜や果物から摂取することで発症するクラス2食物アレルギーと呼ばれる疾患が急増しております。
大豆アレルギーがなかった人でもシラカンバなどのカバノキ科の花粉症を持つ人が豆乳などの大豆加工食品を摂取することで口腔アレルギー症候群の合併症を引き起こすケースが多いのです。
また大豆には、ピーナッツやレンズ豆、えんどう豆など他のマメ科の植物とも交差反応を示すアレルゲンが数種類含まれています。大豆アレルギーを持つ人がこのようなマメ科の植物を除去する必要性についても多くの議論があり、どれが妥当かはハッキリと言い切れません。
この他、牛乳アレルギーを持つ乳幼児の代用に豆乳が使われることで大豆アレルギーを発症するケースもあり、交差反応には厳重な注意が必要です。
まとめ
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